69.集合
「おっ、カストルさんから返信来てる。
《綿羊》見に連れて行ってくれるって!
それ以外にも、《麻くも》や《トレント》も見れるって」
「それはよかったですね」
「明日早速行きましょう、ってさ。
私は特に持ち物はないらしいから、冷蔵庫に入ってる食べ物を持って行くよ。
何か使い道があるかもしれないし!」
アイテム袋へ、手当り次第に色々入れていく。
ポテトサラダとかのじゃがいも系は効果:防御だし何かと使えるでしょ。
翌日。
「おはようございます!」
前回と同じ噴水広場で待ち合わせなので行くと、もう全員準備万端だった。
戦闘用の装備を整えたカストルさんとアルヘナさん、それからこの前のパーティーで見たような気がする人が2人。
全員鎧の上からエプロンしてるのがシュールすぎて面白い。
私の装備は結局いつもの服だけだから、なんとなく場違い感があるんだけど、まあそれには気づかないことにしよっと。
「おっはよー! あかりんは今日も元気そうね!」
「そう言うアルヘナさんの方が元気そうですよ」
「まーねー! あはは!」
アルヘナさんは相変わらず楽しそうだけど、カストルさんは慣れているのか完全無視だ。
「ハイテンションなアルヘナは放っておいて、紹介するぞ。
弓士のジシュイと、盾職のゲミンガだ」
「よろしく」
「……」
「私はアカリ、こっちの妖精ちゃんはスピカです。
よろしくお願いしますー!」
盾職のゲミンガさんは赤銅色の髪と瞳で、ゴツい身体と対象的な、柔らかい笑顔が優しそうな雰囲気の人。
弓士のジシュイさんは灰色の髪に薄水色の瞳だから冷たそうな印象な上に、挨拶にも頷きしか返さない寡黙タイプっぽいのでちょっと近寄り難い感じ。
「全員レベルも高いし経験も豊富だから、《綿羊》や《麻くも》が出るような浅いところなら危険はないと保証できる。
いつも世話になっている分を少しでも返すつもりだから、やりたいことは遠慮なく言ってくれよ」
カストルさんはそう言ってくれたけど、むしろ私がお世話になってる側じゃない?
まあ、甘えさせてくれるなら甘えちゃうのが私なんだけど!
「じゃあ、先にアイテムお渡ししときますね!
今日使えるのか分かんないですけど、とりあえず持ってきたので」
アイテムポーチに入っているポテサラなどなどを取り出してみんなに配る。
「えっ……貰って良いのか?」
「はい! 付き合ってもらうんだから、せめてアイテムくらいは出しますよ」
カストルさんは困惑気味だけど、わたしに出来ることはこれくらいだからね。
「まだまだ持ってきているので、遠慮なく使ってくださいね〜」
★★★★とはいえ、ポテサラは大量生産出来るものなんだからそんな異常者を見る目で見ないでほしいな!