プロローグ 『多分俺が最強だ』
※この作品はなろう系の作品が好きな人に向いています。
(聞こえますか、xxxxx……)
誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる。
聞こえたので返事をしようとしたが、口を動かすことができなかった。
(xxxxx、あなたは今、生と死の狭間を仿徨っています……)
死ぬようなこと何かしたっけな...ああ、暴走したトラックに轢かれそうになっていた親子を助けたら、俺が轢かれたんだった。
(xxxxx、起きてください……)
あと5分、いや10分寝させてほしい。
というか、そもそも身体がほぼ動かないし目も開かない。
(このまま起きなければ、xxxxx、あなたは死にます……)
……そりゃ大変だ。
どうにかして、俺は強引に身体を起こした。
「よくぞ目を覚ましましたね、xxxxx」
身体を起こした俺の目の前には、黒いロングヘアでナイスバディな蒼眼の女性が居た。
白く薄い衣を纏っており、全身を黄金のリボンで装飾している。
とりあえず、俺は目の前の女性について聞くことにした。
「あなたは何者なんですか?」
「私の名はミューズ。そちらでいう異世界の神です」
ミューズは一呼吸置いて
「xxxxx、預言に従い、あなたを勇者として迎えに来ました」
と付け加えた。
勇者?
……ああ、彼女はあれだ。
なろう系テンプレクソ女神。
前に小説家になろうというポンコツアマチュア中高生ラノベ作家と無職童貞中年読者が集まるwebサイトで見たことがあるが、
親のスネをかじる引きこもりニートや不登校の陰キャオタクといった社会の底辺に反則的な力を与えて異世界で英雄に仕立て上げる頭の悪い女神がよく居たものである。
つまらない、くだらない、センスないの三拍子揃ったラノベで溢れており、俺はそっとパソコンのブラウザを閉じた記憶がある。
ミューズと名乗る女神もなろう系テンプレクソ女神である可能性が高い。
そこで、俺はミューズに対してこう提案してみた。
「俺を勇者にしたければ、まず俺を最強にしてほしい。最強のステータスに最強の装備、そしてチート能力と金と女をくれ」
「……」
何かミューズは考えているらしい。
ミューズは少し考えた後、こう答えた。
「わかりました、xxxxx……」
やっぱり、なろう系テンプレクソ女神だった。
「では、これからあなたをナーロウ世界に送ります」
「あなたの目的は魔王を倒すことです。魔王を倒したらあなたをあなたの世界に送り返しますので、よく覚えておいてください」
「おう」
さて、ちゃちゃっと魔王倒して元の世界に帰るか。
勇者xxxxxを送り出した女神ミューズは、こんなことを思っていた。
(噂には聞いていましたが、あれがなろう系テンプレクソ主人公ですか……)と。
批判コメントはズンドコ送ってください。
たぶん参考にします。