52 第23話:配信アーカイブ、Myaoとコラボ
【幽霊屋敷】噂の超怖いARホラゲーを2人でプレイするよ!!!【トッププレイ/Neo,Myao】#猫耳族
「こんネオー、トッププレイ所属のNeoと!」
「Myaoだよ〜」
「「イェーイ!!!」」
2人で宙に浮いている小型の球体カメラに手を振る。
「Myaoちゃん、今日の企画はー?」
「噂の超怖いARお化け屋敷に凸ってみたみゃ〜」
テンションを思いっきり上げていた俺たちだったが、そこで2人同時にため息をつく。
俺のため息はほとんど演技だが、美緒のため息はガチだ。本気でお化け屋敷に入るのを嫌がっている。
コメント:草
コメント:そんなに嫌なら行くなよw
コメント:Myaoちゃんってホラー耐性ないって言ってなかったっけ?
コメント:がんばれみゃ〜www
「Myaoだってお化け屋敷ぐらい余裕なんだけど?あんまり舐めないでほしいみゃ!」
俺たちは今めちゃくちゃ怖いと噂のお化け屋敷の前にいる。
美緒の方から『オーティナティックⅣがプレイできるようになる前に一回コラボしたいんだけど、いいかな?』と誘ってきたため、それに快くOKした。
オーティナティックやAR大会の準備などに忙しい日々を送っているが、ネオならきっと美緒の頼みは断らないはずだ。
元々このお化け屋敷には興味があったし、ちょうどいい機会だろう。
しかし美緒からこのお化け屋敷に誘われるとは思わなかった。なにせ、ここは超絶に怖いということで有名だからだ。
「本当に大丈夫なの?」
「だから大丈夫だって!Myaoのことは気にしないでいいから」
俺がどれだけ言ってももう遅いだろう。もう配信も始まってしまったわけだし。
ちなみに今も周りの人から写真を撮られている。(マインデバイスで写真を撮影するときは、手でポーズを取らなければいけないため、撮影していればすぐに分かる)
俺はそれに笑顔を少しだけ見せて目線を向ける。
今の時代に無断撮影はおやめくださいなんて古いと思う。気軽に写真を撮ることが出来るのだから、いくら言っても無駄だろう。
それならたくさん撮ってもらってSNSに流して宣伝してもらう方がマシだ。ネオになると立候補した時から、これぐらいのことは覚悟していた。
お化け屋敷の中に入ると、着物を着た女性が1人立っていた。
「ひえっ、お化け?!」
美緒が悲鳴を上げるが、その女性はにっこりと笑った。
「いえ、お化けではありませんよ。私はただの人間、この幽霊屋敷の案内人でございます」
「あ、お化けじゃないんですね……失礼しました…………」
美緒が気恥ずかしそうにうつむいた。
コメント:悲鳴助かる
コメント:びっくりしてるとこめっちゃ可愛い
コメント:いい反応やな
コメント:ビビりすぎやろw
コメント:確かになんだか怖い雰囲気やけどwww
コメント:大丈夫やで、わいも普通に驚いたから
コメント:Myaoちゃんとピッタリ一緒のタイミングで悲鳴出たわ、やっぱり俺とMyaoちゃんは一心同体やな
この配信は美緒のチャンネルで行っているためチャット欄には美緒のファンの方が多くいる。
自分のところのファン層と美緒のところのファン層は全く違うということは理解していたが、こうもコメントの雰囲気が違うとは思っていなかった。
なんというか…………愉快な男性の方が多めな感じがする。同じトッププレイでも軽くカルチャーショックを感じた。
「まずはこの幽霊屋敷に訪れていただきありがとうございます」
そう言って女性が頭を下げた。
「ここはかつて貴族が住んでいた屋敷でございます」
彼女は身振り手振りを交えながら話し始めた。
「ここに住んでいた貴族は傲慢で欲深く、大きな腹を抱えていました。
ある時貴族は自分に仕えていたメイドを襲い、レイプしてしまいました。彼女は手足を縛られていて抵抗できなかったそうです。
メイドはそのことで心を痛ませ、ついに屋敷の中で自殺してしまいました。
当時メイドと婚約を交わしていた青年は、彼女が自殺したということを知って怒り狂い、貴族たち一家を惨殺しました。
そして貴族の血で赤く染まった部屋の中で、その青年も自らの首にナイフを当てその命を断った、そんなお話が残っているのがこのお屋敷でございます」
「それ、本当なの……?」
「はい、少なくとも私は本当の話だとうかがっております」
「めっちゃ怖いんだけど……」
美緒が自分の体を抱きしめる。
ただ流石に本気で怖いとは思っていないと思う。配信を盛り上げるためのリアクションだろう。
コメント:これは結構怖いな……
コメント:いい感じにホラーな雰囲気出てる
コメント:俺もここ行ったことあるけど、マジで怖かった
コメント:メイドちゃんをレイプするなんてけしからんお!メイドとは遠くから愛でる者だと僕は思うわけで……いや、しかしキモおじ貴族に手足を縛られるメイドちゃんというのもまた興奮するな…………僕はどうすればいいんだ?!自分の中で2つの意思が闘っている!Myaoちゃん、僕はどうすればいいのか教えておくれ!!!
「………………うわぁ」
「ネオちゃん、なんか言った?」
「ううん、なんでもないよ」
見ないふり、これ大事。
「お客さまに何点か注意事項がございます」
「なんでしょうか?」
「一つ、屋敷内の物には無闇に触らないでください。破損した場合、弁償してもらうことがあります。二つ、マインデバイスのAR接続を途中で切らないでください。三つ、屋敷内は照明があまりついていないので、この懐中電灯で屋敷内を照らしながらお進みください」
俺たちは差し出された懐中電灯を受け取った。使い古された懐中電灯だ。
「四つ、この懐中電灯は非常に古いものですので、ごく稀に誤作動を起こすことがございます。十分に注意してくださいませ」
俺たちは黙って頷いた。
「そして最後に、幽霊たちは光を感知することができませんので、音さえ立てなければ気付かれることはありません。決して音を立てないようにしてください。注意事項は以上でございます、宜しいですか?」
「はーい、大丈夫です」
「了解いたしました。それでは幽霊屋敷を存分にお楽しみくださいませ。三名様のご案内で宜しいですね?」
「え?」
美緒と俺の声が被った。俺たちは2人しかいないはず…………『三名様のご案内で宜しいですね?』だと………?
ファンの方がこっそりお化け屋敷の中まで着いてきたのか?
俺はゆっくりと後ろを振り返る。
「――わダしも、ツれでいっテヨぉ」
眼玉が神経でかろうじて繋がっている、髪の長い女性がそこには居た。
「きぃゃぁぁあ!!!!!」
俺たちは同時に悲鳴を上げて、そいつからダッシュで逃げる。
すなわち入口から遠ざかり、屋敷の中へと逃げていく。
案内人の女性は気づいた時にはいなくなっていた。




