129.情熱的
「……確かに、アカリに払ってる額は結構なものだな。でも、そこまでだったか?」
「ワールドマーケットで売ってる分もあるけど、夕嵐がお得意さまなのは間違いないよ?
だから、このお金は私だけのものじゃダメだと思うのよ。
正直言うと私一人が生きていくのには充分すぎるお金があるから、みんなの生命を守るのに使いたいな、と思ってるの」
「英雄アカリ! 天使だ! 女神様だ!」
突然ポルックスが泣き出したからびっくりしちゃった。
「俺たちの命を助けてくれただけじゃなく、これからのことも考えてくれるなんて……!
なんでも協力させて欲しい。全力でやるから!」
王都でも名高いギルド《夕嵐の双翼》がここまでの熱量で協力してくれるんだ、私も頑張らないとね。
差し当っては、問題点の整理だ。
問題山積み、みたいな言い方してたけど大丈夫かな……?
「で、設備にお金がかかる、以外の問題は?」
「いや、無いだろう。
細かい問題は発生するだろうが、それは俺たちで何とかする。
しかし、設備を整えることと、実際に手順を教えること、それはアカリにしか頼めない。
お願いできるだろうか?」
「私がお願いしてるんだから、もちろんやるよ!
むしろ、私が巻き込んだばっかりに面倒事を押し付けて申し訳ないけど、頑張って貰えるかな?」
「ああ、よろしく頼む!!」
ポルックス、カストルそれぞれと熱い握手を交わして話は纏まった。
「俺たちがまずすることは場所を確保することだな。このクランホームのすぐ隣が訓練所になっているんだが、更にその隣はどうだろうか?」
「夕嵐のメンバーだけじゃなくて、街の人たちも使いやすい所がいいな」
「街の人も、だと!?」
いやあ、今日一日で一体何度、カストルが驚く所を見れるのかなぁ。
「だって、夕嵐は戦闘ギルドでしょ? 生産せずに、戦ってくれたらいいじゃん。
戦えない、弱い人に生産は任せたらいいよ。
一人で全部は出来ないんだから」
「……なるほど。考えさせられるな」
「この辺りだと、『強い人が偉い』っていう価値観だけど、私は弱いけどポルックスもカストルも褒めてくれるよね?
弱くても役に立つことがあるんだよ、って言いたいの!」
「分かった。さっき言った場所でも、他の人に来て貰えるだろう。城壁の中だしな」
「じゃあ、それでよろしくね?
ワガママ言って申し訳ないけど、なるべく早くお願い。皆が、集団暴走の恐怖と薬の効果を忘れないうちに」
「ああ、数日中には必ず」
カストルとポルックスの瞳には、私が今までに見たことがないほどの情熱が宿っている。
この人たちとなら、この世界を変えていける、そう確信できた。
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アカリと夕嵐の双翼が作る工房の名前を募集致します。(登場はまだまだ先になりますが……)
ちなみに、キャラ名は星から付けていて、今出てきているメンバーは
土妖精:アンドロメダ座
夕嵐の戦闘メンバー:ふたご座
料理メンバー:オリオン座
錬成メンバー:こいぬ座
に由来しています。
今後出るキャラも冬の星座中心になると思われます。
星にちなんでいなくても大丈夫ですので、皆さまのアイディアお待ちしております。