109.忘れそうだった
ワールドマーケットでの注文方法は主に二つある。
一つ目は、カストルさんが私にしたように、メッセージを送って直接何を何個作ってくれませんか、って言う方法。
でもこれは人間関係が絡むし面倒くさいから、もっと簡単な方法も用意されている。
今ある出品に、『これを〇個』って数を入力するだけで注文出来ちゃうの。
ただ、これで100とか言うのは相手に迷惑かもしれないから、カストルさんはメッセージしてくれたって訳。
もちろん注文なので受けて貰えない可能性もあるけど、今回は了承してもらえたみたい。
「じゃ、これに目盛り付けてプロキオンに送ればOKだよね。あとやることは何があったっけ……?」
「アカリさま、最初の目的を覚えていますか?
この異空間を広げることですよね?」
「あ、そうそう。何故か錬成の研究に力を入れてたけど、元はと言えば庭を広げる話だったね。忘れるところだったよ。
プロキオンは素材を沢山作ってくれてるし、錬成しないと!」
★★の素材を使えるようになるのはLv.20。
目標は★★★を扱えるLv.40になること。
「Lv.20になったら★★素材を使えるように、アルマクさん達に頼まないといけないねぇ」
「あら、また新しいことを思いつきましたか? やはりアカリさまは天才ですね!」
「いや、これは天才とかじゃないよ? 自分がラクするための下準備。じゃあ、アルマクさんたちのところへレッツゴー!」
お庭に出たら、知らないうちになんか人増えてるしめっちゃ仲良しになってる。
土妖精は前8人だったと思うけど、石塚が10に増えてる。多分また人が増えて10人になったんだよね?
それに、綿羊のねーむちゃんは森に住んでると思ってたら普通に土妖精達と遊んでる。
楽しそうで何よりだね。
「アルマクさーん! ちょっといい?」
「ん、どした?」
「このお庭を広げようと思ってるんだけど」
そこまで言っただけでアルマクさんの雰囲気が変わった。
「すぐに! 広く!」
かなり熱心に要求してくるし、圧がすごい。
前から欲しかったんだろうな。
「広く! 仲間を、もっと増やしたい!」
「そうだね、分かったから、ちょっと落ち着いてくれる?」
情熱的にグイグイ押してくるアルマクさんを宥めにかかる。
「今すぐじゃなくても大丈夫なんだけど、頼みたいことがあって。
この種はアパー草っていう薬草の種なんだけど、育てて貰えるかな?」
「カンタン。任しとけ!」
グッと拳を握って力強く受けて貰えたからこれで完璧ね。というかそこまで熱心じゃなくても大丈夫よ〜?