第40話・火花散る体育祭!
今年も体育祭の出場決めが行われ、今年は白組であった。
「かぐやちゃん何組?」
「白だ。小梅どのは?」
「私も白だよ!一緒だね!」
「あ~、私だけ違う!赤だった!」
「松乃どの、残念だ。」
「大丈夫だよ!松乃ちゃん♪」
ふと隣を見ると、秋人どのが松乃どのの肩を抱いておる。
「僕も赤なんだ♪一緒に頑張ろうね~!」
「うん♪頑張ろうね!秋人♪」
「このバカップル、誰か何とかしてくれ!」
「冬馬どのは、何色であったか?」
「かぐやと一緒の白だ。因みに春樹は赤だ。」
「かぐやさんと離れてしまうなんて、残念です…」
「そうか。残念であったな。」
その後、赤白に別れて、更に出場種目を決めた。
「それでは、騎馬戦に出たい人!」
「はい!」
冬馬どのが手を挙げた。
「冬馬どの、騎馬戦とは何だ?」
「四人一組で組んで、相手のハチマキを奪う競技だ。なかなか面白いぞ!」
「ほう。では私もやってみるか。」
手を挙げて立候補してみた。
「私も出るぞ。」
『かぐや様が出るらしいぞ!』
『お美しい顔に傷を付けたら大変だ!避けなければ!』
「かぐや、頼むからやめてくれ…」
「冬馬どの、何故だ?」
「自分の価値を考えてくれ!」
「…?」
結局、冬馬どのと小梅どのの説得により、騎馬戦の出場は諦めた。
そして、体育祭本番の日となった。
午前中の出場種目は徒競争のみであった。おなごは先に走り終わり、後からの殿方の走りを見ておった時の事だ。
「かぐやちゃん。何だか、春樹くんと冬馬くん、揉めてない?」
「松乃どのも気になっておったか。何やら険しい顔をしておるな…」
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「明日は代休か。かぐやでも誘って遊びに行くかな。」
「冬馬、今のは聞き捨てならないな。かぐやさんは私がお誘いする予定だよ。」
「それは譲れないな!」
バチバチ!
「んじゃ、徒競争で勝った方が明日のお誘いの権利を貰うってことでどう?」
「秋人、いいこと言うな。」
「もちろん異論は無い。受けて立とう。」
「んじゃ、違う組の僕がジャッジするね♪」
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「お?秋人どのが二人を落ち着かせたぞ。」
「流石は私の秋人♪」
「松乃どのと秋人どのは相変わらず仲が良いな。」
「まあね♪明日はかぐやちゃんとデートするけどね!」
「小梅どのの誕生日プレゼントの買い物であったな。」
二人がスタートラインに立ち、バン!とスタートの合図と共に勢いよく走り出した。
「なあ、あの二人だけ異常に早くないか?」
「元々足が速いけどね…」
他者の追随を許さず、二人がほぼ同時にゴールした。
同着に見えたが、軍配は冬馬どのにあがったらしい。それにしても異常なくらいの喜びかただ。そして、春樹どのが見た事ないくらいガッカリしておる。
昼休み、婆やのお弁当を頂いた後に生徒席へ戻ると、冬馬どのが駆け寄ってきた。
「かぐや!明日の代休暇か?」
「すまぬが、松乃どのと約束しておる。何かあったか?」
「いや、何でもない…」
何かマズイ事でも言ったであろうか。異常なくらいガッカリしておる。そして、春樹どのは心なしか喜んでおるようにも見えるな。
やはり三人衆の行動は不可思議だ…
昼からはリレーがあり、その後、春樹どのと秋人どのが出場する借り物競走となった。
「メガネをかけている人いませんか~?」
「いたいた!星野さん、こっちに来て!」
跳び箱や網潜りを終えた生徒たちが、次々と観客席や生徒席にやってくる。お題が、『大事なもの』というものだったらしい生徒が、周りから冷やかされておった。
春樹どのと秋人どのの番になった。秋人どのが先に網を潜り抜け、観客席へ走った。
「赤い服を着た方、いらっしゃいませんか~♪」
「はい!はい!」
すぐに数人が手を挙げたが、皆、赤い服を着てはおらぬ。
「みんな秋人くんと走りたいんだね!」
横で小梅どのがこそっと解説してくれた。
モデルをしている有名人ということで、お近づきになりたい希望者が殺到し、秋人どのは苦戦を強いられているようだ。
続いて、春樹どのが走ってきた。
「かぐやさん!一緒に来て下さい!」
「ん?私か?」
「そうです!」
手を引っ張られ、一緒にゴールをした。
「春樹どの、お題は何だったのだ?」
「『会場で一番の美人』でした。」
「なっ!」
「ふふ。赤くなるかぐやさんも可愛いですね。」
「春樹どの!からかうでない!」
最近、春樹どのの言動は心臓に悪い気がするな…
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体育祭が終わり男子だけで着替えている時、春樹のポケットから借り物競争の紙が落ちた。
「春樹、紙が落ちたよ♪」
「秋人ありがとう。」
ちらっと見えた文字には、『宝物』って書いてあった。
「お?春樹もやるな♪」
「かぐやさんにはお題を言わないでおいたけどな。」
「でも、かぐやちゃんは手ごわいぞ♪ライバルも多いしね~!」
「最終的に私を選んで貰えればそれでいいさ。まぁ、誰にも渡す気は無いけどな。」
ふ~ん…珍しく春樹が本気になったかな?
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