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始まりの出来事
「有田さん、一緒に合コン行かない?」
「ごめんなさい。私、合コンとか興味ないんで」
「……そうなんだ。じゃあ、また明日ね」
「さようなら」
「……行こ」
ぞろぞろと定時で帰っていく女社員たち。
私以外に誰もいないオフィス。
耳に入ってくるのは自分のキーボードをたたく音だけ。
仕事が終わったのは夜の11時前だった。
「……合コンなんて誰が行くか」
ぽつりとつぶやいて席を立つ。
家に帰る道。
いつもと変わらない日常。光景。
ずっと会社漬けの日々が続くと思っていた。
それなのに……
「おい!あぶねー!」
ドンッ!
「キャーーーーー!!」
「誰か!救急車ー!」
あれ?景色が横向きだな。
それに、地面に流れてるのは……血?
その瞬間、私の意識は途切れた。