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第52話・プチ同棲生活開始!

 松乃どのと秋人どのは仲直りしたようだ。しかも、今まで以上に仲良しなのだ。


「秋人、あ~ん♪美味しい?」

「とっても美味しいよ♪松乃ちゃん最高!」

「頑張ってお弁当作ってみて良かった♪」

「でも無理しないでね♪」

「秋人の為だもん♪無理なんて思ってないよ!」


「外は梅雨で蒸し暑いが、学食も異様に熱いな…」


ぷっ!

冬馬どののボヤキに思わず笑ってしまった。まぁ、仲直り出来たのであれば、良かったとしよう。



 気付けば、もうすぐ夏休みだ。

秋人どのはモデル業の合間に、就職が決まっておるイベント会社でアルバイトをするそうだ。そして、松乃どのは本格的に家元の修行に入ると言っておった。


小梅どのも就職が決まっておる塾で引き続きアルバイトだ。冬馬どのは色々と就職先を探しておるようだ。


そんな中、春樹どのから思いがけぬ話を聞かされた。


「かぐやさん、実は、夏休みにインターンとしてニューヨークで働くことになりました。」

「え?わざわざニューヨークまで行くのか?」

「はい。国内ではまた騒ぎになってしまうとのことなので、あちらのホテルで短期間働くことになります。」

「そうか。それは寂しいな…」


「ふふ。誰が置いていくと言いましたか?」

「へ?私は働けぬぞ。」

「働かなくても大丈夫です。1ヶ月程ですが、向こうで一緒に暮らしませんか?」


思わぬ誘いであった。1ヶ月も春樹どのと一緒に生活出来るのだ!


「いや、ちょっと待て!生活と言われても、私は台所仕事など一切できぬ。」

「大丈夫です。近くにはダイナーもありますが、電話一本でケータリングやハウスクリーニングを頼めるマンションを押さえてあります。入口にも24時間警備員がいるので、安心ですよ。」

「ほう、そのようなマンションがあるのだな。便利なものだ。」


「それと、花嫁修業のようなものになりますが、私が居ない間にはかぐやさんに、ダンスと英会話のレッスンを受けて欲しいのですが、可能でしょうか。」

「英会話はともかく、ダンスも必要なのか?」

「海外でのパーティーもありますし、その時にはパートナーが必要になります。かぐやさん以外には考えていないので、簡単なものだけでも覚えて頂ければ助かります。」


私が春樹どのの役に立てるのは、そのくらいしか無いであろう。腹をくくった。


「よし!私も頑張るぞ!」

「ふふ。よろしくお願いします。」


英会話とダンスの先生はマンションまで来て教えてくれるとのことだ。異国に不慣れな私には有り難い。


こうして、夏休みに入ってすぐに、二人でニューヨークへ飛び立った。



 空港からお父様が手配したリムジンでマンションへ着き、電気を付けながら春樹どのが部屋の案内をしてくれた。


「ここがリビングです。ベランダからはマンハッタンの夜景がよく見えますよ。」

「ほう。それは楽しみだ。」


「ここがバスルームです。」

「え?身体は何処で洗うのだ?」

「シャワーブースが別に付いています。その後、湯船に浸かれますよ。こちらの方は湯船に浸かって身体を洗う方が多いのです。」

「へ?そうなのか?変わったことをするな。」

「ふふ。こちらの方からしてみれば、私達が変わっていると思いますよ。」


所変われば美的感覚も変わるようなものか。


「そしてこちらがメインベッドルームです。ベッドルームはもう一つありますが、そちらはかぐやさんの着替え専用で使って下さい。」

「えっと、寝るのは…」

「もちろんこちらのメインベッドルームで一緒ですよ。」


当然のようににっこりされた。

そ、そうだよな。婚約の儀も終わっておるし…


電話でのハウスクリーニングの依頼やケータリングの注文方法などを説明され、キッチンにも行ってみた。


「簡単な食事が作れる程度に道具は揃っていますが、使う事は無いと思います。冷蔵庫に飲み物のストックをしておいた方がいいですね。」


まだ日が高かったので、近くのスーパーとやらに出掛けることとなった。


「おお!何故こんなにも置いてある商品がでかいのだ?」

「こちらの方はまとめ買いをする為、冷凍庫が大きいですからね。私達は飲み物と簡単なおつまみになるものだけで充分ですよ。」

「だが、これだけではすぐに無くなってしまうであろう。」

「電話でも届けて貰えますが、二人で時間がある時にでも散歩がてら買いに来ましょう。」


ひとまず二人で持てる分だけを購入し、残りはまた後日ということになった。

ニューヨークでの仕事は明後日からだそうだ。


「明日は何処かへ行きますか?ブロードウェイでミュージカルを見てもいいし、セントラルパークでゆっくり散歩も出来ますよ。」

「そうだな。ミュージカルとやらは英会話を習得した後の方が良いであろうな。」

「では帰国前に見に来ましょうね。」



 マンションに戻り、ケータリングでお腹を満たし、風呂へ入ることとなった。

春樹どのが私の腰を引きよせ、微笑みながら頬に軽く口付けをした。


「かぐやさん、一緒に入りませんか?」

「…」


恐らく春樹どのはまたからかっておるのであろう。

実は、春樹どのの希望を叶えようと、バレンタインデーの時に使う事が出来なかったチョコレート入浴剤を持って来ておるのだ。しかし実際に使うとなると、かなりの勇気が必要だな…


やはり止めるべきか、思いきって使うべきか…


「かぐやさん?どうかされました?」

「い、いや!大丈夫だ!」

「…?」


よしっ!頑張れ、かぐや!



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