121.援護
またミンタカからメッセージがやって来て、それにはポテサラが付けられていた。
「戦いに戻る人は、ポテサラ食べてから行って!
防御が上がるから!」
アルマクさん達の薬草が出来るまで、家にいる間にもポテサラを作ってくれているらしい。
彼女は錬成をしたことがないし、私程のスピードで薬を作ることは出来ないだろう。
だけど、最近はずっとポテサラを作っているから、その技術をこの緊急事態にも活かしてくれているんだ。
「貰っていいのか!? お金は?」
「とにかく今はいいから! 食べて!」
生産量が限られているから高級品になってしまっているポテサラだけど、本来の原価はとても安い。
というか私的にはタダとも言える。
アルマクさんからの家賃代わりだからね。
ミンタカにお金を払った方が良いだろうけど、そんな話は後。
とりあえず今はさっさと食べて、とっとと戦いに戻って貰わないと。
その他にも、在庫になっていたアイテムが幾つか送られてきた。
私が趣味で作ってるご飯とか、そのうち出品しようと思ってたものとか、色々。
適当にその辺に置いておくと、効果を見て必要そうな人が持って行ってくれる。
面倒くさくて放置していたもの達が、こんな形で活躍してくれるとは、人生何が役立つか分からないよね。
「まだ薬あるよ! どんどん使って!」
周りにいた負傷者達はおおよそ復活し、多くの人たちが戦線へ戻って行った。
でも、それと同じくらいに下がって来る人も居る。
それだけ過酷な戦いなのだろう。
もう少し、戦場へ近づいた方が良いかもしれない。
ここまで逃げてくることすら出来ない人も居るんじゃ、と思い始める。
現に、歩けない人を数人で担いで逃げて来る人もいて、そういう人は怪我人だけを置いてすぐに戦場へ帰っていく。
「アカリ! どうした!?」
悩んでいるうちに、プロキオンが来てくれた。
「来てくれてありがとう! ずっと回復薬を作ってるんだけど、手伝って欲しくて!」
「分かった! 道具を取ってくる!」
これだけ状況が混沌としてワケわからなくなっている中でも、言う通りにしてくれるのが本当にありがたい。
待つほどもなく、道具を持ったプロキオンが戻ってくる。包丁とまな板は三組全部持ってきたので、誰かに手伝って貰うことも出来るかも。
「よし、いつものように、作るぞ!」
気合いを入れ直したプロキオンが、タタタッと小気味よい音を立てて薬草を刻む。
切った傍からスキルにかけて、★★★の回復薬を作っていく。
「アカリ、それは前線に戻る人に預けて欲しいっ!!」
目の前の人に渡そうとしたら、プロキオンが悲痛な声を上げた。