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26.土妖精さん




翌朝。



「よーし、今日は何を植えようかなー?」



野菜栽培は時間がかかるから、朝早いうちに種を植えて置きたい。

なんて思って庭に出たんだけど。



「おっす。どした?」



いや、それは私のセリフよ。


赤いとんがり帽子にもじゃもじゃの白髭、あとは着ている青い服が赤だったらそのままサンタさんだね、というような見た目の妖精さん。



何で妖精って分かったかって?

だって、めっちゃ小さいんだもん。


スピカちゃんよりは大きいけど、頭の位置が私の膝くらいで、とんがり帽子を合わせても腰までもないくらい。



「あの、どちらさまで……?」



「ん? お前、おれ呼んだだろ?」



「はて、呼んだかな……?」



「おれの土、手入れした。その恵みを、おれに渡した。違うか?」



「そういう解釈なのね。水やりして、お供えものをしたってことなら違わないです」



「だろ? だから、おれはきた。お前は、何したい?」



「何か植えようかなー、と思ってるけど、どうしたらいいと思う?」



「あのあの、アカリさま……?

何でこんな異常事態なのにナチュラルに対応しちゃってるんですか……?」



スピカちゃんが全然会話に参加して来ないと思ってたらフリーズしてたのかぁ。



「あれ、普通じゃないの?」



「普通なわけがないですっ!

そもそも、土妖精(ノーム)は妖精族の中でもかなりレアな種類ですし、そう滅多に見られるものでもありません。その上、積極的に会話するなど……」



「そのチビ、うるさい。で、どうする?」



「チビじゃないですぅー! 私がチビならあんたはジジイよ!!」



「ジジイで、けっこう。おれ、子どもじゃないから、ケンカはしない」



「いや、充分ケンカなんじゃないかな……仲良くしてよぉ……」



出会った初っ端から何となく仲が悪いとか勘弁して欲しいよ……?



「で、何うえる?」



ノームはマジでマイペースだね。



「玉ねぎと豆にしようかなと。どうかな?」


「豆? 何の豆だ?」


「あ、大豆。豆腐が欲しいんだよね」



「なるほど。種、あるか?」


「一応買ってあるけど、どう思う?」



ワールドマーケットで普通に売ってたのを買ったから品質とかは分からない。あまりにも安いのは避けたけど。



「ん。まあ、いい。よこせ」


「お願いします」



土妖精ってことはもちろん農業にも詳しいよね。

私は何も知らないので丸投げが一番!



見守っていたらノームが種を蒔きはじめた。

昨日の私は畑のほんのひと区画だけ使ってたけど、ノームはほぼ全面に蒔いていく。



「よし、おれ一人だから、こんなもん。また明日、来い」



「水やりしに来るよ?」



「来なくてもいい。来たければ来い」



「じゃあ、申し訳ないけどお任せしてもいい?」



下手に素人が手を出すよりもいいんじゃないかな?

あ、忘れるところだった。



「あの、土地は好きにして貰っていいんだけど、ちょっとでもいいから収穫出来たのを貰えたら嬉しいな〜と思うんだけど、どう?」



「実り、お前にも、供えてやる。少しだが」



お供えとはちょっと違う気がするけどまあいいや。



「じゃあ、お願いしますね〜収穫を楽しみにしてます!」



「おう! 任せとけ!」



何とも頼もしい仲間ができました。

……仲間、なのかな?







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