27.じゃがいも。
「アカリさま! レアな妖精とはいえ、あんなよく分からないものに大きな顔させて良いんですか!?」
「いいじゃん。スピカちゃんも、水やりとかその辺りの、栽培に関することは詳しくないんでしょ?」
「それはそうなんですけど……」
「どっちにしろ、私一人では管理しきれないくらいには広いんだし、良いと思ってるよ。
もしも、貰えるものがものすごく少なくて割に合わないとか、レア度が★★になってないものが多すぎるとか、支障があればまた考えよ?
実験用に、私が使う部分を区切ってもいいしね」
「わかりました」
「それよりさ、水やりしなくていいから時間が空いたし、また何か生産をしたいんだけど、何を作ろっかなー?」
「やはり、料理がいいのではありませんか?
また★★★が出来たら、麻婆豆腐グループの人たちに新商品として売れますし」
「やっぱそうよね。あ、そうだ。良いこと考えた」
キッチンまで戻って来てたのに、庭に引き返す。
「ノームさんー?」
「なんだ?」
「好きな食べ物は何?」
「野菜」
おう、シンプルすぎる返事だね。
「野菜の中でも特に好きなのは?」
「んー、じゃがいも」
……じゃがいもは野菜か?まあいいや。
「分かった。ありがとね〜」
またキッチンへ戻ってきた。
「と、いうことでー、じゃがいもを使った何らかの料理を作りまーす」
「なるほど。新商品も出来て、あのジジイの機嫌も取れて、一石二鳥ということですね。さすが、頭がいいです」
「何でスピカちゃんはノームさんのこと嫌いなの?」
「嫌いではありませんよ? 単に何となく気に触るだけです」
それが嫌いってことなんだろうけど、まあいいや。何となく仲良くできない人も居ると思うし、生活に支障のない範囲なら好きにしておくれ。最悪、外と家の中で生活域を分けてもいいよ。
なんて思うくらいには諦めていたんだけど。
「でも、ノームは非常に有用な妖精ですから、しっかり利用したら良いと思います。で、何を作るんですか?」
スピカちゃんとしてはちょっと気に触るだけで、一緒に暮らして行けそうな感じかな。よかった。