竜人からの提案
今、会議室は無言だ。
これでもかと言うほど無言だ。
半端じゃ無いくらいに静かなんだ。
理由は簡単、みんなこれまで絶滅したと思っていた竜人のが生きていると分かりどう話出せば良いのか分からないのだ。
「えーとマルコム様」
この会議の司会のような立場の人が話しかけた。
周りが英雄を見るような目で見ている。
「何ですかな?」
「竜人は生きていると言う事でよろしいのですか?」
「ああ、その認識で間違っていない。だが私達は魔王にとても嫌われていて下手に生きていると分かると本当に滅ぼされそうだったので隠れていた次第だ」
「では何故今になって出てきたのでしょうか」
「それは彼がいたからだな」
「ミロク様が?」
「そうだ。そなた達は会ったと思うが我が娘が、この男を婚約者だと言ってな、我が娘が認めるほどの人間が現れ、そして私の直感がこの男が居れば大丈夫だと告げてきてな。それで出てきたのだ」
「直感ですか」
「ああ、だが竜人の直感は占いと言われるほど正しいからな」
「あのー」
「ん?アレックス殿だったか、どうしたのだ?」
「さっき貴方の娘さんと私が会っていると言っていたので」
「そうだ、そこにいる魔帝も出会っていると思うぞ。名前はクロエ、世界で一番可愛い存在だ。特徴は黒い髪に和服のとんでもない美女だ。一眼見ただけで恋に落ちるような見た目の子だ」
「黒髪で和服…、あっ、あの子か。って!あの方が竜神様だったんですか!」
「そうだ」
「その時は知らずに挨拶もできませんでしたが大丈夫でしょうか?」
「あの子はそんな事で怒ったりするような子ではない。それにこのミロクがいるならあの子も止まるだろう」
「そうですか、ん?という事は、ミ、ミロク、お前まさか!竜神様とも婚姻を結ぶというのか!」
「はい」
「はい、ってお前、竜神様は俺たちエルドール王国の民にとってセリナ様と同じくらいに信仰されているんだぞそんな簡単に」
「いや、それに関してはあの子も認めているから問題ない。それに、彼以外にその資格を得るものがこれから先現れるとは思えないしな」
「?資格?」
「ミロク君、君はステータスの隠蔽にもっと力を入れたが良い、そのステータスは並の鑑定では見えなくても私クラスになるとすぐに分かる」
「っ!ご忠告感謝します」
「おい、何の話を」
「君のその力があの子を傷つけるのなら私はいつでも君を殺すからな」
「そんな事は承知の上です。じゃなきゃみんなと一緒になろうなんて考えませんよ」
「良い覚悟だ。だが覚悟と実力は違う、この前の戦いを見て、いや、これには自分で気付くべきだな。とにかく君には娘を預けたんだから必ず守れよ」
「もちろんです」
「まぁあの子は強いから君が守られるかもしれないがね」
「みんなを守れるようにもっと精進します」
「そうしてくれ、さてこの話はこのぐらいでいいだろう。そこの司会、次は何の話だ?」
「えっ?えーと次の話は魔族と人族との国の友好についてです」
「ふむ、私もその話に加わってもいいか?」
「と言いますと?」
「私達竜人はこれまで他種族と交流していなかった。そして近年作物の不作でな、どこかの国と貿易をしたかったんだ。それに私達は空路での輸送ができる。もちろん、そなた達の国にも仲間を送り空輸が出来るようにも手配しよう」
「それはいい提案ですね。私達ヴァルハラはその提案を受けたいですね。もちろん魔国との友好の話も」
「もちろん私達エルドール王国も賛成だ」
「我ら帝国もそれに賛成する」
「私達グラス王国も賛成だ」
「獣国も賛同する」
「ロック王国も賛成だ」
「教国は?」
「そうだな、竜人は聖なる力を持つとも聞いた事があるが、それは事実か?」
「それは事実だ。私たちの体からは常に聖気と呼んでいる力が流れ出ている。それを使う術を私達は竜人術と呼んでいる」
「聖なる力を持つ種族なら私に言う事はない。だが、魔国も竜人も、どちらもそこの異端者についての話が終わらねば私は返事を出さん」
「分かりました。では私にどんな事でも聞いてください」
「では聞こうか」
ここからは教国から俺への質問の嵐だった。
Q、最初に出会った時の禍々しいオーラは何だったのか?
A、分からない。
Q、お前が行くとこ行くとこ魔物に襲われるのは何故だ?
A、偶然。
Q、聞いた話だがお前は教国が襲われていた時最初はいなかったと聞いたがどこに居たのか?
A、魔人に遠くに転移させられた。
「では、これが最後の質問だ。お前は神、ロストと言う名を知っているか?」
「ん?ロスト?誰ですか?」
「知らぬか、では話はこれまでだ。私達教国もその話を受けよう。そして異端者も解除しよう」
「ありがとうございます」
「あの時の私はどうかしていた。私も許してくれ」
なんだかトントン拍子に話が進んだが、俺は何処か教国に疑問を持った。それが何に対する疑問かに気付くのはまだ先の話だ。
今日の会議が終わった後
教国の者達が泊まる宿
「教皇様、良かったのですか?」
「何がだ?」
「これまで誰1人としては異端者認定を解除した事はなかったでしょう。解除しても良かったのですか」
「いや、あれは私の間違いだった。我らが神はセリナ様のみ。それ以外の神に誑かされた私が悪いのだ」
「そうですか。でも何故今になって突然?」
「今日の会議に竜人がきてくれていたおかげだ。神気とはまた別の聖なる力を浴びて心が清められ真実を見通せたのだ」
「そうですか」
「とりあえずこの話はもう終わりだ。私は疲れたから休む」
「分かりました」
「まさか暗示が解けるとはな、流石に教国から離れると神気が届かないか。それに他国の前で明言してしまったからにはもう変えられない。どうしたものか、まぁ良い、このロスト様に不可能は無いからな。ハハハ」
そんな声が宿に響いたがその声を聞いたものは誰1人としていなかった。




