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第29話・婚約者見参!

 連休明けから、すぐに中間試験の勉強期間となった。下界はやけに学問の試験が多いな。

せっかく空手の級も順調に上がっておるというのに、クラブも休みになってしまい、がっかりだ。


「はぁ…毎日勉強ばっかりで嫌になるな~。」

「松乃どののため息、よう理解できるぞ。」

「やっぱかぐやちゃんも思うよね~♪」


「でも、この試験が終わったら、すぐに文化祭だよ!もうすぐかぐやちゃんが来て一年になるね!」

「小梅どの、よく覚えておるな。」

「丁度、文化祭の前だったからね!いきなり姫役に推薦されてたし、印象に残っているよ!」


そろそろ下界に落とされて一年になるのか。時が経つのは早いものであるな。


「一年経って、かぐやちゃんちょっと変わったよね♪」

「ん?松乃どの、私が何か変わったか?」

「日本に馴染んできた感じがするよ♪キング3への態度も柔らかくなったしね!」

「あの頃は、いきなり手に接吻をされたり、後ろから抱きつかれたりしておったし、誰でも警戒するであろう。」

「確かにね~♪」


「それよりも試験だ。今度こそ一位になってみせるぞ!」

「かぐやちゃん凄いね~♪」


 それから暫くして、試験の結果が発表された。


<一位:浦和 春樹>

<二位:竹野塚 かぐや>

<三位:金城 冬馬>

<四位:桃井 秋人>

<五位:桜小路 乙葉>


やはり負けてしまったか…かなり頑張ったのに、落ち込んでしまいそうだ。

教室に戻り、はぁ…とため息をついた。


「なかなか春樹どのには勝てぬな…」

「かぐやさんより上に行かなくては、教えてあげることが出来ませんからね。」

「春樹どの、聞こえておったか。」

「それに卒業のダンスパーティーもありますし、一位は譲れませんよ。」


ダンスパーティー?初めて聞くものであるな。


「それは一体何だ?」

「卒業の時にみんなでするパーティーのことだよ♪みんなパートナーを連れて参加するんだ。因みに成績上位の人はパートナーを指名できるんだよ♪」


傍におった秋人どのが解説をしてくれた。


「指名されたらどうなるのだ?」

「まぁ何も無い限りは、断れないかな♪」

「ふむ。まぁ私は誰も指名するつもりは無いけどな。」

「え?かぐやちゃん卒業のダンスパーティー出ないの?」

「ダンスと名のつくものは拒否反応が起こる。去年のフォークダンスでこりごりだ。」


「大丈夫です。かぐやさんは参加になりますよ。その為に私も勉強を頑張っていますから。」

「春樹どの、何故だ?」

「ふふ、その時を楽しみしていて下さいね。」


ダンスパーティーとやらは、そんなに楽しいものなのか。それにしてもずいぶん先の話であるな…



 試験明けから、文化祭の出し物を決める時期となった。


「では、今年はカフェということで、決定しました!どんなカフェがいいか、みなさんの希望はありますか?」


「はい!メイド喫茶がいいと思います♪」

「そんなのヤダ!女子ばっかりが損するじゃん!執事喫茶がいいと思います!」

「コスプレカフェはどうかな?」


スマホで調べようにも追いつかぬので、隣にいた冬馬どのに聞いてみた。


「なぁ、カフェというのはそんなに種類があるものなのか?」

「他にもギャル喫茶とか色々あるぞ。」

「普通に珈琲を飲むカフェしか行ったことがないぞ。」

「普通なら行かないカフェばかりだから、大丈夫だ。」


普段行かないカフェをするのか。何故なのであろう…

皆の意見が別れる中、違う提案の声が聞こえた。


「はい。和風の茶店がいいと思います。」


声の主を見てみると、松乃どのが手を挙げておった。


「お茶を立てて和菓子を添えれば、他のクラスのカフェとも区別もつきやすいと思います♪」

「ですが、お茶を立てれる人は、どのくらいいますか?」


司会の者が言うので、手を挙げてみた。松乃どのや春樹どの、他にも二人の姫君が手を挙げておった。


多数決で和風の茶店が決まり、茶を立てる5人で話し合いをして、交代制で分担することとなった。5人とも着物を持っておるとのことで、衣装には問題は無さそうだ。



 文化祭前日、松乃どのが大量の花を教室の茶店に活けておった。


「松乃どの、手伝うぞ。」

「ありがとうかぐやちゃん♪」

「それにしても沢山の花だな。なかなか枝ぶりも良い。」

「丁度、ウチの流派の展示会が終わったばかりだから、みんなにお願いして貰ってきちゃった♪」


二人で分担して、花瓶や水盤に活けていった。


「かぐやちゃん、上手だね♪何処かで習ってたの?」

「天界では普通のことだ。今度、松乃どののご実家でご教授願いたいのだが、宜しいか?」

「いいよ!お母さんもお父さんも喜ぶと思うよ!予定が空く日を聞いておくね♪」

「よろしく頼む。」



 そうして、文化祭が始まった。

持ち込んだ畳の上で茶を立て、それを小梅どの達が和菓子と一緒に運ぶという具合だ。目の前でお茶を立てるのが珍しいらしく、来場者達からの評判も上々のようである。


茶店の裏側で休憩をしておると、小梅どのが疲れた顔をしてやって来た。


「はぁ…春樹くんがお茶を立てると、廊下までお客さんが並んじゃって大変だよ…」

「そんなに春樹どののお茶は美味いのか。私も頂くとするか。」

「かぐやちゃんの方が美味しいと思うよ。春樹くん目当ての女の子のファンが押し寄せちゃってるんだ。」

「そういうことか。」


相変わらず不細工三人衆は人気があるな。


そこへ春樹どのが、裏側へ私を呼びに来た。


「休憩中にすみません。かぐやさんにお茶を立てて欲しいとご指名の方がいらっしゃるのですが、どうしますか?」

「私を指名なのか?」

「はい。凄い着物を着た男性です。」


爺やか?とりあえず出てみるとするか。

裏側から出て茶店へ行くと、着物を着た殿方が振り向いた。



「かぐや様、探しましたよ!」


「き、貴様は藤原道彦どのではないか!!」



着物を着た殿方は、元婚約者であった!



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