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ワケあり回復術士  作者: 涼鈴
序章:奉仕
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第六話 回復職です。頑張って治します

 少年が目覚めたようなので、聖女モードで声をかけると俺の美声に聞き惚れてしまったのか、固まってしまっていた。もう一回声をかけようか迷っていると、慌てたような感じで問題ないことを告げてきた。


 それは良かったです、と声をかけるとまた固まってしまった。固まり過ぎだろ、と思ったが、知らぬ間にフードが取れてしまっていたらしい。あんまり顔を出すなとは言われていたが、今のところ目の前の少年しか人はいないので多分大丈夫だろう。


 今まで話してきた人が堅物であったり、格式が高い人であったりと、わざわざ自分の顔の美醜について触れるようなことがなかった人たちなので実感がなかったが、俺の今の顔は少年の視線を釘付けにしてしまうほど美しいらしい。


 これぞ我が世の春! と女体化した体で男らしさの欠片もないことを考えていると、少年が飛び上がって離れてしまった。もっと膝枕を堪能してもらっても良かったんだけどな。


 何をそんなに慌てているのか分からなかったのでこてんと首を傾げると、少年が抱き着いてきた。


 いきなりのことで驚いたが、彼の反応をみるとしょうがないのかもしれない。


 俺の胸に顔を押し付けた状態で息を荒げており、異常な興奮状態であることは誰が見ても分かる。


 彼は恐らく――――怯えているのだろう。


 俺は察しがいいほうなので、彼の状態もなんとなく分かる。とっても良く分かる。分かり過ぎて困るぐらいだ。


 俺が助ける直前、彼はゴブリンに嬲られていた。きっと忘れらようもないトラウマを刻みつけられたのであろう。フラッシュバックが引き起こされ、誰でもいいから縋りたい、救ってほしい。そんな心理状況なのかもしれない。別に心理学とかに詳しいわけじゃないので当て推量でしかないが、彼がとても怯えているのは間違っていないと思う。


 意味があるか分からないが、頭と背中を優しく撫でてあげよう。スキンシップは安心効果をもたらすとかどうのこうの。そんな感じのことをテレビで見た気がする。本当かどうかは知らないけど。赤の他人で意味があるのかも知らない。まあ美少女になってるし補正効果は期待できるでしょ。


 真心を込めて撫でていると少年はビクビクッと体を震わせ、心なしか荒かった呼吸が落ち着いて来た様に見える。少しでも彼の不安を取り除けたのであれば、俺としても嬉しい限り。


 少年は顔を上げるとどこか虚ろな目をしていた。そしてなんか火照っていて、上気している。



「良く頑張りましたね」



 彼がどんな理由であんなところに単身取り残されていたのかは定かではないが、俺の想像もつかないような辛苦を味わったことは明らかだ。少しでも労わってあげることで、明日への活力的なサムシングに変換してめげずに頑張って欲しい。



 *



 話せるようになった少年――アリスター君は冒険者であり、ランクは白の七、白色の七角。つまり、白の中では最高のランクだ。見かけによらず割と先輩にあたる人物らしい。


 彼は言葉を交わそうとすると()()()()にフードを被っていて欲しい、と言ってきた。理由を聞くと、俺が綺麗すぎて真面に喋れないから、らしい。


 ……うむ。


 少年よ、恥ずかしく思うことはない。男なのに女性に抱き着いた上に胸に顔を突っ込んでしまって、恥ずかしいのだろう。もう一度言おう、恥ずかしく思うことはないのだ。まだまだ君は子供であるし、悪意を持って行ったことではないだろうし。減るものではない……とまでは言えないが、大人の余裕で受け流そうではないか。…………俺は二十歳越えてないけど彼よりかは大人だ。


 それはさて置き、何故アリスター君があんな森の奥にいたのか、という話について聞いてみた。


 理由を聞いてみると、母親の病――魔力が失われていく奇病だそうだ――を治すのに莫大な費用がかかるらしく、父親がおらず、他の家族は妹しかいない現状では彼が頑張って稼ぐしかない。


