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115.鐘の音

 



「アイテムを提供してくれると言うのは俺たちにとってはとてもありがたい。

 しかし、そうも沢山作れる物なのか?

 生産といえば、一日に作れるのは10個ほど、というイメージがあるが」



 そのイメージは正しいんだろう。

 現に、私も依頼したまな板が一日三枚しか届かないというのを経験しているし。



「回復薬を実際作るだけなら、10秒もあれば充分だよ?

 分量を計ったり、下処理をしたりすると時間がかかるけど」



「そうなのか!? そんなに簡単だとは知らなかった……」



「生産は難しい、って皆言うけど、実際やった事ある人なんてほとんどいないよね?」


「確かに、そうだな」


「物は試しでさ、カストルさんも一回やってみない?」



 この部屋はダイヤル毎に違う部屋に繋がる魔法の道具で、今居るのはキッチン。

 何か、簡単に作れそうなものはあるかな……?



 その時。



 ガアンガアンガァン



 まるで巨大なフライパンをぶっ叩いたかのような、バカでかい金属音が響き渡った。



「そんなまさか!」



 カストルさんはそれだけ叫ぶと、部屋から飛び出して行った。

 少し遅れて、のんびりくつろいでいたアルニタク、プロキオンも出ていき、残ったのはミンタカだけ。



「これ、何の音なの?」


「そっか〜、アカリさんは知らないよね〜。

 これは、非常事態を知らせる鐘だよ〜。

 滅多に鳴らないんだけど、とっても大変なことが起きたんだね〜。スタンピードかな〜」


 口調はのんびりしているけれど、ミンタカにしては珍しく焦っている様子。



「何が起きたのか、見て来ようか」



 私は戦闘力皆無なので戦えないけれど、何か出来ることはあるかもしれない。

 だけど、自分の命が最優先だから、いつでも帰れるように、帰還石の準備はしっかりしておく。



「わたしは無理〜。ここに居るね〜」


「うん、無理しないでね。何かあったら逃げるんだよ!」



 前からミンタカは戦えないと聞いていたし、多分私と同じくらいなんだろう。

 そう言う私だって、いざと言う時に絶対脱出できるアイテムがなければミンタカと同じように隠れていただろうし。



 いつもは騒がしいクランホームも、誰も居らずにがらんとした様子。

 皆戦いに行ったんだろう。



 表に出ると、いつも私が歩いてくる、王都西側から、多くの人が逃げて来ていた。

 しかも、皆傷だらけだ。




「……スピカちゃん、どうしようっ!?」






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