133.風妖精と水妖精
こうして見ると★★★ってやっぱり貴重なんだな、って思うと同時に、心の中で夕嵐を応援するしか出来ない自分がちょっと歯がゆい。
ただ、錬成職人にはアテがあるようで、聞いてみる、と言って貰えたから少しは安心できるかな。
「おい、アカリー! 連れてきた!」
勝手口から呼ぶアルマクさんの声が聞こえる。
「はやっ」
余程切羽詰まっていたのか、早速連れて来た様子。
「ごきげんよう。私、風妖精のエニフと言いますの。この度は、我が一族を助けていただいて、ありがとうございますわ」
ナイスバディお姉さんな風妖精の皆さんはさすが妖精だと思うくらい美人だった。
金髪に透き通る肌、薄緑の瞳。
とっても綺麗で羨ましくなっちゃう。
土妖精もそうだけど、同じ種族だと大体同じような見た目になるみたいね。
まあ、人間もそんなに大差ないか。
「あたし、水妖精のツィーなの。ありがとなの。よろしくなの」
対して水妖精は完全にロリっ娘な幼女集団。
イメージ通りに水色の髪と目で、結構スケスケなワンピースを着てるだけ。その手の趣味の人にはめっちゃ喜ばれそうだな……。
「まだこっちの準備が整ってないからずっと居てもらえるかは分からないんだけど、数日休憩するだけでも、と思って来てもらいました。
よろしくね!」
「こちらこそ、よろしくお願いしますわ。
準備とは、何が必要なのでしょう?」
人外じみた美貌のお姉さんに見つめられると何も無いのに緊張しちゃうね。
それはそれとして。
「あと欲しいのは《嫋やかなる大地の証》だね。これがあれば、場所を拡げられるのよ」
「ん? 《大地の証》?」
「ここには、土妖精が居るじゃないの。彼なら、作れるのではなくて?」
「えっ、そうなの!?」
「うむ。ちょっと、待て」
私の驚きをよそに、とてとてと走って仲間の所へ向かうアルマクさん。
何やら相談したと思うと、いきなり畑の真ん中で輪になって、みんなでダンスを踊りはじめた。
ダンスというか盆踊りみたいなスローでカンタンなやつだね。
ころころしたおじいちゃん小人が踊ってるとかわいいねぇ。
「ん、アカリ。これで、出来るか?」
輪の中心から何かを拾って来て、私に渡してくれる。
《嫋やかなる大地の証》★★★
大地からの感謝のしるし。
何と、あんなに大変だと思ってた★★★素材が、一瞬にして手に入っちゃったよ。
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