23.スキルなしでも
翌朝起きたらまたメッセージが届いていた。
「昨日の人、100個全部欲しいって。
この専用販売っていうので出せばいい?」
「あら、100個全部ということは300万キラを一気にお支払いということですか。
昨日と合わせて360万キラ。」
「うん、そう」
「それはかなり羽振りの良い方ですね。ぜひお得意さんになって欲しいものです」
「そうねぇ……ま、とりあえずは麻婆豆腐いっぱい売ればいいでしょ。販売登録して、メッセージ送って、と。よし、これでOK!
それよりさ、昨日植えたにんじんはどうなっただろう? 見に行こ!」
さっそく庭に出てにんじんを見てみる。
《にんじん》★
「うーん、レア度に変化はなし、と」
「昨日は菱形のようなものが表示に付いていましたけど、それも無くなりましたね」
「多分だけど、あれは水やりゲージとかじゃないかな?
時間を置いて何回か水やりして、規定値まで貯まったらレア度が上がる、みたいな」
「なるほど。やってみましょうか」
と、いうことでまた《にんじんの種》★をパラパラ。そして水やりをして
《にんじんの苗》◆
収穫まで11:57
になった。失敗はしなさそうだから、まとめて20個植えておく。
ここでまたすぐに水やりをしても意味が無いことは昨日の検証て分かっているから、また時間が経ったら見に来よう。
料理するのがめんどくさくなって、ワールドマーケットでパンとゆで卵を買い、ゆでたまごサンドにした。
マヨネーズとかなしの、シンプル塩だけの味付け。
「え?」
スキルを使っていないし、パン切ってたまご切っただけで火を使っていないからアイテムは変化しないと思ってたのに。
《たまごサンド》★★
効果:満腹度+10、HP回復20
「スキルを使わなくても料理扱いになるんだね」
「スキルを使わずに生産をするのを初めて知りました……手際が良くて感動しましたよ」
「なるほど。スキルありきの生活だから、わざわざ自分で切ろうと思わないんだね」
とりあえず、サンドイッチは美味しい。
もぐもぐしながらメニューの販売タブを覗くと。
「麻婆豆腐の人、もう買ってくれてるよ。よっぽど欲しかったんだねぇ。
それに、新商品が出来たらすぐに教えて欲しいって。想定の売値の倍額出すから優先権が欲しいんだって」
「それはそれは。すごいですね。
大口の取り引きですし、今のところお金には困っていませんし。いいのではないでしょうか?」
「そうだよね〜 この人たちの独占になってるけどさ、私からしたらお得意さんだし、これからも★★★アイテムが出来たらまた売ろうっと」
「先に声を掛ける、と言うだけでその方以外に売ってはいけないのではないのですから、要らないと言われれば普通に売れば良いと思います。
独占にはならないと思いますよ?」
「そっか。それなら安心。
じゃあ、にんじんの様子を見に行きますか!」