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7 第7話チャンプとルーザー

 〈おめでとう!君がチャンピオンだ!〉


 俺はそのメッセージを見ながら苦笑する。まさかこんなところでGUNSで一位になった時に見られるメッセージにお目にかかれるとは思わなかった。


 せっかくならチャンピオンシップでこれを見たかったが、仕方ない。終わったしまったものは変えられないのだ。


 やはりこのARゲームはGUNSのデータをそのまま持ってきているのだろう。しっかりと許可は取っているのだろうかと心配になる。

 しかしそこら辺の事情にstream社ほど敏感なところはない。多分大丈夫だろうと自分を納得させる。


 マインデバイスのAR接続を切る。ついさっきまでそこにあった岩や草が消えて、後に何もない白い部屋が残った。



 新に目を向けると、放心状態で口を開けながらぼーっとしていた。


 死んでしまったのだろうか?

 しかし手榴弾であいつをぶっ倒したのはあくまでも仮想の世界の話であるから、生身の肉体に影響はないはずだ。


 そろそろ本気で心配になっていると、新が長いため息をついてから話しかけてきた。


「はぁ、まずは対戦ありがとうございました。正直まさか負けるとは思っていなかったです。僕なんてまだまだだと実感させられました」


「対あり、俺も久しぶりにゲームが楽しいって思えたよ。いい試合になったと思う」


「そうですね、僕も今回はいい試合だったと思います。でも次こそは絶対に負けませんからね、覚えていてください!」


 新はそう言って人差し指を顔の目の前に突き出してくる。


 立ち直れないほど落ち込んでいることを危惧していたが、この様子だったら大丈夫そうだ。この岸宮新(きしみやあらた)という人間はまだまだ成長できるだろう。


「そうか………でも口調はそのままでいいのか?キャラを保つことに意識が向いていると、ゲームに集中するのが難しかったりしないのか?」


「なんのことですか?僕は素もだいたいこんなかんじですよ」


「嘘つけ、ゲーム中の言葉を忘れたとは言わせないぞ」


「………証拠があるんですか?」


 俺はゲーム中にマインデバイスに録音していた音声を流す。


『別にその戦い方は悪くないけど、馬鹿正直すぎるなっ!僕に勝つつもりだったらもっと腕を磨くべきだったと思うぜ』


 それを聞くと(あらた)は変な声を出しながら大袈裟にうめいた。


 床の上でごろごろしながらのたうち回っている。



 どこまでがキャラでどこまでが素なのかは分からないが、愉快な奴だということはわかった。


 羽山が拍手しながら近づいてきた。


「田辺さん、お疲れ様です。正直私は岸宮(きしみや)さんが勝利すると思っていた」


「ま、ゲームの仕様を上手く使えばこのぐらい楽勝っすよ」


 俺が調子に乗っていると、羽山は意外にもそれを否定せずに感心したように頷く。


「全くその通りだ。引き金を引かなくても発砲できるという仕様を利用して、銃そのものを囮にする。そしてダミーに見せかけたスモークを通って接近したところを手榴弾で倒す………思いついてもなかなか実行できることではない。お見事だった」


「なんか、あんたに褒められると背中が痒くなりますね」


「私はストリーマーさんたちを最大限サポートするのが仕事だ。ストリーマーが望むならいくらでも褒めよう」


「じゃあ、今まで俺に辛辣な言葉を投げていたのはストリーマーとして認めていなかったからですか?」


「そういう考え方もできるな」


 皮肉げな笑みを見せた羽山は新の方に向き直って、頭を下げた。


 エリートサラリーマン風の男が、可愛げのある彼にお辞儀をしている様子はシュールで笑えてくる。


「岸宮さん、この度をご迷惑をおかけし、申し訳ございません。身勝手なことだとは思いますが、今回の話はなかったことにしていただけませんか?」


「いいよ、そんなに畏まらなくても。実際僕はゲームに負けちゃったわけだから。当然のことだと思って受け入れるつもり」


 それを聞いて羽山が安心したような表情を見せた。


 ネオの事情についてどこまで語っていたのかは知らないが、全く話していないということはないだろう。

 もし新が逆上して、話したことを全部バラすとか言い出すのが怖かったのだろうな。


「もう帰っていいかな?GUNSのチームメンバーに、やっぱりチャンピオンシップの決勝に出場するって話も伝えなければいけないし」


「それではタクシーを用意させますので少々お待ちください」


「別にいいよ。僕が住んでるところはすぐそこだし、気晴らしに歩いて帰るから」


「了解しました。本日はわざわざありがとうございました」


 新は案内用ロボットの後ろについていって部屋から出ていこうとする。

そのまま帰ると思ったが、新はこちらに微笑みかけてきた。


「Neo先輩、これから配信活動頑張ってくださいね♪」


「……そうだな」


「それじゃあサヨナラー」


最後まで気に食わないやつだった。

(あらた)はこちらに手を振ってから、部屋から出ていった。

【☆☆☆☆☆】  ∧ ∧

        (・∀ ・) <これをな

        ノ(  )ヽ

         <  >


【★★★★★】   ∧ ∧

       ヽ(・∀ ・)ノ <こうするのじゃ

       (( ノ(  )ヽ ))

         <  >

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