132.庭の拡張
「まだ素材が集まってないしレベルも足りてないから少し先になりそうだけど、急に場所が必要な感じ?」
「できるだけ、早くほしい。
現世の、地脈の流れが、変わってきている。
妖精が、生きられなくなっているんだ」
「それは大変だね。どうしよう」
人間の街が襲われているように、妖精たちも苦しんでる、ってことね。
私に出来ることは、何だろう。
「今でも、風妖精と水妖精のある一族は、魔物に追われている」
「えっ!? じゃあ、守ってあげなきゃ!
何人くらいいるの?」
「それぞれ、10人にはならない」
「ここに無理したら入れないかなぁ……?」
確かにそう広くはないけど、避難所の体育館、と考えれば何とか生活できそうな気もするけど。
「数日なら、大丈夫だろう。ただ、妖精は、地脈を左右する。ここが、混沌になってしまう、可能性がある」
「いや、それは困る。だから早く広げて、ってことね。
でも、いくら何でも今すぐには無理だから、こう、行き来するとか、何か工夫して少しでも時間を稼いで欲しいんだけど」
「入れても、いいか?」
「もちろん!」
「じゃあ、呼んでくる」
余程心配なのか、アルマクさんは門へ走って行った。
呼びに行ってる間にこっちで出来ることはしておかないとね。
「まず、夕嵐に素材の集まり具合を聞こうか。
それが分からないと、話は進まないよね。
それに、錬成のスキルレベルが40を超えてて、★★★の素材を扱える人を探してもらおう。
レシピが流出するから、って自分で作るつもりだったけど、そうも言ってられなくなってきたからね。
あと何かあるかなぁ……? やることいっぱいだあ!」
「一つ一つの仕事としては、そう難しくはありませんから、気持ちに余裕を持って片付けていきましょう」
私が混乱しそうになったら、ちゃんとスピカちゃんが見ててフォローしてくれる。家妖精だから専門外なはずなのに、マジで優秀すぎる。
カストルに連絡すると、やっぱりすぐに返事してくれた。
あれだけの襲撃を受けてバタバタしてるのに、凄いよね。
まずは必要素材と工程の復習。
《炎熊の爪》《草結びの刃》→《揺らぎの風》
《神泉の雫》《蟲螻の黒岩》→《地の息吹》
《揺らぎの風》《地の息吹》→《彼方へと届く歌声》
《彼方へと届く歌声》《嫋やかなる大地の証》→《大地を育む種》
《炎熊の爪》《草結びの刃》
《神泉の雫》《蟲螻の黒岩》
この4つは★★素材である程度集まってる。
数にばらつきがあるから、私がお願いした量になっていないものもあるけど、最低限一回分は確保されている。
あと、《嫋やかなる大地の証》が必要なんだって。
これは★★★だから、落ちる確率も低くて大変らしい。
頑張ってくれるだろうけど、集団暴走もあったばかりだし、すぐには難しいかもね……。