一輪花を摘んで愛を口ずさむ ~スプリングマダムの春~
❀本羽 香那様主催企画「一足先の春の詩歌企画」参加作品です。
春になって
心浮かれ
花を一輪摘んでは 指先に紋白蝶を休ませて
恋心を歌うの
桜の並木道を ステップを踏んで
くるりと回りながら
春を謳歌するの
少し寂しい気持ちと別れもあるけれど
桜咲く 旅立ちに
一歩踏み出すのは たとえ遅くても構わないの
春は短いけれど ちゃんとそこにあるのだから
空に手を伸ばしてごらん
花をたくさん摘むより 一輪摘んで愛を口ずさむほうが
私の春らしいの
桜並木を振り返りながら
小さく手を振るの
春の妖精たちに「こんにちは」と話しかけながら
話に花を咲かせるの
そして「さようなら、ご機嫌よう」と呟き
ステップを踏んで去るの
それが私スプリングマダムの春の一日
さあ前を向いてご覧なさい
足元の花を一輪摘んで 愛を口ずさむの
私 スプリングマダムの春は此処に……
スプリングマダムとは、わたしが勝手に作り出した春の貴婦人みたいなイメージのキャラクターです。
彼女は朗らかに笑って、わたしたちの春を眺めています。
彼女の姿は幼子にしか見えないのかも。
何処かからか笑い声が聞こえたのなら、きっとそれは彼女が傍に居るからです。
ここまでお読みくださり、本当にありがとうございました。