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第20話・スノボー初体験!

 冬休みも終わり、新学期になった。


「あけおめ~♪かぐやちゃんお土産!」

「あけおめ!かぐやちゃん元気だった?これ、ハワイのお土産だよ♪」

「明けましておめでとう。松乃どの、秋人どの、ありがとう。」


「俺も田舎の土産があるぞ。」

「冬馬どのもありがとう。」


休み明けは、皆何処に行って来たかの話で盛り上がっておった。


「冬馬どのは何処へ行ったのだ?」

「俺はじいちゃんのところだ。毎年餅ツキ要員なんだよな~。」


「秋人どのはハワイだったか。」

「そうだよ!楽しかったけど日本人多すぎかな。何処へ行っても日本語通じるし、外国って感じしなかったな。」


なるほど。異国とは言ってもそのような所もあるのだな。


「松乃どのは何処へ行ってきたのだ?」

「私はカナダに行って来たんだ~♪修学旅行に向けて、ちょっとだけスキーのレッスンしてきたよ!」

「修学旅行?」

「うん。毎年海外なんだけど、今年は治安を考えて国内でスキーなんだって。かぐやちゃんは経験ある?」

「いや。冬の運動なら氷滑りが一般的だった。」



 『スケートかな?』

 『たぶんな。』



「春樹どのは経験あるのか?」

「私はスキーなら大丈夫ですが、スノボーの経験はありませんね。秋人は逆だったよな?」

「うん。スノボーしか無いかな。冬馬は?」

「俺はどっちも出来るぞ。」

「流石は脳筋♪」

「だれが脳筋だ!」


「小梅どのはどうだ?」

「小さい頃にしたらしいけど、あまり覚えてないよ。」


それなら、みんなでスキー場へ行こうよ♪と、秋人どのが旅行の提案をした。


「春樹ん家の別荘に行かない?修学旅行前に僕達が教えてあげるよ♪」

「いいな!」

「んじゃ決定ね♪」


旅行が決まった。毎度のことながら、皆の決断の速さには恐れ入るな…



 旅行当日、春樹どのの家の車でスキー場近くの別荘へ行った。


「おお!中々広いではないか。」

「お風呂は温泉なので、美肌効果もありますよ。ゆっくり浸かってくださいね。」

「温泉は私も好きだ。猿も時々一緒に入ってきておったな。」


「猿?ずいぶんワイルドな温泉なんだね~♪」

「そうか?秋人どのは猿と一緒に入らぬのか?」

「いや、一般的にはあまり居ないと思うよ。」


「猿が羨ましい…」

「ん?冬馬どの、何か言ったか?」

「ただの独り言だ。」



 早速スキーウエアという分厚い服に着替えてゲレンデへ出た。

修学旅行ではスキーかスノボーが選べるらしく、全員でスノボーを選択することとなった。


「スキーと違って、スノボーは前後の体重移動となるんだ!後ろ側のかかとに体重をかけると左に曲がって、つま先の前側に体重をかけると右側に曲がるんだよ♪」


慣れておる秋人どのが中心になってレッスンが始まった。


「まず最初は転んで起き上がる練習ね!」


「うわっ!」


これがなかなか難しい。手をついて起き上がるが、すぐにバランスを崩してしまった。


「これは両足が固定されている故、動くのが難しいな。」

「慣れれば大したことないけどね。あと、重心を低くして、腰から下を使うようにすれば結構うまく滑れるよ♪」


冬馬どのと秋人どの以外は初挑戦だ。皆、雪まみれになりながら練習をした。



 お昼になり、スキー場の食堂でお昼御飯を頂いた。


「かぐやちゃん、飲み込みが早いね!もう緩斜面のゲレンデなら行けると思うよ!」

「中々楽しい故、行ってみたいものだ。」

「頂上から見る景色も絶景だしね♪後で一緒に行ってみようよ!」


「俺も行きたい!」

「冬馬は小梅ちゃんと松乃ちゃんを見ていてよ!後で交代するからさ♪」

「…分かった。」


「私も残るから、後で一緒に上がってみよう。」


春樹どのが冬馬どのを慰めておる。そんなにも頂上へ行きたかったのであろうか。



 早々にお昼御飯を切り上げ、私と秋人どのは緩斜面のゲレンデのリフトに乗った。


「おお!これは高いな!」

「後ろ向いてごらん!景色がいいよ♪」

「どれどれ、おお!これは絶景だ!」

