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26.脳科学研究所とニコライの人体実験

 脳科学研究所の最上階に位置する部屋は、以前は会長職の居室として利用されていた場所だった。

 装飾品の類いはそのままだったが、当時の利用者の趣味を反映してか、置かれている家具などは高価だが、極めてシンプルにまとめられていた。それが、白い壁と相まって、どことなく冷たい病院を思わせる。

 そこかしこから監視カメラと盗聴器の気配が感じられる一室にエリサは監禁されていた。

 ニコライに捕まってから、カーラとは別々の車でこの施設まで運ばれてきたのだった。

 カーラとその家族を傷つけないように訴えるエリサに、ニコライは気味の悪い笑みを浮かべて応えた。

「そんなことを言っていられるのは、今のうちですよ。姫様。あなたがた魔女が今、どういう状況にあるか知ってしまえばね」

 大きなムカデがこちらに鎌首をもたげるような、そんな圧迫感がエリサを襲う。この男も能力者でないのだろうかと思ってしまう精神的な威圧感。今まで拷問し虐殺してきた人々の怨念をその身に宿しているようだった。

 施設に入った途端、苦痛、怨念、嘆願、狂気、そして死への願望、凄まじい感情の渦がエリサを押し潰すように覆った。

 この中で行われていることは、非人道的な拷問や虐殺であることがはっきりとわかる。

 エリサのように異能力をもっていない者でも、それと感じることができるドス黒い恐怖の固まりに覆われた魔女狩りの城。

 ニコライの部下に引きずられるようにして連れてこられた実験棟での光景はおよそ、通常の人間が正視に耐えるものではなかった。

 一度見てしまうと、二度と脳裏から離れることのない惨状。一生忘れることはできない、壮絶な光景だった。

「あ、あ…」

 あまりの光景に耐えられず、エリサは嘔吐して膝をついた。

「見るんだよ!お前達、魔女の行く末をなぁ!」

 ニコライが無理矢理エリサの顔を持ち上げ、実験の様子に目を向けさせる。

 それでも悲鳴を上げないエリサに苛立ったニコライが、

「あのカーラとか言う母親も、娘も、同じ目にあうんだよぉ」

 狂気に染まる虚のようなニコライの眼がエリサを覗き込む。

「もっとも、あんた次第で、あの二人だけは見逃してやってもいいけどなぁ」

 ニコライが右手にしている白い手袋で口元を拭った。

 それでも果敢にエリサはニコライを睨み付けた。

「いつまで、そう気丈な態度でいられますかな」

 楽しげに笑うニコライ。部下の二人がエリサを引きずり上げると、目隠しをして実験棟から連れ出す。

「ひとまず、こちらでおくつろぎ下さい。姫様にも私の実験に加わっていただくのも時間の問題かと思いますがね」

 部屋を出て行くときにニコライが楽しげに笑った。まるで、随分前から楽しみにしていた食事にでも誘うかのように。

 エリサは首に巻かれた細い金属の首輪に手をやった。

 彼女たちの能力を奪うために作られたその首輪はロシアで開発されたものだった。

 鉄格子のはまった窓から故郷の美しい森と山々が見える。

 どこからからまた悲鳴が聞こえた気がしてエリサは耳を覆った。

「母さん、みんな、沖田…」

 部屋中に仕掛けられてるであろう盗聴器に聞こえないよう、小さくつぶやいた。


To be continued.

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