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36 オーティナティック実況(6)


 研究室に戻った俺たちは、その対オーディン兵器のプロトタイプというものを探していた。


「あった………」


 ユーゴが手を止めて見つめる先に、レールガンを2回り大きくしたような兵器があった。


「これが、レールガンプロトタイプ………」


 ユーゴが慎重にそれを持ち上げる。


「これ、結構重いな」


「まぁ、重そうな見た目してますもんね」


 彼はそのプロトタイプを隅々まで観察して、優しく撫でている。

 俺はテーブルに置いてあった資料に目を向ける。そこにはプロトタイプの開発計画や性能について事細かに書かれてある。


「今までのレールガンよりためを長くすることで、有効射程範囲を伸ばし、威力を何段階もあげることのできる兵器らしいですね。資料には“狙撃用のレールガン”と書いてありました」


「そうだな、これはまさに狙撃用って感じがする」


「分かるんですか?」


「なんとなくだよ。特に根拠なんてものはない」


 俺はなるほどと適当に相槌をうつ。


「これからその狙撃用のレールガンを使用していくおつもりですか?」


「もちろんだ。これは親父がおれに残してくれた形見みたいなものだ。使わないなんて親不孝な真似はこれ以上できないさ」


「ユーゴ中尉本人がそういうなら止めませんが……それでも武器をいきなり変えるというのは、それまでの戦闘スタイルを一旦忘れなければなりませんし、きっと大変だと思います」


「そんなことはわかっている。だがどうせ戦術用スパイクが修理できそうにないのだから、今までのスピードを活かした戦闘スタイルは変えざるを得ないだろう」


 彼は自分の足につけているスパイクに目を落としてそう言った。


 マービン博士はこれまでとは違うタイプのレールガンを研究していて、プロトタイプの実物が置いてあったが、スパイクの研究はされていなかったため実物がない。しかも博士は今さっき帰らぬ人となってしまったため、修理できる人間がここにはいないのだ。


「それでは出発しましょう」


 研究室の中をだいたい探し終えた俺たちは、この部屋に入るときにパスワードを入力した扉を開けた。

 そして地上へ戻ろうとした時、システムアナウンスが流れた。


 〈ワープ機能が解放されました。ワープ地点として登録した場所なら、いつでもワープすることができます〉


 〈マービンの地下研究所を【ワープ地点】として登録しますか〉という表示が出てきた。


「中尉、なにか声が聞こえませんでしたか?」


「……いや?何も聞こえないが」


 なるほど、だとするとこれはプレイヤーにだけ聞こえるシステムメッセージのようだ。

 俺はYESを選択する。


 〈ホログラムマップからいつでも【ワープ地点】を選択することができます〉


 俺は手のひらにホログラムマップを映し出す。たしかにそこにはマービンの地下研究所が登録されていた。


 これを使えばいつでも好きなだけ瞬間移動ができるようだ。

 ワシントンに行けばこっちに戻ることが難しくなるかも知らないと思っていたから、この機能はとてもありがたい。


「すみません、わたしの聞き間違いだったようです」


 そうして俺たちは狭い穴の壁についているハシゴを登り、地上へ戻った。

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