第1話「第一発見者」
静まり返った深夜。
普段ならば静寂に包まれる東京江戸川区の街の一部は今はパトカーや警察官の人たちの足音や話し声で満たされている。
1時間ほど前、とある男からの通報を受けた。
『アパートで人が殺されました。』
通報を受け、駆けつけた時、その場は悲惨な状態だった。被害者は腹部を何度も刺されていて内蔵が見えるのではないかという状態だった。
このアパートには人も少ない。住民も被害者を含めて3人程度、他の人たちにも事情聴取をしたが、人が暴れたような音は《《全くしなかった》》とのこと。
被害にあったのは「山本弧次郎」。年齢は50歳。職業は木材加工業。人との関わりはあまり見られず、孤立をしていたとも言えよう。
警察はこの事件の通報者、第一発見者である「工藤凌介」に事情聴取を行っていた。
工藤氏はこの場所をフラッと立ち寄った時、このアパートから猛ダッシュでどこかへ駆けていく人影を見かけたそうだ。
そして、アパートの扉が開けっ放しになっているのを見て、不審に思い、中を見たところ死体を見つけたと言う。
ある程度の事情聴取を終えた時、警察の腕を工藤氏が掴んだ。
「警察さん。この後もこの事件は続きますよ。僕が始めましたから。」
不気味に工藤氏が笑った。
警察は警戒態勢に入る。何を言っているのか理解ができていなかった。しかし、事件との関係性がないとも思えないので警察署にまで連行をすることとなった。
もしかしたら、アパートの住人を殺したのは…
そんな可能性を捨てきれずにいたのだ。




