11.単純作業は嫌い
なーんて言って作業を続けてたんだけど。
「飽きた!」
そう叫んでしまった。
そりゃそうだ。同じ草と同じ水を同じ手順で入れるだけ。
もう既に50回近いし、私は単純作業は嫌いじゃないけど終わりが見えないのはしんどい!
嫌なものは嫌!!
「私がしたいのはこういうのじゃない! もっとクリエイティブなことがしたいー!」
「クリエイティブ、とは?」
「こういうシンプルな繰り返しが大事なのも分かるけど、こう、なんて言うかさ……
アレンジするっていうか……
あ、そうだ!
このアパー草って、砕いたり乾かしたりとか、そういうことしないの?」
「……はいぃ?」
「え、そんなびっくりすること?」
「……少し、考えさせてもらえますか?」
そう言ってから、固まってしまった。
「アパー草の状態は、(採れたて)と無印しかありません。それ以外を試してみよう、と言うことですか?」
「そういうこと。普通はしない?」
「しないですね……」
「アパー草を放っておくとどうなるの?」
「腐って《ゴミ》になります。素材扱いではないので何かに使うことは出来ません。
ほかに、(採れたて)というような、少しプラス要素がある状態はありますが……」
なるほど、私の知ってる素材や手作りの感覚とは常識が違うみたいね。
この世界、アイテムに起こる変化はスキルを使うものしかないみたいなんだよ。
つまり、アパー草に何かするならそれはスキルを使う。
包丁で切ったりとかしないの。
アパー草+水+錬成スキル→アパー草の水薬。
あとは、元々の素材の質の平均が品質を決める。
それだけ。
「それじゃあ、楽しくないでしょ。スピカちゃんは、乾かしたりしたことある?」
「ありませんね。やってみましょうか」
「草を加工したいから、先に料理スキル取ろうか」
「料理スキルでも、料理の完成アイテムが手に入るだけで途中経過はありませんが大丈夫ですか?」
「途中経過がないってどういうこと?」
「えー……」
スピカちゃん、説明に困ってるな。
「よし、じゃあ次は料理をしようー!」