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003

 目を開けると森の中にいた。俺は本当に異世界に来てしまったのか。


 メリッサ様からチート能力をもらったっぽいけど、どうやって発動すればいいのかわからない。

 はじめに聞いておけばよかった。


「こんなところで立ち止まっても仕方ない。ひとまず歩こう」


 一歩、前へ足を踏み出す。

 空からひらひらと紙が落ちてくる。

 俺は紙を拾い上げた。

 メリッサ様からの伝言だった。


『アキト様!

 大変申し訳ございません。

 いくつかアナタに伝え忘れたことがありました。

 「ステータスオープン」と叫ぶことで、目の前にステータスを表示させることができます。

では頑張ってください!』

 紙に書かれていた通り、俺は『ステータスオープン』と言った。


【名前】  アキト

【種族】  人間

【年齢】  16歳

【職業】  無職

【レベル】 1

【性別】  男

【称号】 


【生命力】98

【魔力】25

【攻撃力】29

【防御力】32

【素早さ】28


【スキル】

女神の加護

創造


 すると、その時である。


「きゃああああああ!!」


 森の奥から甲高い悲鳴が聞こえた。

 間違いない、女の子の声だった。

 何事かと思い、俺は声の方へと走る。


 青髪の女の子がゴブリンに襲われていた。

 ゴブリンの数はなんと10体!

 すべてのゴブリンが棍棒を持っており、今にも女の子を取り囲み、殺そうとしていた。


「女の子が襲われている! 助けないと!」


 俺は茂みから飛び出してゴブリンにタックルする。

 ゴブリンはバランスを崩して倒れる。


「ア、アナタは!?」

「今は事情を説明している暇はない。まずはゴブリンを倒すことが先決だ!」


「ウガアアアアアア!!」


 ゴブリンは雄たけびを上げて立ち上がる。


「かかって来いよ。俺が相手になってやる」


 ゴブリンは棍棒を振り上げたまま向かってくる。

 振り下ろす動作に合わせて、棍棒を握っている方の手首を蹴り上げる。

 棍棒が弾き飛ぶ。

 ゴブリンは驚く。

 ゴブリンの胸板めがけて手刀による刺突を放つ。


 背中を貫通し、ゴブリンの体が浮き上がる。

 素早く突き刺した手を引き抜く。

 重力に引っ張られて地面へと倒れる。


 すると残りのゴブリンが襲い掛かってくる。


 だが、攻撃してくるゴブリンをすべて弾き飛ばす。

 そのまま心臓を突く。

 すべてのゴブリンを同じ要領で倒すことができた。


 女の子は茫然としていた。


「す、すごい。あんなに大量にいたゴブリンが一瞬で……! この方はいったい何者なのですか」


「大丈夫? 怪我はないか?」

「は、はい。アナタのおかげで助かりました。お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」

「俺はアキト」


 俺は女の子を改めて観察する。


 年齢は十五歳くらい。

 青髪碧眼のショートカット。

 黒の三角帽子に、全身を包むほど大きなローブ、手には身長と同じ長さの杖を握っている。

 いかにも魔法使いって感じの格好をしている。


「キミは魔法使いなのか?」

「は、はい! そうです! 私はアロエ

。まだ半人前ですが魔法使いです」

「アロエか。かわいい名前だね。魔法使いってことは、魔法が使えるのかい?」

「か、かわいい!? わ、私、かわいくなんてないです!!」

「そんなことないよ。とてもかわいいと思う」

「~~~~!!?」


 アロエは顔を真っ赤にしてひどく取り乱す。

 もしかして緊張しているのか?

 俺はアロエの緊張を解くために頭を撫でる。


「あ、あの! 頭を撫で、られると少し、き、緊張して……。顔が近いですぅ……!」

「おっと、すまない」


 初対面の女の子に対して、馴れ馴れしかったかもしれない。

 心の中で反省する。


 俺は手を差し伸ばす。


「立てるかい?」

「ありがとう……ございます……。アキトさんは、おお、お優しいのですね」

「そ、そうか? 別に普通だと思うけど」

「はい。わ、わたしみたいな半人前の魔法使いにも、優しく接してくれますし……」


 どうやらアロエは、半人前であることにコンプレックスを持っているようだ。

 どうにか彼女に自信をつけさせてあげたい。


「アロエ」

「は、はい!?」

「もう半人前なんて言葉を使っちゃいけない。アロエはアロエだ。もっと自分に自信を持つんだ」


 アロエは俯いてしまう。

 まずい……少し言いすぎてしまったかもしれない。


「たしかにアキトさんのおっしゃるとおりですね。

 自信を持たなければ立派な魔法使いにはなれません。

 ありがとうございます、アナタのおかげで、少しだけ立派な魔法使いに近づくことができました」


 アロエはニコリと微笑んだ。その笑顔はまるで太陽のようだった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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