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第2話・秘密の出来事

 翌日、学食に秋人どのと冬馬どのが見えたので、春樹どのの誕生日の事を相談してみる事にした。


「今月の春樹どのの誕生日に何かしたいと思うのだが、どうすれば良いのだ?」

「お?かぐやちゃんどうしたの?」

「今も大学構内を歩く時には護衛について貰っておるし、何か恩を返せないかと思ってな。」

「なるほどね♪」


冬馬どのが思い出したように提案してくれた。


「確か、今は両親とも海外だって言ってたし、サプライズパーティーでもするか?」

「いいね~♪」


こんな時、秋人どのは頼りになる殿方だ。


「じゃぁ、春樹には内緒で進めよっか♪かぐやちゃんは会場の手配をよろしく!」

「分かった。」

「当日の呼び出しは、かぐやちゃんだと春樹が期待しちゃうから、冬馬よろしく♪」

「任せとけ!」

「僕と松乃ちゃんと小梅ちゃんで食べ物や飾り付けとか他を担当するね♪」

「よろしく。」


あっという間に決まった。秋人どのに心の中で感謝しつつ、会場を考えた。


確か、クリスマスに楽しんだ部屋はスイートとか言っておったな。あそこなら皆で寛げるであろう。

早速、スマホで調べたホテルのスイートルームを予約した。



 講義が終わり、春樹どのと正門まで歩いておる時、私のスマホが鳴り出した。


「すまない。電話故、少々失礼する。」

「どうぞ。」


画面を見ると、秋人どのからであった。春樹どのから少し離れてボタンを押した。


「秋人どのか?」

『は~い、かぐやちゃん♪会場は決まった?』

「グランドマリーナホテルのスイートルームを予約したぞ。」

『え?スイート?』

「皆が寛げるかと思ったのだが、まずかったか?」

『いいや!最高だよ♪じゃぁ、みんなにも連絡しとくね♪』

「よろしく頼む。」


電話を切り、春樹どのの元へ戻った。


「かぐやさん、何かありましたか?」

「何故だ?」

「嬉しそうな顔をして電話されていたようなので。」

「い、いや。特に何も無いぞ!」


顔に出ておったか…サプライズがバレぬよう気をつけねば!



 数日後、冬馬どのがプレゼント選びに付き合ってくれると言うので、同行をお願いし、講義が終わった後に待ち合わせの約束をした。

正門前に冬馬どのが来た時、護衛を断った春樹どのと鉢合わせをしてしまった!


「あれ?二人で出掛けるのですか?」


マズイ!春樹どのにバレてしまう!懇願するように冬馬どのを見たら、私の代わりに答えてくれた。


「道場へ用事があるから、一緒に行こうと思ってな。」

「そうか。気をつけて。」


軽く手を振り、春樹どのは去っていった。


「…バレてはおらぬよな?」

「大丈夫だろ。それより、どんな物にするのか決めたか?」

「皆で寛げる別荘を考えたのだが、春樹どのの家は別荘を持っておるし、後々維持費とやらも掛るらしい。負担を掛けてはプレゼントにならぬと思って止めたのだ。それに以前松乃どのに値段を考えろと言われておるのでな。」


「松乃、グッドジョブだ。」

「ん?何か言ったか?」

「いや、何でもない…」


「それ故、皆で騒げる部屋を用意したのだが、それだけでは心もとない。入学式に付けておったネクタイが似合っておったし、ネクタイピンなどはいかがであろうか。」

「使う機会も増えるだろうし、いいかもな。」

「確か、四月の誕生石は金剛石だったので、それを使った物にしよう。」


早速、冬馬どのと一緒に殿方用の店へ見に行った。


「冬馬どの、これはいかがかな?」

「学生にそんな大きなダイヤは合わないぞ。」

「ではこれは?小さい金剛石が沢山だ。」

「そんな成金みたいなのだけは止めてくれ!」


中々決まらぬものだ。冬馬どのは、やっぱり付いてきて良かったと言っておる。そんなに私が選ぶプレゼントは信用されておらぬのか…


ふと1つのネクタイピンが目に止まった。シンプルなデザインに、一粒の控え目な金剛石が埋め込まれておる。


「冬馬どの、これはどうかな?」

「お?中々いいのを見つけたな。それなら使いやすいと思うぞ。」

「ならこれにしよう。」


やっとプレゼントも決まった。

店を出て冬馬どのにお礼を言い、爺やとの待ち合わせ場所まで送って貰った。


「いいのが見つかって良かったな。」


冬馬どのが私の頭にポン!と手を置いた。

幼子のような扱いをするなと怒るところであるが、最近、それが冬馬どのの癖だと分かってきた。


そんな状況を見られているとは知らず、良いプレゼントが買えたことに浮かれて、上機嫌で話しながら歩いておった。


----------


 車に乗って街を走っている時の事だった。


「あれ?かぐやさんと冬馬じゃないか。道場は反対方向のはず…」


かぐやさんは嬉しそうに冬馬へ話し掛けている。冬馬もかぐやさんの頭をぽんとして、楽しそうに笑っている。


「何で、二人が…」


「春樹さま、どうかされましたか?車を停めましょうか?」


はっ!

運転手の言葉で我にかえった。


「いや…何でもない。そのまま進めてくれ。」

「かしこまりました。」


心の中がもやっとしたが、きっと予定が変更されたのだろうと自分に言い聞かせた。

翌日、何か話が聞けるかと思ったが、かぐやさんは何も言わなかった。


そのうち冬馬からスマホへメッセージが届いた。


『かぐやの事で話がある。誰にも邪魔されずに話したいから、18日夜6時、グランドマリーナホテルの2501号室に来てくれ。』


『ああ。分かった。』


短く返信した。


かぐやさんの話とは何だろう。テンカイの道場のことか?それならわざわざ部屋を取る必要も無いだろう。やっぱり冬馬はかぐやさんのことが諦められないのか…


そうなったら、既にかぐやさんにキスしたことを告げた方がいいだろう。いや、かぐやさんには決まり事関係なく、私を選んで貰いたい。


奇しくも私の誕生日が冬馬と対決の日になるとは…



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