52.ギルドとクラン
「単純にレシピを公開したいと言うのならば話は簡単だ。中心街にある冒険者ギルドへ行って、総合掲示板に書き込みをしてきたらいい」
少しばかり乱暴な口調でそう言うカストルさんは、丁寧に話すのを諦めたらしい。
もしくは、この人の素はこれなのかも。さっきまではお客様待遇だったけど、仲間として扱って貰えてる気もする。
「冒険者ギルドってなんですか? クランとは違うの?」
「クランはあくまでも個人的な集まりだな。俺たちのように気の合うもの同士がクランを組む。
しかし、ギルドは違う。全ての冒険者を管理する国が主催している組織で、何かの事があれば全員に招集を掛けることもある。
俺たちは、冒険者ギルドに登録しているし、クラン『夕嵐の双翼』に所属している、といった具合だ」
「なるほど! 私も登録したら使えるようになりますか?」
「掲示板を使うだけなら登録しなくても良いな。
討伐へ行くと言うなら話は別だが」
「じゃあ、後で行ってみますね! ありがとうございます。
あ、すみません、遅くなりましたがこちらお土産です。皆さんで食べてください」
色々話をしてて忘れるところだったよ。
せっかくトンカツと唐揚げいっぱい作ったんだから食べて貰わないと。
《トンカツ》★★★
効果:吹き飛ばし耐性+19
《鶏の唐揚げ》★★★
効果:飛行特攻+14
「……はっ?」
カストルさんが止まった。
「どうしました?」
「いや、どうしました? じゃねぇよ。これは何だ?」
「えと、手土産ですね。皆さんで食べてもらえれば、と思って」
「こんなレア度の高いものをか? 討伐時の最終手段みたいな効果じゃないか。
《風鳥エカトル》の討伐にでも行くのか?」
「えぇ……?」
効果とか関係なく、みんなに食べて欲しいだけなんだけど……?