7.メニューと称号
「ではまず、人差し指と中指を二本揃えて振って貰えますか?」
言われた通りにしてみると。
「わっ! すご!」
さっき品物説明を見た時のように、何もない空間に画面が現れた。
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名前:アカリ・イシザッキー
職業:生産者見習い
レベル:0
次レベルまでの経験値:□□□□□
HP:100
スキル
なし
称号
神の愛し子
ケサランパサランの祈り
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「こちらがメニューのトップ画面です。
今は出来ることが少ないですが、修行を積めばどんどん便利になりますよ。
こちらの設定から、最低レベルでいいので閲覧権限をください」
タブを切り替え、言われるがままに権限を渡す。
中身を読んでいるのかスピカちゃんが何も言わないので、私もメニューを色々といじる。
スキルはないとしても、称号っていうのが気になる。タップしたら細かい説明が見れた。
《神の愛し子》
この世界の神さまに、君は愛されているようだ。たまーにいい事あるかもね。
《ケサランパサランの祈り》
しあわせを呼ぶ彼らが、いつでもサポートしてくれている。経験値がいっぱいもらえそう。
へー!
ちょっとラッキー能力が付くのが称号なワケね。
たぶん、最初のサイコロも関係してるんだろうなぁ。神さまに愛されてる、とか言ってたような気がするし。
「あるじさま、凄いですね!
この世界を統べる神さまと、見守っているケサランパサランの両方から御加護をもらっているとは!」
「そんなにすごいの?」
「はい! 称号があるだけで本当にすごい事なのですよ!
それがふたつもある上に、授けた方も権威のある存在なので、今後の能力の伸びにも期待出来ると思います!!」
めちゃめちゃ興奮して力説してくれた。
ケサランパサランって、ただの毛玉だと思ってたけどちゃんとしたものだったみたいね。
そして、私が思っているよりもこの世界はゲームっぽく成り立ってる様子。馴染みがある形式だけど、現実との境目が分からなくなりそう。
「能力の伸びが良いって言うのは嬉しいね。
私はものづくりが大好きだから、【森羅の叡智】っていう、何でも出来るようになる称号が欲しいと思ってるの。難易度高いって言うけど、頑張りたくてね」
「【森羅の叡智】ですか! 全ての生産スキルをレベルMAXの100まで上げた人に贈られる称号ですね。
歴史上でも数名しか取得した者がいないと言われる超ハイレベルな称号ですよ!」
「取得条件の難易度は高そうだけど、ベガさんは持ってるんでしょ?」
「そうですが、ベガさまはおよそ570年の時を掛けて取得したようです」
「え、そんなに?」
めっちゃ気の遠くなる話だね?
「それほどに長い道のりである、と思っていただければ」
「でも、千里の道も一歩からって言うし、ちょっとづつ勉強していくよ。
ずっと続けてたらいつかはたどり着くんだしね」
「ええ、その通りです。頑張っていきましょう!」
「それまでに自分の寿命が尽きそうなことは考えないでおくよ」
「いえいえ、あるじさまには《ケサランパサランの祈り》がありますのでもっと早くに習得出来ると思いますよ」
「そういうもの?」
「ええ。
これから、この世界の生産について学びましょうね」
やったー!
知らないことを知るってワクワクするね。
楽しみ!