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05:スパイじゃないとして

このコンセプトカフェ……いや、地球防衛軍の基地という名のフロアには勝利を喜ぶ声と拍手が響く。

ゲームに勝っただけなのに、物凄い喜びようであった。

そして、僕は相変わらず、椅子に縛り付けられたままだった。


「あの……そろそろ、このロープを解いてもらっても良いですかね?」

「え?何言ってるの?スパイ野郎のくせに!……あーはん。さては、仲間をやられて、報復でもするつもり?は?私を騙そうなど100万年早いわ!」


自分で勘違いして、僕をこの場所に連れてきたクセに、ヒドイ暴言と呆れた語彙力だ。

ここは、さすがに言い返そう。

このままでは、本当に『スパイ野郎』と冤罪を受けて、しかも謎の注射まで打たれ、大変な事になり兼ねない。

もう人間としての気遣いなどしてる場合ではない。


「わかりました!!!わかりましたよ!」

「やっと、観念したか。スパイ野郎!」

「違います。とりあえず、茶番って事は理解しました」

「なんですって?」

「これ、なんですか?アレですか、テレビ番組ですか?何も知らない素人を陥れて笑いをとる、低俗なバラエティ番組ですよね。さすがに僕だって怒りますよ」


その言葉に、茶髪男子のカンバヤシが言う。


「うぉ!……スパイでも、怒らせたらやべぇんじゃね?」

「だから!スパイでも何でもないですって!」

「じゃ、安心か」

「そうじゃなくて!!!!いいですか、こっちは勝手にこの場所に連れて来られて、縛られているんですよ。いくらテレビだからって、こんなの犯罪じゃないですか!それに、何なんですか?人をスパイとかって疑って、こんなゲームを見せられて、何がしたいんだ!アンタたちは!」


よし……。

わりと、言いたい事を言ってやったぞ。

さすがに、こっちの本気も伝わったでしょ……と、思ったのだが、花沢という女の表情は変わる事はなかった。


「……で?」

「はい?」

「だから、仮にスパイじゃないとしよう。それで、何が変わるの?」

「え……?」

「キミがスパイじゃなかったとして、この状況が何か変わるのかって聞いてるのよ」

「変わるでしょ!そりゃ、無関係なんだから、解放するでしょ!」

「ムリよ。こっちは、キミを気絶させて拘束するくらい本気なの……良くって?」

「……そんな……無茶苦茶な……」


全然、話が通じない。

むしろ、これじゃ、スパイとか関係なしに拘束して記憶を消すみたいな事は絶対するって事なの?

そんな事を考えていると、眼鏡男子のモモタが声を上げる。


「はいは―――い!このスパイさん……じゃなく、この人の事を調べたっすよ」

「ちょ!!!」

「はいはい。財布から免許書拝借したり、SNSなどを使って、細かい事もバッチリ情報収集っす!いやぁ~怖い!怖い時代になった~もんだ~ね」

「財布とか勝手に!!!」

「へへへ。勝手にごめ~んっす。『佐藤春樹』さん。ちなにみ、年齢は23歳。住まいは都内の家賃7万のワンルームで一人暮らし。彼女も、彼氏もなしっす!趣味はゲームで、2ヶ月前に学生時代から5年間も勤めていたネットカフェでのバイトを辞めて、こっちに上京したものの、次の仕事のアテはなし……っと、ここまでで、別に怪しいところは見当たらないっすね」

「……個人情報を……」

「ちなみに、バイトを辞めた理由は―――」

「何となくだよ!」

「いや……違うっすよね。同期や後輩たちが、次々と就職やら、別の仕事を決めて離脱していく中、取り残されていく感じに耐えられなくなっての退職」


その言葉に、魔法少女のミナミが言う。


「ちょっと分かるかな……気付けば古株扱いされるの……何か現実が襲ってくる感じがして、嫌だったもん……」

「そ……それは……。で、で、で、でも!何で、勝手にベラベラ喋ってるんだよ!と言うか、何でそんなの解るんだよ!決めつけるな!」

「まぁ、まぁ、落ち着いて」

「落ち着けるか!!」


僕は、力ずくでロープを解こうと動くが、まったく解ける気配はない。

それを見て、花沢が告げる。


「何で解るか―――って、そんなの当たり前なの。だって……地球守ってるんだから。私たち」

「……そんなバカな話」

「そうね。バカな話よね。でも……少しは信じてもらえたと思うの―――だから―――」


花沢は、いつの間にか手に注射器を持ち近付いてくる。


「まて、まて、まて、まて、その流れで『じゃぁ』とはならないですって!」

「は?往生際が悪いんじゃなくって?ヤラれなさいよ」

「無理、無理!ムリですって!!」


そんなやり取りをしていると、フロアに一人の男性の声が響いた。


「はーい。はいはい。そこまで、そーこーまーで」


つづく


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