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第31話・戦う護衛団

 次の日学校へ行くため、屋敷の門前で爺やを待っておった時、後ろからガシッ!と腕を引っ張られた!


「何奴!」

「かぐや様、私ですよ。道彦ですよ。」

「何をしておる!離せ!」


手を蹴りあげようとすると、腕が解放された。


「酷いですな。二度と天界へは戻らぬおつもりですか?」

「では、二度と私にその顔を見せるな!」

「もう少し素直になられた方が宜しいですよ。ささ、満月まで我の仮屋敷で仲睦まじく過ごしましょうぞ。」


再び掴まれそうになった時、冬馬どのの声が聞こえた。


「しつこいぞ!嫌がっているだろ!」


後ろから冬馬どのが走ってきて、道彦どのに飛び蹴りを見舞った!避けそこなった道彦どのは、ドボン!と側溝へ足を突っ込んでおった。


「ぷぷ!根性が腐っておるそなたにはお似合いぞ!」

「かぐや!…様、そのような御戯れは止して下さい。それに何ですか、その不細工な輩は。」

「はぁ?お前には言われたくないね!」


そこへ、爺やのリムジンが横付けされた。


「かぐや様、お急ぎ下さい!」

「爺や、助かった!冬馬どのも行くぞ!」

「おう!」


道彦どのを残し、そのまま走り去った。


「冬馬どの、助かったぞ。」

「いや、昨日の話から、かぐやがあいつに手を出せないのは分かっていたしな。三人が交代して、暫くは護衛に付くよ。」

「かたじけない。」

「気にすんな。」


学校の門には警備員が付いておる。道彦どのの写真も出回っており、要注意人物となっておる故、学校で過ごす間は安全であろう。


ホッとしながら下駄箱へ向かうと、桜小路どのが待ち構えておった。


「竹野塚さん、ご婚約おめでとうございます♪水くさいですわ!お知らせ頂ければ盛大にお祝いして差し上げましたのに♪」

「かぐやは嫌がっている。何が婚約だ!」

「冬馬様、残念でしたわね。次の満月の時にテンカイへご帰国されるそうよ。永遠にね。」


へ?いつからそのようなあらぬ噂が立っておるのだ?


「かぐや、本当か?」

「冬馬どの、そのような予定は無いぞ。桜小路どのも噂に惑わされるな。」

「噂かどうかは後ほど分かるのではなくて?楽しみにしておりますわ!ごめんあそばせ♪」


桜小路どのは意味深な笑みを浮かべながら、立ち去っていった。


「何だ?あいつは!」

「さあ。しかし、今日は春樹どのに対する顔であったな。日によっても変えることが出来るのか。」

「かぐや、そんなとこ感心している場合か!」


教室へ向かう為、冬馬どのと廊下を歩いておったら、道端先生に呼び止められた。


「竹野塚さん、理事長から聞きましたよ!ご帰国されるそうですね!」

「いえ、そのような話はありませんが。」

「あれ?おかしいわね。今朝の職員会議で聞いたのだけど…また確認しておくわね。」

「よろしくお願いします。」


教室に入ると、冬馬どのが春樹どのに何やら耳打ちしておった。その後、学校を辞める話は一切無くなった。

特別な能力があの二人には備わっておるのか?それが下界の人々を惹きつけるのかもしれぬな。



 日中は、小梅どのと松乃どのが常に傍におった。お手洗いの個室まで一つ一つ開けて、人がおらぬか調べる始末だ。


「何もそこまでしなくても良いのでは?」

「何言ってんの!かぐやちゃんの一大ピンチだよ!このくらいしないとあの変態野郎には対抗できないよ!」

「ふふ、松乃どのにかかれば道彦どのも変態野郎なのだな。」


「私も学校にいる間は、ずっと傍にいるからね!」

「小梅どのもありがとう。」



 クラブは暫く休むこととなり、帰りは春樹どのが送ってくれた。


「何だか皆に迷惑を掛けておるな…」

「みんな迷惑だとは思っていませんよ。むしろ秘密のミッションとして楽しんでいるところがあります。約四週間くらいですし、好きなだけ頼ってくださいね。」

「しかし、春樹どのも忙しいであろう。」

「私は家庭教師が来るだけです。冬馬はクラブがあるし、秋人は仕事が入る事が多いので、暇な私に役得がまわってきていると思って下さい。」

「かたじけない。」


春樹どのは屋敷の門の前でリムジンを降り、門を潜るまで見届けてくれた。婆やの結界が張ってある屋敷に入り、一安心した。



 翌朝、門を開けると秋人どのが立っておった。


「おはよう!かぐやちゃん♪」

「おはよう。秋人どのもすまないな。」

「ところで今朝はあの変態野郎はいないの?」

「まだ来てはおらぬようであるな。諦めてくれれば良いのだが…」

「え~!昨日冬馬が飛び蹴りしたんでしょ?僕もカッコ良くかぐやちゃんを助けたかったな♪」

「ぷっ!秋人どのは面白いことを言うな。」

「僕って中々お買い得でしょ♪」


そのままリムジンに乗り込み、学校へ着いた。


その後も、何事もなく過ごせる日々が続いた。ただ桜小路どのが、にこやかに話し掛けてくる顔が不気味であった。

何故わざわざ化け物のような化粧を施すのか、理解できぬな…


この時、桜小路どのの企みなど、知る由もなかった。


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