「もっと上まで行くと、もっと景色いいんだけど、たまにガスが出るんだよね~。視界が悪くなると最悪だよ!」

「秋人どのは物知りであるな。」


ふと、秋人どのが思い出したように聞いてきた。


「かぐやちゃん、何だか今日は近くに座っていても普通だね♪」

「そうか?久しぶりに雪を見た故、気持ちが高ぶっておるのかもしれぬな。」


ゴーグルというメガネのおかげで顔があまり見えぬからとは言えぬ雰囲気だ。黙っておこう。


リフトを降り、緩斜面のゲレンデも難なく滑り下りる事ができた。


「かぐやちゃん、ゴンドラでも大丈夫そうだね♪もっと上に行ってみる?」

「そうしたい。」


そこへ下で練習しておった皆がやってきた。


「どうだった?」

「うむ。なかなか良かったぞ。」

「かぐやちゃんかなり筋がいいし、次はゴンドラに乗ろうかと思ってるんだ♪」


「ずるい!今度は俺が行く!」


冬馬どのが言った時、小梅どのがおずおずと手をあげた。


「あ、あの…私も一緒に行きたいな。」

「でも小梅はまだ無理だろう。」


ここで、松乃ちゃんと秋人どのがまた目で会話をしておる。この二人は凄いな。


「頂上の少し下に止まる第二ゴンドラなら大丈夫かな♪みんなでフォローするし、行ってみよっか♪」

「ああ、私も慣れてきたので、みんなで行ってみよう。」

「流石は春樹!スキーよりボードの方が簡単だし、すぐ慣れるよね!じゃあ行こうか♪」


松乃どのが、小さい声でよかったね♪と小梅どのに言っておる。小梅どのは相当ゴンドラに乗りたかったのであろうな。


皆でゴンドラに乗り込み、頂上近くのゲレンデに降り立った。


「やっぱ無理だったかも!下を見るだけで怖いよ~!」

「だから言っただろ。木の葉落としでもいいから、少しずつ降りていこうぜ。」


さすがは面倒見の良い冬馬どのだ。小梅どのも少しずつだが下りて来れそうだ。


「きゃ~!」


松乃どのの悲鳴が聞こえた!何やら林に突っ込んでおる。


「松乃ちゃん、大丈夫?」


秋人どのが助けに行くようだ。


「滑れるようになったとは言っても、人助けまでは難しいですね。」


隣に立っていた春樹どのが苦笑いしておった。


「私も同じだ。せめて手を煩わせぬよう自力で下りるとしよう。」


「きゃ~!」


今度は小梅どのが林に突っ込んだようだ。

皆、助けてやれぬが、頑張ってくれ…


やっとの思いで、緩斜面まで下りてきたが、小梅どのが焦ったようにポケットを漁り始めた。


「小梅どの、どうかしたのか?」

「あの…バレッタが無いの。ポケットに入れておいたんだけど…」

「クリスマスパーティーで交換したものか?」

「そう。無くしちゃいけないと思ってポケットに入れたんだけど、転んだ時に落としちゃったのかも…」


もう第一ゴンドラは運転時間が終わっておる。第二ゴンドラはギリギリで乗れそうだ。


「なら私が探してこよう。」

「いや、無理だよ!もう諦めるから!」

「何を言っておる。気に入っておったのだろう。」

「かぐやちゃん、待って!」


小梅どのの返事も聞かずに第二ゴンドラ乗り場へ向かったが、秋人どのが後ろからついてきた。


「かぐやちゃん、僕が行くからいいよ!戻って!」

「大丈夫だ。」


秋人どのは盛大なため息をついた。


「だったら一緒に行くけど、時間ギリギリだから絶対に離れないでね。」

「分かった。先ほど転んでいた場所だけでも見てみよう。」

「見つかるといいね♪」


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トイレからみんなの所へ戻ったら、かぐやと秋人が見当たらない。


「あれ?二人は?」

「冬馬、あの二人ならゴンドラに乗ったよ。」

「はぁ?何故だ?」

「私が落とした髪留めを探してくれるって。悪いことしちゃった…」

「頂上からかなりガスが出てきているけど、大丈夫かなぁ。」


「俺も行くよ!」

「冬馬、もうゴンドラは運転時間終わったぞ!」


ちっ!まずいな…


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