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第3話・クラブ活動とは?

 「かぐやちゃん、クラブはどうするの?」


学園生活二日目の朝、松乃どのに尋ねられた。


「くらぶ…って何だ?」

「クラブっていうのは、みんなでスポーツや文化系の趣味を楽しむようなものだよ♪」

「そのようなものがあるのか。小梅どのも何かやっておるのか?」

「私はバイトがあるから、やってないんだ!」

「バイトとはクラブとは違うものなのか?」

「うん。本当は入りたかったんだけどね。」

「そうか。」


入りたかったという良いものであれば、経験しておくのも悪くは無いかもな。下界の事を知る良い機会かもしれぬ。


「松乃どの、そのクラブとやらを試す事はできるのか?」

「見学も出来るし、体験も出来るよ~!私はテニス部なんだけど、やってみる?」

「では松乃どののクラブとやらに伺ってみよう。」

「んじゃ部長にも話しておくね♪」



 放課後、松乃どのに校庭に連れて行かれた。が、その光景を見てびっくりだ!

皆が着ておるのは、制服よりも更に短いスカートではないか!しかも、下着が見えておるではないか!


「そ、その…松乃どの達は下着が見えて平気なのか?」

「あはは♪かぐやちゃんは不思議な事を言うね!モチロン見せパンだよ♪」

「見せパンとは?」

「見えても大丈夫なパンツの事ね!」


へ?!下界にはわざわざ下着を見せる習慣があるのか?


「初めてだよね?軽く打ってみようか。」


下界の習慣に戸惑いながらも松乃どのが渡してきたラケットを握り、他の者の見よう見真似で、黄色い球を打ち返してみた。

ぶん!と思い切り打った球は網に当たり、激しく回転、そのまま網を破いて落下した。


何故か皆が口を開けて黙っておる。これは私には無理だということなのであろう…


「すまぬがテニスとやらは性に合わぬようだ。松乃どのには申し訳ないが失礼する。」

「…あ、あぁ、分かった。じゃあ、また明日ね。」


テニス部を後にし、時間が空いた私は色々と見てまわる事にした。だが、中々これというものが無く、とぼとぼと歩きまわっておった。


「はぁ…私の趣味に合うクラブというのは、無さそうであるな…」


…ん?この気合いが入った声は何だ?

偶然通りがかった武道場の中に駆け寄ると、窓から見えた光景に目が惹き付けられた!

こ、このクラブこそ私に相応しい!


