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第24話・デートの準備

 温泉から帰って数日後、学食へ行くと、小梅どのと松乃どの、秋人どのと冬馬どのが揃っておった。春樹どの達はまだ来ていないようだ。


「あれ?かぐやちゃん、今日は昼から休講じゃぁなかった?」


私にいち早く気付いた小梅どのが話し掛けてきた。


「うむ。皆に相談があってな。」

「何?相談って。」


皆と同じテーブルの椅子に腰かけた。


「春樹どのにはいつも世話になっておる。バレンタインが近くなっておる故、何か用意したいのだが、春樹どのが最近気になっているものや好きなものを知らないか?」


4人が一斉に私を指差した。


「いやいや、何の冗談だ?私は春樹どのが好きなものを聞いておるのだぞ。」

「だから…」


また、4人が一斉に私を指差した。


「一応相談なのだが…」


「あっ!そういえば、今度公開されるハリウッド映画に興味ありそうなことを言ってたよ♪」

「秋人どの!それだ!して、映画とは何だ?」


4人が一斉にこけた。


「だから、さっきから何の冗談なのだ?」

「ごめん、ごめん。まさか映画を知らないとは思ってなかったからさ!」

「確か大きな建物であったような…映画とはそんなに有名なものなのか?」

「簡単に言えば、みんなで見る大きいテレビみたいなものかな♪観るにはチケットが必要だから、それを用意して一緒に観に行ったらどう?」

「ほう。それなら今から用意するか。」


秋人どのに詳しいチケットの買い方や、映画のタイトルなどを聞き出しておった時、後ろから声を掛けられた。


「あれ?かぐやさん、今日は昼からお休みでは?」

「は、春樹どの!これは何でもないぞ!では、皆、先に失礼する!」


いそいそと席を立ち、映画館とやらへ足を運んだ。


----------


 挙動不審なかぐやさんを見送った後、秋人に聞いてみた。


「かぐやさんは、何か秋人に用事でもあったのか?」

「まぁ、そんなところ♪」


みんなと同じテーブルに着いて、定食を食べ始めた時、クロードが相談があると言ってきた。


「カグヤサンニ、迷惑ヲカケマシタ。何カ、オ詫ビシタイノデス。」

「その気持ちだけでいいのではないか?」

「イイエ、何カプレゼントシタイノデス。」

「だが、かぐやさんは大体の物は持ってるぞ。」

「ココハ是非女性ノ意見ヲ、オ願イシマス!」


クロードは懇願するように、小梅さんと松乃さんを見た。


「分かった。で、何をプレゼントしようと考えてるの?」

「車ハ、ドウデショウ。」

「かぐやちゃんは、自分で運転しないよ。」


「デシタラ、運転手ツキデ!」

「もう、運転手付きのリムジンで登校してるし。」


「デハ、クルーザーハ、イカガデショウ。」

「たぶん邪魔なだけじゃぁないかな。」


「自家用ジェットハ?」

「海外に行かない人には不要だよ!」


松乃さんとクロードのやりとりを聞いていた小梅さんが、ぼそっと呟いた。


「次元が違う…」


思わず苦笑いしながら、クロードに意見することにした。


「クロード、気持ちは値段や大きさではないぞ。かぐやさんに幸運の鈴を貰った時、嬉しかっただろ?そんなもんだ。」

「ソカ!気持チヲ表セバ良イノデスネ!ハル、アリガトウ!」


クロードはお昼御飯もそこそこに、飛び出していってしまった。


「何か、ついこの前までのかぐやちゃんと会話してるみたいだったな。」

「松乃ちゃんも思った?」

「うん。」


みんなの会話を聞きながら、別の事を考えていた。


そういえば、バレンタインデーも近くなってきたな。海外のバレンタインデーは、男性から女性へプレゼントする事がほとんどだ。花束でも用意しようかな。

いや、かぐやさんと外国の料理を食べに行こうと約束していたし、何処かレストランでも予約するか。


----------


 映画のチケットも買った。チョコレートも買った。後は春樹どのを誘うだけだ!

だが、スマホを目の前に、なかなか踏ん切りが付かずにおった。


う~!緊張するな…いや、いつものお礼として気軽に誘えば良いだけだ。


よし!


スマホを手に取った瞬間、着信音が鳴った。


「うわっ!」


落としそうになったスマホを咄嗟に受け止め、画面を見た。春樹どのからの着信であった。


「はい。」

『かぐやさん、今、お時間大丈夫ですか?』

「大丈夫だ。」

『週末の2月14日のですが、何か予定はありますか?』


確か、その日はバレンタインデーであったよな。


「今のところ空いておるぞ。」

『それは良かったです。美味しいイタリアンのレストランがありますので、一緒に食事へ行きませんか?』

「異国の料理か?」

『はい、そうです。ですが、前よりは気軽に召しあがれます。』

「分かった。予定を空けておく。」


『時間ですが、夕食なので、午後5時にお迎えに行きますね。』

「いや、ちょっと待て!そ、その、観たい映画があるのだ。昼からでも良いか?」

『ふふ。ではお付き合いさせて頂きますね。』

「では午後1時くらいに迎えを頼む。」

『かぐやさんからデートのお誘いを頂けるなんて、光栄です。楽しみにしていますね。』


で、デート?!これもデートとやらになるのか?

いや、春樹どのの事だ。深い意味は無いであろう。二人で出掛けることは、よくあるではないか。


しかし…


一人、夜更けまで、もんもんと考え込んでしまった。



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