110.考えごと
「レベルが上がってからの手配も済んだし、ここからは単純作業を頑張るだけだね」
レベル上げは色々工夫できる点はあるものの、最終的には回数を重ねるしかない。
見ててもヒマだからか、スピカちゃんもどこかへ行っちゃったし、一人で鼻歌でも歌いながら作業しますかぁ。
こういう脳みその要らない作業をしてると取り留めもない考えごとを色々するよね。
料理メンバー増やして欲しいな、とか。
料理のレシピ新しいのも探さないと、とか。
そもそも教えてないレシピもまだ沢山あるよね? とか。
「やること盛りだくさんだな〜」
それに、ねーむちゃんの仲間も探しに行きたいし。
沢山の綿が集まったら機織りもしたいし、裁縫もしたい。
「鍛治と錬成は後回しかな」
料理は、完成形を既に知っているしレシピもだいたい分かる。かなりのチート状態だから、有利なのだ。
得意なところを伸ばして良いアイテムを作る方がこの世界のためにもなりそうだし、料理に工夫するのが良いよね。
どんどん手を動かしていたら素材が無くなった。
まだレベルは上げたいので自分でも刻む。
素材を作る栽培に関してはアルマクさん達に任せっぱなしだけど、自分でも実験したいかも。
今は土妖精の開拓が進みすぎて、私が好きに使える場所なんてほとんどない。ほぼ全面が畑になってる。
けど、場所を広げたら私が自由に使えるところも増えるだろう。というか、ちゃんと確保しとく。
そこを使って、栽培の手順を変えることで素材のレア度を上げれないか実験したら楽しそう。
肥料とか、この世界にもあるのかな?
そうやって色々考えているうちにもう日暮れ間近。
「今日の一日はレベル上げで終わっちゃったねぇ」
「普通はこんなに詰めて作業しませんよ?」
「なんで? 早く上げたいじゃん」
「アカリさまは非常に熱心で働き者ですからね」
「えっ?」
スピカちゃんの話を聞いてると、どうやらこの世界の人々は基本のんびり屋さんらしい。
まあ昔は神さまと遊んでた人たちなんだからそれもそうかな。
そんな人たちなのに魔物に襲撃されるようになったから、めっちゃ困ってるっていうのも原因らしい。
「いや、働こ?」
「ベガさまは非常に熱心に活動していたようですが、ここまで一日中続けた、とは記録にありませんね」
「感覚の違いだねぇ」
そういうのんびり屋さん達の中では、ミンタカはかなり働き者なんだね。
だからだろうか、まだまな板は三枚しか届いていなかった。
そんなに時間がかかるものじゃないでしょ? スキルがあるんだからさ!