どうぞ幸せにどうぞ不幸せに
私、あなたのことが好きじゃなくなったみたい。
わたしの神様はそう告げた。
別に「嫌い」になったわけじゃない。「好き」じゃなくなったの。
まえにも言ったけどさ、私全人類を愛しているの。特別だれかを好きとかもないの。
そう続けた。
じゃあ、どうして、どうして、、、
今までわたしと付き合っていたのさ、、、
その時はそうだったのよ。あなたは「特別」だったの。でも、それは昔のことになっちゃったの。いまは皆んなと一緒。
たぶん、これからもそう。誰かが特別になることはないんじゃいかな。
わたしの神様は前みたいに笑わなくなった。話さなくなった。
毎日いっしょならそんな日だってあるし、そんな日ばかりになる。
でも、わたしはそんな日は受け入れ難かった。いえ、別に構わない。いっしょにいたら。
無言でも一緒にいたい雰囲気だったら。暖炉の前でゆったりと流れる幸せな時間だったらそれでよかった…
でも、なんか違う。
無機質なコンクリートの壁と、ただ二つ並べられた机と椅子に座ってるだけ。ただそれだけの空気感だった。
だから、尋ねた。いや、言ってしまった。一縷の望みをかけて。
前みたいに明るくないね。
わたしのこと嫌いになった?
わたしの神様はまた続けた。
あなたと別れたい。
わたしは嫌だった。嫌だった。嫌だった、、、、
たとえ、この気まずい無言の無機質な空気感が続いたとしても、それに縋っていたかった。もしかしらわたしの神様が変わってくれるって信じていた。信じたかった。
わたしの神様は、わたしだけの神様じゃなくなったのだ。
その後、神様から便りがあった。
私、結婚します。
、、、、、、、、、、、
あぁ、そっか、わたしの神様は、もういなくなってしまったんだ。
どうして。特別な誰かができることはないって言っていたのに。どうして。私じゃだめだったの?どうして。また特別な人ができたの。
でも、あの「子」寂しがり屋だからなぁ、、、
少しでも私のこと思い出してくれたかな。思い出してくれたらいいな。
私は何度でも思い出してるよ。
でも、そうだね、、あの「子」は思い出さないよね、、、、
私も忘れるよ、、、、わすれたくないよ、、、
写真も連絡先も全部、ぜんぶさよならしよう。
わたしの神様。愛しの神様。いいえ、もう既にそれは過去。
神様へ。
さようなら。どうぞお元気で。
神様にこれをいうのは変だけど。
ほんとうなら神様叶えてくださいって言われる側なんだろうけど、
どうぞ幸せに
どうぞ不幸せに