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第1話 任務

異世界は異世界ですけど、地球をモチーフにしているので、ローファンタジーにしています。

地球要素出てくるかと言われると、ちょっと微妙ですけど。

それはともかく、一生懸命書きましたので、楽しんでいただけると嬉しいです!

「はぁっ・・・はぁっ・・・」


 荒廃して、もう都市としての機能を果たしていない街中でのこと。

 小さな子供を抱きしめた母親が懸命に走っていた。


「はぁっ・・・はぁっ・・・」


 今にも力尽きそうな体に鞭を打ち、母親は走り続ける。

 止まってしまえば、どうなるか、分かっているからだ。


『ウオォォン!』


 逃げる親子を追いかけているのは、オオカミの形をしたロボットだ。

 数体で親子を追いかけている。

 だが、疲労困憊で子供を1人抱えている一般人相手に追いつけないのか。

 それは相手をいたぶっているからだ。


『ウォォン!』


「はぁっ・・・はぁっ・・・」


 まるで親子を急かすかのようにオオカミのロボットは吠える。

 母親は吠えられるごとに少しだけ走る速度を上げるが、もう疲れている体は上げた速度よりも下がる速度の方が早い。

 そうこうしていると、母親は足を引っかけて、こけてしまった。

 子供を庇うかのように地面に倒れこむ親子。

 オオカミ達はこけた親子を取り囲むように移動し、徐々に親子に近づいてくる。

 もう少しでオオカミの牙が親子に届きそうとなった瞬間だった。


『ギャンッ!』


 親子を追いかけていたオオカミにどこからか飛んできた円錐型の槍が突き刺さる。

 オオカミはそれに貫かれ、吹き飛んだ。

 オオカミ達は槍が飛んできた方向を警戒する。

 親子もオオカミ達が向いている方向を見ると、人が3人立っていた。


「対象は動物型(アニマル)のウルフ4機、その内、1機は即撃破。」


「リーナ、まじめすぎ!1対1で各個撃破でいいでしょ!」


「・・・アンナが適当なだけ。」


 その3人は高校生の20歳にもなってなさそうな少女達だった。

 母親は少女達に「逃げて」と言おうとした瞬間、少女達が動き出す。

 弓を持った少女、ミラはオオカミのロボット、『ウルフ』の頭部を矢で貫き、剣を持った少女、アンナはウルフの首を斬った。

 無手だった少女、リーナは地面に刺さっていた円錐型の槍を地面から引き抜き、かなり大きいその槍を軽々と扱い、ウルフを貫き、地面に叩きつけた。


「オールクリア。敵はいませんね。」


「ほーら、簡単簡単。ウルフ程度に負ける私達じゃないでしょ。」


「・・・それでも警戒は解かないのが普通。」


 母親も、そして抱きかかえられた子供もぽかんと自分達を追いかけていた敵を簡単にやっつけてしまった少女達を見て、呆然としている。


「大丈夫ですか?」


「は、はい!ありがとうございます!」


 母親は真面目そうな少女に声をかけられて、呆然とした状態から復帰する。

 慌てて立ち上がり、頭を下げた。


「お姉ちゃん達ありがとう!」


 子供も笑顔で少女達にお礼を言う。

 少女達は照れ臭そうにしていた。


「どういたまして。」


「お、珍しい。リーナが照れてるぞ。」


「アンナ?」


「ひえっ!私、周りを確認してきまーす!」


 アンナは、ジロッとリーナに睨まれ、慌ててその場から離れていった。


「・・・すぐにいらないことを言うから、そうなる。口は災いの元。」


 ミラは呆れた様子で走り去っていくアンナを見ていた。

 リーナもアンナがどこかに行ってしまったので、気を取り直して、親子に話しかける。


「私達が護衛しますので、一緒に避難所の方に向かいましょう。」


「は、はい!本当にありがとうございます!」


 母親は頭をぺこぺこと少女達に下げる。

 リーナはかしこまられた様子にちょっと困った雰囲気だった。


「では、行き・・・」


 リーナが案内をしようと、動き出した瞬間。

 ズドンッ!とリーナの後ろに何かが落ち、砂ぼこりを上げた。

 ブワッと上がった土煙に巻き込まれるリーナ達。

 砂ぼこりが目に入って、なかなか目を開けられない状態だった。


「くっ!ラビットですか!?」


「・・・分からない。っ!嘘・・・そんな・・・。」


 ミラが何かを分かったのか、呆然としている。

 リーナはミラに聞こうとした瞬間、視界の端に何かが映った。

 バッとそちらの方向を見ると、何かの巨大な影が砂ぼこりの中にあった。

 その情報から導きだされた答えはリーナを絶望へと落とすものだった。


「そんな・・・なんで、こんなところにキメラが!?」


 砂ぼこりが晴れ、全貌が見える。

 そこにいたのは、翼が生えた巨大なオオカミの形をしたロボット、通称『キメラ』と呼ばれる存在だった。

 呆然としていたリーナだが、子供の泣き声が後ろから聞こえて、はっとなる。


「逃げてください!」


「で、ですが・・・」


「早く!」


 母親はリーナに怒鳴られて、慌てて泣いている子供を抱きかかえると走り去っていった。

 リーナはそれを確認した後、呆然としているミナへと話しかける。


「ミナ!早く、弓を構えて!本部に緊急連絡を送りました!時間を稼ぎましょう!」


「・・・嘘・・・そんな・・・・なんで・・・・。」


 リーナが話しかけても、ミナは呆然としたまま、目の前にそびえたつ、キメラを見ている。


「ミナ、早くしてください!このままじゃ、直ぐに全滅します!」


「そんな・・・・なんで・・・・アンナ・・・」


 リーナはミナのつぶやきから、アンナという言葉を聞き取る。

 嫌な予感、想定が頭の中に浮かんだ。

 見ちゃいけないと頭の中では分かっても、体をそれに反して、ミナが視線を向けているキメラの口元へと視線が移った。


「っ!」


 リーナが見たのは、キメラに噛まれ、血だらけになっているアンナだった。

 先程まで、ふざけていた活発な少女が赤く染まり、ピクリとも動かなくなっていた。

 ペッとキメラはアンナを口から出す。

 体の大半は残っていなかった。


「あぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ミナはその光景を見て、錯乱し、弓を構えて、矢を射続ける。

 煩わしそうにするキメラが動き出したのを見て、リーナはその場から慌てて離れた。


「ミナ!早く動いて!その場から離れてください!」


「あぁぁぁぁぁ!」


 ビシュッ、ビシュッといつもの落ち着気を失い、ミナは矢を射続ける。

 それはキメラが前足をミナに向かって、振りぬいても同じことだった。

 ズバッとキメラの爪によりミナが切り裂かれる。

 こみあげてきた吐き気を押さえこんで、リーナは親子が逃げた方向の真逆へと逃げ出した。

 キメラへとすれ違いざまに槍を投げた後、アンナが持っていた剣を手に取る。


『ウオォォォン!』


 キメラはリーナのことを追いかけてきた。

 リーナは直線距離ではキメラに追いつかれることは分かっているので、横道へと逃げる。

 キメラは老朽化した建物を粉砕しながら、リーナを追いかけてきた。


(追いつかれる!)


 一か八か、リーナはくるりと反転すると、キメラに向かって走った。

 キメラはそれを見て、前足をブンッと振りぬく。

 目の前の建物が吹き飛び、リーナの姿は見えなくなった。

お楽しみいただけましたか?

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コメントだけでもやる気が出ますので、送ってください!

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