ツイ廃天使アミ
スレタイトル:俺天使だけど質問ある?
名無しさん01:ってことで俺天使なんだけど皆質問ある??
名無しさん02:>01天使って神話系の?
名無しさん03:>02いや、現実の方
名無しさん04:あれか、数年前に急に星空から流星みたいに降り注いだ魔物に対抗しうる力を持った選ばれし者って意味の天使か
名無しさん05:>04そうそれ
名無しさん06:あれになるのって才能?
名無しさん07:>06いや、偶然かな。魔物が出て来る時に流星降ってくるじゃん? それが直撃したらなれる。割と有名な話だけどな
名無しさん08:直撃とか死ぬだろそれwwwww
名無しさん09:>08だから一回死んでるって説も有名じゃね?
名無しさん10:>09なるほどな。だから天使は戦う時羽が生えるってか?
名無しさん11:まあ研究班がずっと解析勧めてるし天使についてはもちろん魔物の事とかもそのうち分かるっしょ
名無しさん12:つか天使ってそんな簡単に正体晒していいわけ?www
名無しさん13:>12別に問題ない。あのアイドルユニットも天使を売りにしてる
名無しさん14:>13あー、エンジェルなんちゃらってユニット? じゃああいつらも魔物と戦ってるってこと?
名無しさん15:魔物と出会っちゃうと戦うしかない。魔物って、俺ら天使見つけると一般人には入れない異空間に取り込んでくるんだけど、魔物を倒さない限りその空間から逃げるのは難しい。
名無しさん16:>15一般人にはってことは天使なら助太刀できるってことか
名無しさん17:>16まあ戦う天使も滅多にいないけどな。1人で戦うにはメリットもでかいぶんリスクも大きい。最悪死に至るからな。
名無しさん18:>17メリットとかあるの?
名無しさん19:あれだろ、魔物を倒したら星屑とか言われてるのが手に入るんだろ。それを沢山集めたら小さな星が1つできて願いが叶うって噂あるじゃん。1人で戦えば手に入る星屑がそれだけ多く手に入るってことだろ。そういや武器とかって自分で選べんの?
名無しさん20:>詳しくは分からないけど、流星がぶつかる瞬間に持ってたもんが武器になるっぽい。少なくとも俺が今まで会った天使は皆そうだった。
名無しさん21:武器とか例えば何あるんだよそれwwwww
名無しさん22:>21俺の場合だと野球バット持って素振りしてたから、武器はバット。
名無しさん23:バットwwwwwww弱そうwwwwww
名無しさん24:いやいや、なめんなよ?普通の武器でも魔法強化とかされててサイズも強度も格段にあがってるし、体力の消費量半端ないから滅多に使えないけど魔法だって使えるから。
名無しさん25:はいはい、今までの作り話乙wwwずっと黙って聞いてたけど本物とかいう保証ないwwwそういうサイト探せば似たような話いくらでも出てくるからwww
名無しさん26:別に信じようが信じまいがお前らの自由だけど??
名無しさん27:ただの強がりじゃねえかww
「いいなあ……」
バイトの帰り道、中傷が始まりそうな所でサイトを閉じ、思わず呟いた。
「武器がバットで魔法使えるんだって。本当かどうかは分からないけど、何より仲間がいるなんて羨ましい!!」
人通りの少ない路地でうっかり叫んでしまう。
「同じ天使でもなんでこうも武器とか仲間に差が出るのかなあ」
私、ヤマワキ アミも天使の一員だったりするのだが、かれこれ2年は天使をやっているのに、未だ仲間がいない。今までよくこんなか弱い女子高生がソロで生きてたもんだ。
「仲間欲しいなあ」
『仲間 いない』
なんとなく現状をネットの検索画面に打ち込んで検索ボタンを押した。
【検索結果 もしかして:コミュ障】
「うわあその通りだ……」
溢れ出しそうな涙を零すまいとそっと星空を見上げる。
「もし願いが叶うなら仲間が欲しいってお願いしたいな……」
ぼんやりと考えながら曲がり角を曲がった所で一瞬立ち眩みのような感覚に襲われる。魔物による異空間に閉じ込められた証拠である。見上げればかなりの至近距離に魔物がいた。黒い影が蠢いているような不気味なシルエット。巨大な人型らしき魔物がゆっくりとした動作で私に手を伸ばす。
「やばっ!?」
慌てて力を解放、天使の羽を出現させて魔物から離れる。と同時に武器を出現させる為に両手に意識を集中させる。徐々に両手に見えない力のような何かが集まり、両手に出現したのは――
「なんで私の武器はスマホなんだろ……しかも決まったアプリ使わないと攻撃できないなんて……」
手早くスマホの電源を入れてアプリを起動。立ち上げるアプリはもちろん――
「さあ出でよツイッター!! ツイ廃天使アミちゃん参上!」
迫りくる攻撃をかわして呟きを入力。
「必殺! ツイート攻撃!」
叫びながら呟くボタンを押すと、スマホから文字をくわえた青い鳥が飛びだし、魔物に向かっていく。ちなみにくわえている文字は『ぼっちなう』まさしく今の私の状況。
魔物がバランスを崩した所で一気に攻撃を畳みかける。
「早く終わらせて帰るんだ! くらえ! ふぁぼ爆撃&リツイート攻撃!」
自分のタイムラインに流れてくるツイートを全てふぁぼとリツイートしていく。その数だけ星の形をした硬そうな何かと、矢印の形をした硬そうな何かが魔物に突き刺さり、爆発を引き起こす。ぐにゃり、と魔物のシルエットが歪み、魔物が霧散する。
「……よし」
異空間が壊れ、元の見慣れた風景に戻る。
周囲を舞っていた星屑が私の羽に集まり、消える。もしあのサイトに書いてあることが本当なら、いつか願いが叶うかもしれないってことだ。
「もし本当に叶うなら私の願いは……仲間がほしいです。後、もうちょっとかっこいい武器が欲しいです。で決まりかな」
ちなみに、この数年後ヤマワキ アミはソロで活動し続けることにより戦闘能力が飛躍的に上がり、最強のツイ廃天使アミと名を轟かせるようになったのは、また別の話である。