「頼もう!」


入り口を開けて見渡すと、中におった者が一斉に私を見た。



 『かぐや様だ!いつ見ても美しい!』

 『かぐや様が一体何の用だ?』



こそこそと何かを話す輩に用はない。そのような蔑まれた待遇は天界で慣れておる。


「ここの部長はおらぬか?」

「俺だが、どうした?」


げっ!こいつは不細工三人組の一人、金城冬馬ではないか!しかし、ここで怯んでは目的が達成出来ぬ。


「かぐやじゃないか。何か用か?」

「ここのクラブに入るぞ。」

「はぁ?マネージャーは足りてるぞ。」

「マネージャーとは何だ?」

「世話してくれる係りのことだ。」

「何を勘違いをしておるのだ?世話係など婆やに頼めばよかろう。私はこっちが良い。」


白い服を来た者を指差した。


「ここは空手部だぞ。お前のようなお嬢様には無理だ。」

「腕っぷしには自信がある。」

「ほう。なら俺の胴に一度でも当てたら入部を許可してやる。」

「その言葉、忘れるな!」


言い終わるや否や、バコーン!と回し蹴りを金城冬馬どのの胴に入れた。


「では明日また来るぞ。」


久しぶりに気持ち良く蹴りが決まり、上機嫌で武道場を出た。


----------


「部長、大丈夫っすか?」

「あのくらいの蹴り、いつもなら防御してるじゃないですか。」


「…パンツが見…」


「え?何ですか?」

「部長、顔が赤いっすよ!具合が悪いんじゃ…」


「い、いや、何でもない。マネージャーに言って、かぐやの胴着を調達してくれ。制服のままでは心臓がもたん。」

「へ?心臓?」


や、やべえ…モロに見えた…


----------


 翌日、早速クラブに参加するため、放課後に武道場へ行った。


マネージャーという世話役から白い胴着という着物を渡された。早速着替えて道場に出たが、皆は黒い帯なのに、私だけが白い帯であるようだ。


「金城冬馬どの、何故私だけ帯が白いのだ?」

「冬馬でいいよ。かぐやは何処の道場で習ってた?」

「常に実戦だ。」

「実戦?まさか喧嘩か?」

「そうだ。売られた喧嘩を買っておっただけだ。」


何故だか、はぁ…と盛大なため息をつかれた。


「分かった。だけど空手という武道をやる限りは、俺の指示に従ってもらうからな。」

「承知した。」

「まず、対人練習は黒帯になってからだ。」

「それまでは何をするのだ?」

「基本の型を覚えてもらおう。」


冬馬どのが指差す先で、動いている者を見た。


「あれは踊っているのではないのか?」


すると、冬馬どのが大爆笑し始めた。


「はは!かぐやは本当に面白いな!あれは型の動きを練習しているだけだ。」

「あのような踊りに何の意味があるのだ?」

「全ての防御、攻撃の基本の動きだ。10級から始めて全ての型を覚えてから黒帯になるんだよ。」

「すぐにでも実戦を行いたい。冬馬どの、相手をしてくれ。」

「残念だが、格下相手に実戦練習は出来ない。悔しければ、早く覚えるんだな。」


そう言いながら、頭をポン!とされた。


何故幼子のような扱いをするのだ!こうなったら、何が何でも型とやらを覚えて、黒帯になってやろうではないか!

意地になって型を習得するため、鍛錬を重ねた。



 クラブの帰り、更衣室を出たら何故か冬馬どのが立っておった。


「そこで何をしておるのだ?」

「暗くなったから、家まで送るよ。」

「正門まで爺やが来ておる故、不要だ。」

「そっか。なら門まで送るよ。」


わざわざ他人を屋敷まで送るとは、不思議な事を言う者であるな…


「そういえば、かぐやは何故喧嘩を売られるんだ?」

「この容姿が原因だ。」

「容姿がか?」

「そうだ。」

「美人過ぎて疎まれるのか…」

「何か言ったか?」

「いや、別に。かぐやも色々大変だな。」

「もう馴れた故、全員返り討ちにしてやったわ。」

「はは!そっか。今度からは何かあったら俺に言えよ!じゃあな。」


正門に着くと、冬馬どのは手を振って帰って行った。

何やら笑っておったが、私は何か可笑しな事を言ったであろうか…


まぁいいや。今日は満月、やよい姉様と話ができる日だ。早く屋敷へ帰るとしよう。



 屋敷に戻り、天界から持ってきた鏡の前に座った。今宵はよく晴れておる故、沢山やよい姉様と話が出来そうだ。

鏡に向かって話しかけると、懐かしい声が聞こえてきた。


『かぐや?元気にしておりましたか?』

「はい。やよい姉様もお元気そうで。」

『天界は特に変わりありませんが、かぐやがおらぬので暇になりました。下界の話を聞かせてください。』

「はい。只今高校という学問所に通い、下界の勉学に励んでおります。」


小梅どのや松乃どのと親しくさせて頂いていること、空手という武道を始めたことなどを話した。


『まぁ、沢山の方から丁寧に扱われているのですね。』

「下界では避けられることはあっても、喧嘩を売られる事がありません。」

『そうでしたか。楽しそうで何よりです。』

「それと、何故か屋敷に送るという変わった殿方もおります。」

『まぁ、良い殿方と知りあいになられましたね。』

「門まで爺やが来ております故、何故そのようなことを申すのか理解出来ませぬ。」


やよい姉様はクスッと笑った。


『かぐやが容姿に拘らず殿方の本当の姿を見る事が出来た時、理解できるのかもしれませんね。』


久しぶりのやよい姉様とのお話は、よく分からぬまま終わった。


やよい姉様はよく容姿に拘らないでと言うが、幼少の頃から容姿が原因で虐げられてきた私にとって、殿方を選ぶ条件は容姿が重要なのだ。確かに顔だけの者は元婚約者で懲りておるが、本当の姿とはどのようにすれば見れるのであろうか…



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