妹はワーウルフ
皆は妹がいるだろうか。僕にも可愛らしい妹がいる。ただ皆と違うのは・・・
「兄さんーまた毛が絡まったー!」
そう人狼なのだ。といっても普通のワーウルフとは違い人間の頭のところに耳がついて尻尾がある事ぐらいだ。
「はいはいまったく尻尾はいつも気をつけてよ網にかかるの何回目?」
「う~だってー・・・」
「いい年こいて何言ってるの外すから動かないで」
「まだ十八ですよーだ!」
俺達は漁業で生活している。住んでいる村が漁村だからだ。昔お爺ちゃんと海岸を掃除していたらこいつを見つけた。お爺ちゃんが言うにはワーウルフは水を嫌う。だからここにおるつう事は捨てられたんじゃな、と。そのあとお爺ちゃんはこういった。この子を育てよう。お前の妹じゃと。もちろん村の人は反対した。しかし時間とともにだんだん打ち解けあったようだ。決定的だったのが村長の娘を森から見つけたときだろう。元が狼なので鼻がいいみたいだった。森のにおいを辿っていったらしい。妹はすくすく大きくなり綺麗な女性へと変わった。もちろんお見合いの話がひっきりなしなんだがまぁ晩御飯の風景を・・・
「うーんやっとビールが飲めるー」
「はい今日はぶり大根ね」
「んありがとういつ食べてもうまいからなぁ」
「うんありがとう」
「そういえばお見合いの手紙また来てるぞいい加減答えてやったら?」
「無理って言っておいて私好きな人がいるの」
「はぁお前も好きな人がいるなら教えてくれよ僕も応援するからさ!」
「いいのいいのさご飯食べましょ」
「アレご飯それだけ?平気?」
「うんちょっと食欲なくて・・・」
「風邪か?どれどれ」
「!・・・!///」
「うーん少し熱があるみたいだな」
「じゃあ私部屋に戻ってるね!お酒は自分で注いで!」
「・・・一人酒てのは寂しいもんだな」
とまぁこんな風に怒って部屋に入ってしまうのだ。なぜ怒られるのか?しかし一人で飲むお酒ほど味気ないものは無いな。
「はぁ俺も依存してるのかもなぁ俺ももう嫁を貰ってもいい年なのにあいつと離れるのがいやだ・・・」
そう拾ってこのかた漁業の手伝いに家事に酒注ぎまでやってくれている。俺一人だとどんなに大変か。
「はぁいい加減区切りをつけないとなぁ」
「はぁ・・・はぁ」
「!そんな酷かったのか?俺は兄として失格だな・・・」
あいつの部屋に電気が点いていた。刺激しないようにそーと覗いて見ると抱き枕を千切れんばかりに抱きしめている。なにやってんだ?
「兄さん・・・兄さん」
「何やってるんだ・・・ぶっ!」
縁に足を引っ掛けてしまった。そのままあいつの部屋にダイブ。ばっちーんといい音が床からした。あいつは呆然としている。
「あははどうもー兄さんですー」
「・・・ぐすっぐすっ」
泣き出した。どうしよう。とりあえず後ろから抱きしめて頭を撫でてやる。昔からこれをすると泣き止んだものだ。
「ちょっとは落ち着いたか?」
「うんありがとう抑えようとはするんだけど満月の影響で・・・びっくりしたでしょあきれたでしょ軽蔑したでしょ」
「抑えるって何を?」
「本当に鈍感なんだから・・・私は兄妹だけど兄さんが好き理性で抑えてるのがつらいほど」
「えっとじゃあお見合いを断ってたのは」
「兄さんと離れたくないから・・・」
「・・・えぇー!?」
「やっと気づいたの・・・遅過ぎるよ」
「ええとそのなんだ・・・よろしくお願いします」
「!よろしくお願いしますって!いいって事!?」
「俺もその・・・昔から好きだったから」
「やったー!大好き!」
まぁこうして僕とあいつは結婚することになった。実際村の人全員そう思っていたようでかなりいらいらさせてくれたな、といじられた。お見合も最初から諦めていた様だ。ちなみに・・・
「パパー!尻尾絡まったー!」
「おーいお兄ちゃんはどこだー妹を助けてやれー」
「はいはーい・・・はい取れたよ」
「お兄ちゃんには尻尾と耳ついてないから楽そー」
女の子はワーウルフ男の子は人間というちょっと変わった生まれ方をした。只今八人家族。ちょっと仕込みすぎたな・・・まぁ毎日子供は魚に怯えながら、僕はあいつとの満月の日をを怯えながら待っている。だってすごい甘えてくるんだ・・・というのが僕の日常だ。
FIN
もっとこういうのがみたいんじゃー!というのがあったら言ってください。それでご飯が進みます。