第17話「ラストページ」
時刻は4:10。
既に工藤からは5ページ目の話をしましょうとの声がかかっていたが、それどころではなかった。
またもや、人が殺されてしまった。いや、今回は殺されたと言えるのだろうか?
解析の結果、被害者の死因は毒殺。
伊藤はこれを運転手にもっていたのか?それとも運転手が自分で…しかし、何のために?この場合、騙されてしまったと考える方が理にかなっているじゃないか。
これまで死んでしまった人間は冤罪の罪を被ったものが多い。警察に復習をするために殺されに行くだろうか?
その答えはここでは出なかった。
小説の方も更新がされている。
第6話「渡辺研二」
『渡辺研二さんは冤罪の罪をきさせられてしまいましたが、ちゃんと仕事をしている人でした。ですが、それは見せかけです。心の中はいつも生きたいなんて思っていない。ですから、楽にしてあげます。彼に与えられた役は《《テーマパークに連れていく人》》。死に場所はバスの中。』
常田は頭を抱えてしまう。何時間もこの部屋で解くことのできそうで出来ない問題に直面することがこんなにストレスになるなんて思っていなかった。
そして、ここまで自体が大きくなるとも思っていなかったのだ。今や、マスコミは警察に押し寄せている。
その対応をしなくていいのは救いかもしれないが、今自分以外の誰もこの事件を終わらせられないと考えると責任感が何トンもの重りのようにのしかかってくる感覚に襲われてしまう。
「常田さん。物語はこれで終わります。さぁ、始めましょうよ。」
不気味に工藤の顔は笑っていた。さっきまで、真顔だったはずなのに。そんなに、自分たちの失敗が面白いのか?
悔しさが押し寄せてきて、次こそは解いてやると、そう思った。
「ピノッキオは遊びの国で悪いことをして、周りの子どもと同じようにロバになってしまうんです。そのまま売られサーカスで足をくじいて使い物にならなくなってしまった。そして、海に重りをつけられて沈められ、魚に食べられて中身のピノッキオの人形だけが残ったんです。
その後、クジラに食べられ、中でゼペットと遭遇。マグロの力を使ってクジラから外に出て、ピノッキオはいい子になると誓って終わります。」
「それで終わりなんですね?」
「そうです。あ、そうだ、常田さん。なんで、人っていい思い出は忘れるのに、辛い記憶はずっと残り続けるんですかね?」
「どういうことですか?」
「例えば、恋人の記念日とかって忘れたり、一緒に行った場所って忘れます。その場所に行ったりとか、誰かに言われて気がつく。でも、辛い記憶、振られた記憶や失敗の記憶はどれだけ忘れられたと思っても蘇ってくるし、上書きもできないんです。常田さんもそうでしょ?」
「上書きはできます。その辛い記憶を幸せな記憶で上書きして、辛い思いよりも幸せな思いを強くするんです。」
「じゃあ、今日の失態もそのうち埋められるんですか?」
感情を抑えられなくなり、工藤を思いっきり殴ってしまった。後ろにいた根本に停められ、ようやく正気を保つことができた。
考え直すと、失態を起こしたのは紛れもない自分。
あと1回のチャンスしかないのに、それすらも失敗してしまえば、心は崩壊へと向かいそうだ。解決できたとして、胸糞は悪いだろうな。既に何人もの命を救うことができなかったんだから。
とりあえず今は解決が先だ。終わったあとの自分の気持ちなんて知ったことか。
海…葛西臨海公園か。さっきの事件と繋がった。
また、連絡を入れ、警察に探してもらうこととなる。今度こそ、犯人を捕まえてくれ。頼む。
時刻は4:30。




