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39.特攻野郎Aチーム風中継車

 深夜のムサノ中高学内。

 朝練を控えた体育会系の部員を除くと、寮の管理人や宿直の教師の目をかすめて、深夜に活動を活発化させる学生も多い。

 そんな中、新聞部部長兼編集長の大江も、夜の散策へとでかけていた。

 今のところ無期限の新聞発禁とされてしまい、仕方なく掛け持ちでやっている居合道部の稽古でストレスを発散させて、保守派の教師達の目をごまかしつつ、実は水面下で活動している。

 自室で進めていた書き溜用の原稿から一次離れて、宿直教師の巡回時間と場所を記した学生外極秘の地図を確認して外へと散歩に出た。

 自動車部や航空部等々が入った大学部と共有の巨大ガレージ、通称“メガドッグ”の方からは煌々と明かりが漏れている。

 大温室の方に行って深夜の森林浴でリフレッシュしようかとも考えたが、デート場所としても利用されることも多いので、余計なものを見ないようにとそちらは避けて、ドッグの方へと向かった。

 趣味のバイクカスタムから海外のレース参戦予定のソーラーカー、夏に鳥人間コンテストに参戦して離陸後数秒で墜落大破した人力飛行機等々、真夜中にも関わらず、各々が色々な作業を行っている。

 大江の予想通り、案の定、自動車部の藤木を始め、長島、長谷川、高梨、そして映像研究会の中村まで集まって、倉庫の片隅置かれた黒塗りのハイエースの周りで作業を行っていた。

「なにしてんのぉ?」

 熱心に何やらハイエースに積み込んだり、設置していた藤木達が一斉に飛び退いた。

「へ、編集長?!」

 ハイエースの影から高梨が、

「なんで、こんなところに、そんな格好で!?」

 いつも編集部にいるときの全身ジャージ姿ではなく、白地に青の柄の入ったワンピースを来ている大江に二度驚く。

「そんなに驚くことないじゃない」

 少し拗ねたように見えたのは気のせいか。すぐに大きめの丸メガネの奥の瞳がキラリと光って、

「私に黙って、なにやってるのかしら?」

 特攻野郎Aチームよろしく、全身黒ずくめボディに赤のライン、ウィンドウにはすべてシールドが入ったトヨタハイエースに、ずけずけと上がり込む。

「べ、別に隠してたわけでもないんだけどね」

 藤木が道を空けた。

 屋根に大型のアンテナを複数設置したハイエースの中には、撮影録音機材を始め、大型のバッテリー、簡易無線機、そして、映研と書かれたソニー製のカメラとマイクが数台設置されていた。

「放送中継車?」

「これで、都内を走りながら放送してやろうと思ってね」

 長島がニヤリと笑って言った。

「あんた達、捕まるわよ」

 呆れながらも微笑んだ大江がみんなを振り返った。山猿集団と呼ばれた男子部メンバー、何をしですかわからない。

「中継用の機材なんてどうしたの?」

「さあ、どうしたんでしょうー?」

 藤木がとぼけてみせる。

「隆介!」

「はいはい。腐れ縁のジェームスから昨年の借りを返してもらいました」

 大江の一喝に高梨がすぐに答える。

 CBTのジェームスを通じて衛星通信も可能な中継車用の機材とアンテナを無償で借り出す交渉をしたのは高梨だった。

「この車はどうしたの?」

「大学部から借りてきたんだよ。夏の耐久レースもかなり人出して手伝ってるしね」

 とこちらは、藤木が答える。

 だいたいの作業は終わっているらしく、後は細かい調整を行っているようだ。

 手を止めた藤木が、防火用と書かれた赤いバケツのところでハイライトに火を付けた。

「編集長の読みが当たれば、校内で使うこともあるかと思ってね、ん?」

 藤木の顔に緊張感が走る。皆一斉にガレージの一角を見つめた。

 ガレージの隅に設置されたパトランプが赤い光を周囲に回転させている。

「・・・・!!」

 パトランプの横に置かれたPC98に長谷川が飛びついて確認すると、ハンドトーキーのコールを鳴らした。 

「経路B3からだ。工夫のない連中だこと」

「まあ、タイミングはいいね」

「アホなのか。ダミー情報を掴まされたのか」

 藤木が走って運転席にすべり込み、みんなが後に続く。

「校内で走らせるの?!」

 言いながら大江も乗り込む。

 光弘と長島も乗り込み、他のメンバーはガレージに置いてあった各々の得物を持って走り去った。

 セル一発でエンジンが掛かり、カーステレオから特攻野郎な曲が流れ出す。

「この曲なんとかなんないの?」

 あきれ顔で言う大江に、

「ナイトライダーの方が良かった?」

 藤木が言って車をスタートさせる。

「面白くなってきやがった」

 後輪をスピンスさせながらハイエースが格納庫から飛び出していった。


To be continued.

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