表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/52

17 第6話:オカマと猫系女子

「……というわけで明日、ネオとしてトッププレイの皆様方とプライベートの時間を過ごす予定なんですが。なにかアドバイスとかってありませんか?」


「毎月やっているあれか……」


 俺は明日に向けて、羽山に相談しにきていた。


「そのこと知ってたんなら教えてくださいよ。俺、昨日初めて聞いたんですよ」


「すまない。来月のAR大会や、Neoの失踪であなたをサポートする余裕があった。マネージャーとして反省している」


「そこまでかしこまらなくて結構です」


 羽山に気を取り直すよう促して、アドバイスを求める。


「そうだな。とりあえず昨日のGLORIAさんはなんと言っていた?」


「配信だけを見る上では、特に違和感はないと言っていました。自分でも思った以上に演じることができて嬉しいです」


「そうか、それは良かった………私も田辺さんがNeoになっているのはほぼ完璧だと思っている」


「褒めてくれているんですか?」


「もちろんだ。あなたがいなければ来月のAR大会もどうなるか分からなかった」


 たとえお世辞でもそう言われると嬉しい。


「トッププレイの皆さんもおそらく田辺さんがネオになっていることに違和感を抱いている人はいないだろう」


「はい」


「しかしそれも配信上での話だ。実際にリアルであって話をして、コミュニケーションを取ればバレる可能性ももちろんある」


「そら、そうでしょうね」


「特に初対面のMARIE(マリー)さんとは話が合わないこともあると思う」


 MARIE(マリー)……確かに聞いたことのない名前だ。羽山に顔写真も見せてもらったが、やはり記憶にない。

 ガタイが良くて長髪の男性だ。


「確かにトッププレイの中でその人だけ会ったことないですね」


「そこで、ある作戦を考えた」


 羽山がその作戦とやらを説明する。確かにこれならなんとかなるかもしれない。



◇ ◇ ◇



「ンッ!第15回、みんなで息抜きしよぉぉ!!!!」


「「いぇぇぇい!!!!」」


 莉亜が大声を出すと、他のみんなが一緒になって場を盛り上げる。

 俺は今、莉亜の家でトッププレイの皆様方とくつろいでいた。


「Neoさーん、お久しぶりねぇ。しばらく会えなくて寂しかったのよ」


「MARIEさんとは数週間前に一緒にゲームしたよね?」


「そうじゃないって。プライベートでなかなか会えなかったってことよ」


 今話しているのが、トッププレイのMARIE(マリー)だ。


 ガッチリした筋肉のついている30を超えているおっさんだ。すでにお酒を飲んでいるらしい。頬が少し赤くなっている。


 今日のパーティメンバーの唯一の男性でもある。いや、男性という言い方はあまり良くないかもしれない。 

MARIEさんはトランスジェンダーだ。彼のことをオカマだと表現する人もいるが、微妙に違うらしい。




 ただ俺も外面はネオだが、中身はおっさんだ。MARIE(マリー)さんの気持ちに共感できるところはあるかもしれない。



『KENのプロフィールをもう一度確認する。KENはレトロゲーム攻略のガチ勢だ。この間のNeoとKENのコラボはディスプレイを使う一昔前のギャルゲーをプレイしていた。ここまでは大丈夫だな?』


 羽山の声がマインデバイスを通じて聞こえる。


 これこそが今回の作戦だ。どうせ俺は彼らとネオとの関係性や最近の出来事を全て把握できないから、羽山にリアルタイムで教えてもらう。


 しかしこちらから連絡できないのが難点だ。流石に心の声を相手に送るのは難しいらしい。

 親会社のDeedlカンパニーに出来ないことはないと思っていたのだが、こればかりは仕方あるまい。


『MARIEさんの扱っているゲームとNeoの扱っているゲームはほとんど被っていない。そのゲームの話題を振られても、分からないと言っておけば大丈夫だ』


 俺は心の中で「わかりました」と返事する。



莉亜がぷはぁーと長い息をついた。


こいつ……もう酒を飲んでいやがる。


「今日は杏奈ちゃんが引退して、初めて集まった。最近はどんどん忙しくなってきたから、こういう時間を大切にしていきたいねぇ」


 莉亜がしみじみと話す。今は彼女もだいぶカジュアルな格好をしている。


 Tシャツにジーパンととてもシンプルだ。一昨日街角リーグで俺をボコボコにした時の服装とは全く違う。


 今回参加しているのは4人だ。俺と莉亜とMARIE(マリー)、そして―――


「真緒はそれでもみんなで集まれて嬉しいよ」


 朝倉真緒、Myao(ミャオ)として活動しているトッププレイの最年少だ。


『Myaoさんはゲーマー部門で最も多い時間、配信をしておられるストリーマーだ。田辺さんがチームを抜ける前からstream社で活躍している。当時はまだ学生だったはずだ。NeoとMyaoさんには深い親交があり、Neoが失踪する前日もコラボをしていた』



 真緒とは初対面ではない。こいつは根っからの配信廃人で、俺が養成学校にいた頃も一般の高校に通いながら配信活動をしていたらしい。


『今回最も警戒すべき人物なのは彼女だ。Neoと距離が近かった上に、Myaoさんには動物的勘というべきものが備わっている。決して油断はしないでもらいたい』


 少しだけ拳に力を込める。周りからバレないぐらいの小さな力だ。


 俺と真緒は面識がないわけではないが、特別親しい仲というわけではなかった。


 彼女の方が社交的な性格をしているから、2人きりの時もお互い黙りこくるなんてことはないが、積極的に話し合うというわけでもない。


 ちなみに彼女は配信上では語尾に『みゃ』がつく。「これからよろしくみゃ」といった具合だ。


 まぁいくら美緒さんでも、莉亜も配信上では違和感感じないって言ってたし、バレることはないだろう。

MARIEマリー[トッププレイ]

本名、相川洋太あいかわようた 



主にVRMMORPGの有名タイトル『モンスターズ・オンライン』をプレイしている。


元々ゲームの評論をしていたが、7年前にstream社に所属した。いわゆるA世代の1人である。


stream社加入後は幼馴染のGENゲンと一緒に活動していたが、方向性の違いからバディを解散し、GENは[コレクター]にMARIEは[トッププレイ]に所属した。

しかしGENと不仲というわけではなく、今でも頻繁にコラボをしている。


stream社加入前は自身がトランスジェンダーだということを明かしていなかったが、stream加入とともに公表した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