第9話「警備員」
警察署の中は慌ただしくなり、騒音が鳴り響いているような感覚に新井はなっていた。
それもそのはず、手配した場所で、その場所で警察がいたのに人が殺されてしまったのだから。警察が世間から無能と言われてしまっても仕方の無いこと。これが、工藤の狙いなのだと思った。
木場の映画館はショッピングモールの中にある。そして、モールの入口には鍵が掛かっていなかったらしい。警察側はてっきり外で殺人が起きるものだと考えていた。爬虫類店では店の外で遺体が発見されていたからだ。
しかし、中へ行ってみると、小説に書かれていたように、映画館の中の席で遺体が発見された。
ここで疑問がかなり出てくる。
まず、なぜ映画館の中で殺されたのか?
犯人はどうやって警察の目を逃れられたのか?
1つ目の疑問は何となくだが説明がつけられそうだった。
なんせ、被害者である久野亮さんは警備員をしていたからだ。警備の途中で犯人に襲われ、映画館の席に座らせたと考えるのが妥当。
だが、説明がつけられない部分がある。
2:00ぴったりに殺されたわけじゃ無くなってしまうのだ。つまり、この理論でいけば、誰も救えなくなってしまうのと同じになってしまう。
既に被害者たちは殺されている?
1番考えたくない内容だ。これは最悪の推理として頭の片隅に置くことにした。
2つ目は警察の目をどうやって逃れたのか。
周りを見ていても怪しい人物は一切現れなかったという。それこそ、1つ目の推理のように既に殺していたから警察に出会うこともなかったと考えるのが妥当になってしまう。
本当に嫌な事件だ。目撃者は首謀者で、殺された時に見ていた人も音も何もしないなんて。
小説に書かれていたように、久野の父親は不祥事を起こして捕まっていた。その後の久野の人生は分からないが、周りからの目はキツイものだったはず。だからといって殺していい理由にはならない。
監視カメラの捜査も進んでいるが、どの場所にもそれらしい人物は少しも写っていないらしい。
新井は、ため息をつく。
一体何がどうなっているのやら、もうお手上げ状態になりたかった。
先回り、閃いた。というか何でここまで気が付かなかったのかと思うことが今思いついた。
工藤は「ピノッキオの冒険」の話をしている。それを調べれば殺人が起きる場所に先回りができるのかもしれない。
しかし問題はどの部分が答えなのかを考えなくてはいけないという所だった。
こんなことを考えつかないのは警察の頭がお堅いからと言わざるを得ない。取調室にいる工藤の言葉に頼りきる姿勢は良くないなと反省をした。
新井はネットでピノッキオの冒険を調べて、工藤が言っていた場所まで飛ばし、次のところから読み始めた。
時刻は2:15。




