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116.パニック

 



「スピカちゃん、どうしよう!?」



 家から離れると外に出てきにくい、と分かっていても相談せずには居られなかった。


 だって、魔物と戦っている厳しい世界なのも、日々犠牲が出ているのも知ってはいた。

 でも、こんな風に、目の前で大勢の人が傷ついているのを見てしまったら……!



「事情は聞いていました。アカリさまは、どうしたいのですか?」


「どう、って言われてもっ!」


「選択肢を絞りましょう。

 一つ、家に帰る。二つ、見守る。三つ、アイテムを提供する。

 さあどうしますか?」



 さすがはスピカちゃん。

 私は、今の状況があまりにも衝撃的すぎてパニックになってしまい、どうしていいか全く分からなくなっている。


 けれど、スピカちゃんはそんな私にも分かりやすくはっきりとした選択肢を与えてくれた。



「その中なら、アイテムを提供したい!

 私に出来ることは、それだけだから!」



 このまま、目の前で傷ついている人々を見捨てて帰っても、誰も私を責めないだろう。

 だけどそれは自分が許せなくなると思うから。


 出来る限りのことは、したいと思うんだ。



「では、生産をしましょうか。

 どうも、騒がしいのは西側の城壁の外のようですので、このまま家に帰って物資を持ってくるには時間がかかりますから。


 クランホームを使っても良いですが、この際なので携帯用の大釜を買い、この場で生産するのはいかがでしょうか?」



「携帯用?」



「使える素材のレア度に制限がありますが、今緊急には役立つと思います。

 ワールドマーケットから、すぐに買えますよ」



 その言葉に従って見てみると、確かに《携行用大釜》が売られていた。

 ★★素材を使えるもので、お値段400万キラ。



「よし、これにしよう」



 400万キラは多分とても高額で、なかなか手が出ないお値段だろう。

 けれど、今の私はお金に全く困っていない。

 夕嵐の双翼という素敵なお客様もいるし。


 というか、迷っているヒマは無いのだ。

 城壁の方からは避難民がどんどんやってくるし、傷だらけの人もいるから。



「よし、とりあえずアパー草を片っ端から買って、回復薬にしよう!」



 方向性が決まれば、あとは手を動かすだけ。


「それでこそ、さすがアカリさまです。

 私はもう必要ありませんね」



「スピカちゃん、本当にありがとう! とっても助かったよ! ゆっくり休んでてね」



 スピカちゃんはポケットに戻ったので、一人で作業に取り掛かる。


 道端で大釜を広げ、右手側には適当に買ったカゴに薬草を積み上げて、左手側に水瓶を用意。

 これで、量産の準備は整った。



 どんな状況だろうと、私は私の出来ることをするだけ。

 それが、誰かの役に立つってことでしょ?





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