114.犠牲
「エメラルド大森林、ってことは木に強いものでしょ……? 何かいいものあったかなぁ」
今まで見つけたレシピを思い出そうとして、メニューにレシピタブがあるのを思いついた。
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《麻婆豆腐》★★★
効果:炎耐性+15
《ポテトサラダ》★★★★
効果:防御+22 満腹度+33
《トンカツ》★★★
効果:吹き飛ばし耐性+19
《鶏の唐揚げ》★★★
効果:飛行特攻+14
《ひき肉のオムレツ》★★★
効果:土魔法耐性+12
《カレイの煮付け》★★★
効果:満腹度+21、水上歩行5分
《茶碗蒸し》★★
効果:落下耐性+7
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「うーん、使えそうなのは無いなあ」
「ちょっと待て、俺が知らないレシピは他にもあるのか?」
「うん。だって、教えても作れないじゃん」
「頼む、効果だけでも教えてくれないか!?」
「え、良いけど」
相変わらずの食いつきの良さで、私の方がだいぶ引いちゃったもん。
「なるほど……。アカリが欲しがっている素材に直接関係無くて申し訳ないが、吹き飛ばし耐性と飛行特攻はまた欲しい。もちろん言い値で買うから」
「また、って? 渡したことあったっけ?」
「初めてクランホームに来てくれた時に、手土産として持って来てくれただろう?
あの時は、これが手土産って豪華すぎるだろ、って突っ込むのをめちゃくちゃ我慢したんだぞ」
「ああ、そういやそうだったね。
いくらでも作れるし、レシピ教えてもいいよ?」
「アカリは本当に欲が無いな。
あれのおかげで《風鳥エカトル》が討伐出来たというのに」
「え、そうなの?」
「ああ。貰った後ですぐに討伐したから、まだしばらくは余裕がある。復活しても、すぐならばアイテム無しでも戦えるだろう」
「アイテム無しでも、余裕ってこと?」
「余裕は全くない。俺たちの戦法は、基本的に数で押す力技だから、犠牲は付き物だ」
「そんな!!」
既にクランホームに何度も出入りしていて、顔見知りの人もいっぱい出来たし、中にはアルヘナさん達のように仲良くなれた人もいる。
その人達が犠牲になるかもしれない、なんて……。
「それなのに、アカリに貰ったアイテムを使った時には、《風鳥》も《鳳凰》も犠牲なく倒す事ができた。《鳳凰》は長く生きて強大化していたのに、だ」
「二ヶ月に一度くらいなら必要なアイテムはいくらでも渡すし、レシピも探すから、安全第一でやって!」
思わず叫ぶように言ってしまったが、仕方がないと思う。
彼らが命をかけて戦う人々だと知ってはいたが、日常的に犠牲が出るほどだとは思っていなかったから。