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83.今後の方向性

 



「そして、あーちゃん。

 今後の方向性なんだけれど、今から話してもいいかな?」



「どーぞどーぞ。私には何も分かってないからお任せになってしまって申し訳ないんだけど」



「これだけのレシピと技術を提供してもらって、お任せだなんて言わないで」


 謙遜とかじゃなくて本気で思ってるのに、ベテルギウスはとても悲しそうな顔をした。


 チャラ系イケメンが悲しげに眉を寄せるのはかっこいいとは思うけど罪悪感が凄い。



「ベテルギウスはそんなに私の事を認めてくれてるってことだよね。ありがと。

 私も自信持てるように頑張るよ」



「分かってくれてよかった。

 じゃあこれからの話をしようか。

 まずは、あまり手を広げ過ぎない方がいいと思うんだ。

 とりあえずポテトサラダを作らせて貰えたらと思うんだけどどうかな?」


「どうぞ」


 単純明快な答えを返したら、ベテルギウスに呆れ返った顔をされた。

 なんか不本意なんだけど。



「あのね、あーちゃん。

 そこで『どうぞ』って言う前に、ちゃんとお金の話をしないといけないよ。

 おれはきちんと適正な金額を払うつもりだけど、世の中皆がそうじゃないから」



「いや、別にお金とかいらないよ?」


「えっ、何で? どういうこと?」


 やれやれ、みたいな反応だったベテルギウスが、目をまん丸にして驚いている。

 確かに、お金が要らないっていうのは語弊があるかもね。


「お金がいらないっていうのは、お金が嫌いとかじゃないよ? 今回みたいな、役に立つ知識を広めて貰うのにお金取ってたら意味ないと思うだけで」



「…………なるほど。

 もしかして、おれ達の英雄さんは、女神さまだった、ってことかな?」


「は?」


 女神? 意味わかんないんだけど?

 英雄ですら拒否ってるのに、女神ってどういうことよ?


「いやいや、こっちの話だよ。あーちゃんは英雄とか女神とか言われるのは嫌いだもんね?」


「うんっ!」


 よかった、ベテルギウスに変なあだ名を付けられることはなさそうで。



「あーちゃんはそのまま、やりたいように生きてくれたらいいよ。

 カンタンに許しすぎだとは思うけど、そう言ってくれるならそれなりのやり方をすればいいだけだからね」



 うんうん、と一人で納得したベテルギウスはまだ話を続ける。



「生産を教えるなんてこと、今まで誰もやってこなかったんだ。だから、始めから上手くはいかないと思う。

 なるべく失敗しないように頑張るけどね。

 だから、ちょっと時間をちょうだい?

 場所を作るだけじゃなくて、さっきあーちゃんがミンタカに教えてくれたみたいに、道具の置き方とかまで決めるなら、それなりに時間がかかっちゃうと思うから」



「それは全然大丈夫だよ! 私一人でやったら途方もない時間がかかることだし、とっても急いでる訳でもないからね」



「あーちゃん、ありがとう。

 当面の目標は、ポテトサラダを沢山作れるようになること、かな。

 ある程度形になってきたらまた来てくれる?」



「もちろん! 形にならなくても、困った時とかいつでも来るから、気軽に呼んでね。

 私、毎日そんなに忙しくないからさ!

 ただ、悪どいことはしないでね?」



「もちろんだよ」



 打ち合わせを終えて、ベテルギウスの爽やか笑顔とミンタカラムちゃんの頑張る背中に見送られて家に帰ることにした。





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