64.反省点
「カストルさんから返信来たよ〜」
「どんな効果だったのでしょうか?」
「与クリティカル率アップ、被クリティカル率ダウン、命中率アップ、ってとこかな。
細かいデータとか付いてるけどよくわかんないからまあいいや」
「『集中』という効果から分かりやすい内容でしたね」
「そうだねぇ。もしかしたら、私が付けて生産をしたら効果が上がったりするかもしれないね。
もしくは、確率でしか成功しないものが成功しやすくなる、とか?」
「有り得ますね」
「そもそも、エプロンは戦闘用の装備じゃないはずだからね。
生産向けの効果が戦闘にも使える、って感じかも。
『夕嵐の双翼』が満足してくれたみたいで良かった」
アイテム作りは成功したし、効果も良かったみたいで結果的には大成功なんだけど、反省点が一つだけ。
「今回は、スキルを使って作ることにこだわり過ぎたかもね」
「どういうことでしょうか?」
「うんとね、最初の型紙を作ってた時に、型紙一枚スキル一回で作る、って無意識に思い込んでたかもな、と思って
結果的に、パーツごとに分けて作って後で合体させると上手く作れたから、やり方を変えて見るのも大事だな、と思ってるんだよ」
「たしかに、裁縫で作ったアイテムは素材になることもありますが、分けて作るという考え方はした事がありませんね。
この家にある記録にも無いです」
「だから、生産が発達しないのかもしれないね」
この世界の生産は、手間をかけた分だけ効果が上がる性質がある。
その性質と、スキル一発でできる、という生産方法の相性があんまり良くないせいで、シンプルかつ効果の低いものしか出来ないんだろう。
「ですが、手作業で作るよりはスキルを使うほうが速く作れるのでしょう?
スキルの上手な使い方を広めるために、アカリさまがいらっしゃるのでしょう?」
「うーん……そうかもね。ありがとう、慰めてくれて」
「慰めとは違いますよ。アカリさまは、そのままの調子で頑張れば良いと、そう思うのです」
「ありがと。スピカちゃんが居てくれてほんとに良かったよ。
じゃあこの世界のためにも、頑張って量産しますか!」
しかし。
《コットンフリルエプロン》★★★
効果:集中+3
素材:リネンギンガムチェック★、コットンシャーティング★、コットンシーチング★、綿糸
道具:裁縫箱
スキル:裁縫
「何で!?」
同じ作り方したよね!?
何でレア度が下がったの!?