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春の国スプリグ:レーズ街道―無垢なる赤を粗暴な者へ―(2)

 この世界の魔導には二種類ある。

 魔法と魔術だ。

 この二つの大きな違いは、魔力の源にある。

 魔術を行使する際に使う魔力は当然のごとく術者本人のものであることに対し、魔法に関しては術者ではなく契約した妖精のものを使うことになる。

 人間の魔力には限りがあるが、妖精の魔力は無尽蔵にあり、術者の体力と精神が持つ限り無限に術を使える魔法使いは、魔術師の上位の存在であると言える。

「でも、契約した妖精と仲悪くて魔法使えないなんて初めて見るけどね~」

「うるっさいわね!契約者の言うことは絶対なのよ!!それを無視できるこいつの方がおかしいの!!」

「ふんっ!!ならば我が主たる度量を見せてみよ」

 先程から口論をし続ける主従は同じようなことを何度も何度も繰り返して争い続ける。

 流石に野盗達もこの口論を聞きつけて、馬車の中に顔を出し怒鳴り声をあげる。

「てめぇら状況わかってぇんかぁ?あぁんましなめってとぉ、そのキレィな顔を汚しぃてやぁるぜぇ?」

 ハゲ頭に無精髭で痛んだ革鎧を着た、いかにもな野盗は怒りのせいなのか呂律が微妙に回ってない。

「この小娘つれぇてぇいくかんなぁ?つぎぃさわぃだら、この小娘がどぅなるかぁわかぁんよなぁ?」

 そう言うと、寝たままのミアを乱暴に肩に担いで馬車から出ていく。

「お、おい、大丈夫なんヤ?ミア嬢連れていかれたらヤバイんヤないか?」

「だだだだ、大丈夫だよ~…………?寝てたし、まだ寝てたしさ~……」

 途端に慌てだし青ざめるバレッティアとヤーニャ。

 早くしなければ、と縛られた縄をとこうともがき始める。

「おい、そこの紫混じりの白髪の娘よ、主も魔法使いであろう?ならばこの状況、なんとでもすることが出来るのではないか?」

「ジーン、何言ってるの?こいつに妖精はついていないわ。ただの魔術師よ」

「主は未熟ゆえわからんと思うが、こやつの魔力は……」

 ジーンがなにか言いかけようたが、その時バレッティアは縄をバレットマジックによって筒状に変えて束縛から脱出していた。

「そんな話はどうでもいいからさ~、さっさと野盗を叩きのめすよ~?」

 ヤーニャと少女の縄をといて立ち上がる。

「何言ってるのよ、ジーンが手伝わなきゃ、私は野盗を相手するなんて無理よ!!あんたがやりなさい」

 自分が捕まってどうしようもできなかったのに、いとも容易く縄から逃れたバレッティアを見て魔法使いとしての、そして彼女自身のプライドにさわったのかそっぽを向いて勝手にしろと言う。

 それを見て、バレッティアは彼女の頭に手を載せる。

「もちろんあなたも手伝ってくれるよね~?未熟な跳ねっ返りの魔法使い様~?」

 挑発的なセリフに、ムッとした表情で手を払い除けて彼女は立ち上がる。

「私の名は、エリス・M・ワンダラーよ。そこまで馬鹿にするならいいわ、魔術師と魔法使いの差を見せてあげるわ」

「そのような挑発に乗るから、主は未熟だというのだ……」

 バカ正直に挑発に乗った主を見て、渋い顔をする。

「じゃあ、野盗退治と行きますか~」

 馬車から出ようとすると、さっきまで動いていた馬車が急に止まる。

 何が起こったのかと気になって、エリスは顔をだそうとするがヤーニャに裾を引っ張られる。

「なにするのよ、止まったなら今がチャンスじゃないの?」

「いヤ、チャンスどころかピンチや……。ここにいる野盗の人数の2倍の賊に囲まれてるんヤ……」

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