28 第17話:“ゲーム”の四天王
【オーティナティックⅣ参加者リスト】
・Neo[トッププレイ]
・GLORIA[トッププレイ]
・HERO[ REMIX GUN]
・UMA[REMIX GUN]
・――
・――
・メガトン[ First Gaming]
・ナギサ[ Dream Lagoon]
・――
参加者のリストに目を通す。
俺を含めて8人のストリーマーたちがここに参加するようだ。トッププレイからは俺と莉亜が参加する。
8人の全員がstream社のゲーマー部門に属している。聞いたことのない名前もあったが、ほとんどは名前ぐらいは聞いたことのあるやつばかりだ。
stream社ゲーム部門の中でも代表的なメンバーが集まっている。
そんな豪華メンバーの中で一際目立つ名前がある。
「参加者にメガトンってやつがいますけど、これってまさか………」
「よく分かったな。あのプロゲーマーのメガトンだ」
俺は思わず天井を見上げた。
彼は有名な格闘ゲームのガチプロゲーマーだ。俺たちみたいに配信も同時にするゲーマーではない。大会の賞金とバッグにつくスポンサーだけで生計を立てているプロゲーマーだ。
「厳しい戦いになりそうですね」
「メガトンさんはたしかに格闘ゲームなら無類の強さを誇るだろう。しかし今回対戦するのはロボットゲームだ。彼の強みが完全に生かされるとは思えない」
「それは、そうかもしれませんけど……」
俺は羽山に言いくるめられそうになる。
たしかに勝てないこともない気もしてきたが…………羽山の言っていることは少し誤っている。
オーティナティックⅣは確かにロボットゲームのパッケージをかぶっているが、その本質は格ゲーだ。
一般的なロボットゲームは運営から用意されているキャラを使うのではなく、自分でカスタムしてそれを使う。どこまでメインキングできるのかの自由度はゲームによって異なるが、少なくとも武器と機体と装甲を入れ替えることぐらいはできる。
しかしオーティナティックⅣはそれすらもできない。
基本的には運営から用意されたキャラクターしかバトルで使えない。
オーティナティックⅣにもカスタム要素はあるが、ステータスをちょっとだけいじられるだけ。正直言っておまけ程度の機能だ。(プロの世界ではそのおまけ程度の機能が物凄く重要になってくるが、今回はそれについて言及しない)
オーティナティックⅣはロボットゲームというより格ゲー要素の強いゲームだ。
メガトンさんにアドバンテージを取れることができるとは思えない。油断せずに挑もう。
「しかしメガトンさんを知っているとは思わなかったな。なにか縁でもあったのか?」
「……俺は彼に憧れてゲーマーになろうと決めたんですよ」
「メガトンさんに?」
「そうですよ。何の目標も無かった養成学校時代に、あの人のプレイに魅せられたんです」
「なるほど、しかし彼は当時ほぼ無名だったはずだが」
「たまたま彼のプレイを生で見る機会があって、そこで一目惚れしたんです」
俺は思わずメガトンさんの魅力を羽山に伝えようとしたが、今話すべきことはそれではないと思って、湧き出る気持ちを抑えた。
メガトンさんはstream社創設時の4人のメンバーの1人だ。
「確かstream社が作られた時に居た先輩方って特殊な呼び方されてましたよね、何でしたっけ?」
「“四天王”のことか?」
「それです」
「そう言う風に呼び始めたのはMyaoさんが最初だったな」
「正確には真緒のリスナーが呼び始めたのを見て真緒がそう呼んだんですけどね。あいつ、こういう“四天王”って言葉が大好物なんですよ」
“四天王”っていう枠組みが作られて、A世代、B世代なんて呼称ができたのもその時だったな。確か4年ほど前のことだったはずだ。
stream社創設から1年目までをA世代、2年目までをB世代というように呼ぶ。
MARIEさんはA世代、俺やネオや莉亜なんかはB世代、真緒はC世代にあたる。
あれからもう4年も経っているなんて信じられない。つい昨日のことのように感じられる。
「それにしてもこんな大物どうやって呼んできたんですか」
「実はメガトンさんのスポンサーの一つにオーティナティックの運営会社があってね、オーティナティックⅣを宣伝して欲しいということでこのエキシビジョンマッチの話が上がったんだ。
エキシビジョンマッチはstream社側からしてもメリットのある話だったから受けさせてもらったというわけだ」
「スポンサー繋がりでしたか。それでもメガトンさんなら面倒くさがりそうですけど」
「確かに初めは嫌がっていたが、彼のマネージャーが頑張って説得したらしい。『オーティナティックⅣは最新の技術が盛り込まれているゲームなので、これをプレイすれば今専門にしている格ゲーにも良い影響が出ると思います』という言葉が決め手になったらしい」
自分の格ゲースキル向上のためにこの大会に参加するのか、メガトンさんらしいな。
あのメガトンさんと対戦できるかもしれない、そう思うだけでワクワクしてきた。
とりあえず第1作目の『オーティナティック』をプレイしてみよう。メガトンさんとの差を埋めるためにも、出来ることは何でもやりたい。
同じオーティナティックシリーズなら、操作感も似ているだろう。練習が1週間しかないらしいから、事前に肩を慣らして損はない。
「次のAR大会でオーティナティックの新作をプレイするってことを公開しても大丈夫ですか?」
「今日は遠慮してもらいたいが、明日からならちょうど3週間前になるため問題ない。むしろ大きく宣伝して欲しい」
「配信で『オーティナティック』をプレイすることも問題ないですか?」
「もちろんだ」
時刻を確認するともう5時だった。
「そろそろ配信の時間なんでスタジオに向かっても構いますね」
「あぁ、もう伝えるべきことは話し終えた。すまなかったな、貴重な時間を取らせてしまって」
「大丈夫ですよ。AR大会のことはしっかり見据えなければならないことですし、マネージャーとの意思疎通は重要ですから」
「そうだな、たしかにストリーマーさんたちと我々の連携は必要不可欠だ」
俺は羽山に礼を言ってから事務室を出る。そして誰もみていないことを確認してからネオの皮をかぶる。
四天王はそれぞれがエンターテイナー部門、ゲーマー部門、アイドル部門、アーティスト部門に所属しています
今のstream社に四つの部門があるのは彼らの影響です




