『鏡』の中の『口吻(キス)』
鏡の中の自分
不可視
ありのままにさらけ出された
裸
どこまで脱いで見ても
直視出来ない
どこまでも被り続けた
夜の仮面
皮膚の下で蠢く
三面鏡台の中の真夜中の私
向こう側にいる自分
泣きそうになって
誰かを求める
月の明かりだけが
裸の私をどこまでも照らし出す
炙り出す
卑しめて
貶めて
辱めて
真意に染まる血液を流せば
皮膚の下で蠢く仮面
剥がせるだろうか
乖離した勇気
合わせ鏡の中の無限世界
幾重にも織り成す世界の果ての全て
どこまでも続く未来信じて
目を閉じる
祈る
鏡の中にいる
もうひとりの自分
無限にいる
過去から色づいて
月の明かりが
鏡に触れる
幾つもの自分
いつしか割れてしまった
割ってしまった
心の彼方に
自分の行方を
合わせ鏡の中に
無限に世界を彷徨うように
卑しめて
貶めて
辱めて
私をどこまでも炙り出す
合わせ鏡の中の無限世界
裸にして
泥沼よりも窒息しそうな底
遥か彼方に
帰りたいと願った
本当の自分
穏やかな海へ
光輝く空へ
夜の口唇の奥から溢れ出す
真夜中の深海魚
海底奥深く沈みこむ
私自身の幸せ
眠る眠る
どこまでも溶けていくなら
昨日アナタが食べ残した口移しのチョコレート
眩暈した口吻の刹那
真夜中の合わせ鏡の中を泳ぐ
あなたの口唇から爪先へ
窒息しそうなほど
永遠
穏やかな貴方の海へ
手を触れる
鏡の中の世界にいる
今の自分の行方
仮面脱いで
唇口の奥へとしのばせる
いつしか割れてしまった
心の世界
色づいて
幾重にも織り成す海の底
舌先が
棘皮生物のように這う
鏡の向こう側の未来信じて
目を閉じる
合わせ鏡の中
一緒に立っていたかった
アナタの口唇へと口吻る
卑しめて
貶めて
辱めて
煌めかせて
トキメカセテ
合わせ鏡の中
私自身が反射しあう