130.おかえりなさい〜
「ふぅ〜う。ただいま〜」
「おかえりなさい〜」
「え゛っ!?」
何だか情熱的な感じに話がまとまっていい気分だし、その前の集団暴走の疲れもあってため息と共に帰宅。
そしたら、ないはずの返事が帰ってきてびっくりしたけど考えてみたら当たり前だった。
ミンタカが居たんだ。
「どうしたの〜?」
「おかえりって返してくれる人が居ると思ってなかったからびっくりしただけだよ。
ミンタカ、ありがとうねーー!!」
「わわっ、アカリさん!?」
帰宅後会ってすぐにがばーっと抱きついたものだから、ミンタカをめっちゃ困惑させちゃった。でも。
「ミンタカー! ほんとにありがとねー!
めちゃくちゃ助かったよー!」
自分の仕事に協力してくれる人が居る、って、とっても嬉しいことだった。
「わたしは、戦場にも出れないくらいに弱いからね〜。アカリさんが居たおかげで、ちょっとは役に立てたかな〜?」
「ちょっと、なんてものじゃないよ!
ミンタカが★★の薬草を送ってくれたおかげで、私が★★★の薬を作れたんだよ!」
「★★★!? アカリさんはすごいねぇ〜」
「ミンタカにも作れるよ! もし、ミンタカのことを弱いってバカにする人が居たら、『もう薬上げない!』って言ったらいいからね!」
「うふふ〜。アカリさんは強気だね〜。
わたしは、役に立てただけで充分だよ〜」
のんびりふわふわしてるミンタカは心のどこかを癒してくれるよね。
なんて言ってる場合じゃないんだった。
「そうそう、生産部門を拡大する、っていうのかな、場所を拡げるみたいな話になってるの」
「へぇ〜。すごいねぇ〜」
「だから、ミンタカから見てどう思うか、カストルにちゃんと言ってね?」
「サブマスに〜? それは無理かも〜」
「言いにくかったら私にメッセージしてくれても良いからさ、とにかく、変だと思ったらすぐに教えて欲しいの。
カストルもポルックスも、とっても張り切ってくれてはいるけど、彼らは生産に関しては素人だからね。ミンタカの意見が大事になると思うんだ」
「うんうん〜。何するのか、よく分からないけど、頑張るね〜」
「カストルにも言っておくから、ちゃんと話聞いて貰うんだよ!」
ミンタカは多少なりとも生産のことを分かってくれているから、これで突拍子もない事故は起こりにくくなっただろう。
知らない人はとんでもないことをしちゃう可能性があるからね。
本当は自分が見に行けたら良いんだろうけど、私がずーっと夕嵐に居るつもりはない。
私はあくまでもサポートで、自分たちのことは自分たちで出来るようになってもらいたいから。
「じゃあ、帰って早速サブマスに話聞いてくるね〜。匿ってくれてありがとう〜! またね〜!」
子どものようにブンブンと手を振るミンタカを見送ってから、ようやく肩の力を抜くことができた。