 そして冒険者のランクを上げるために無茶を押してゴブリン討伐に繰り出した、とのこと。結果としては返り討ちにあったわけではあるが。


 そういえば統について書いてあった本にも、お布施をすることで傷や病を癒してくれる、みたいなことをかいてあった気がする。彼の母親は通常の、魔法を使用しない療法では完治しないという奇病だ。それなりのお金が必要であろうことは自明だろう。


 段々と症状が進行しており、残された時間も多くなさそうだ。


 出来るなら俺も力になってあげたいが、事が事だけに安請け合いするのも憚れる。


 一応俺の魔法のレパートリーに状態異常を治す魔法はあるが、病というカテゴリが状態異常として認識されているのかが分からない。治せる可能性は割と高い気もするが、確実ではない以上、変に希望を見せてしまいたくない。駄目だった時の落差は計り知れないのだから。


 勝手に魔法をかけてみようとも思ったが、流石に無理がある上に「人としてどうなんだろうか」ということで却下。妥協案として直前に魔法で治せる可能性があるという話をする、という方向で行くことにした。落ち着いた時に話せば、過剰に期待を寄せられることもないだろう。


 彼を家まで送っていく体で付いていって、お母さんのところまで案内してもらおう。お礼の言葉は貰ったが、恩の押し売りはしていく。


 後今更な気もするが、回復魔法で癒したことについてはお金は要らないから内緒にしてもらえる様に、あざとめな仕草で頼んでおいた。統はお金を貰って治療を行っている以上、俺みたいに無償で行っている奴は邪魔者でしかない。こんなことが広まってしまえば確実に面倒なことになる。勿論無差別に魔法を使うつもりはないが、目の前の人を助けるぐらいは許してほしい。


 というか統に所属していない人の回復魔法の扱いはどうなっているんだろうか。そこら辺のことは本に書いてあった気もするようなしないような感じだが、だいぶ流し読みしてしまっていたので覚えていない。


 まあやり過ぎなければいいか!



 *



 心配だから家まで送っていくということを彼に半ば無理矢理納得させ、家まで案内してもらっている。


 大通りから外れた色んな家屋が並ぶ住宅エリアにお家はあり、グラルカンさん家を見た後だとこんな普通の家でも謎の安心感がある。



「狭いところですけど、どうぞ上がってください」


「いえいえ、お邪魔しますね」



 現代的な考えで言えば一階建ての平屋且つ三人暮らしでこの広さ、と考えると確かに狭い気もするが、個人的には普通に暮らすだけなら十分な広さだと思う。



「すみません、今お水出しますね」



 席をすすめられるまま座ると、アリスター君は台所らしきところに行ってしまった。


 そこまで長居するつもりもないし、この世界における飲み水がどれほど貴重なのか分からないので、気を遣わなくてもいいのだが。


 程なくして木彫りのコップに注がれた水を持ってきてくれた。


 彼が席に着くのを待って、喋り始める。



「君も薄々勘づき、期待しているかもしれませんが、私の魔法であなたのお母様を治すことができるかもしれません」


「! 本当ですか!?」


「ですが、確実ではありません。恥ずかしながら私には斯様な病を掃った経験がありませんので。それは留意しておいてください」


「それは分かりました。ってことはフェイ様が魔法を使ってくれるんですか……?」


「勿論です。ですがここに来るまでに伝えたように、私が回復魔法を使ったことは吹聴しない様にしてください。それさえ守っていただければ、対価は必要ありません」


「絶対に喋りません! だから、どうか……どうか母さんを助けてください……!」



 出来る限りのことはする。


 そう伝えると、母親の下へと案内させた。



 *



 母親はベッドで眠っており、寝顔は穏やかの様にも、苦痛に歪んでいるかの様にも見えた。


 近くにはアリスター君の妹が母の手を取ったまま眠っている。


 彼女は見た感じ七歳か八歳程度であり、ある程度の分別が付き始める頃合いかもしれないが、父親もおらず、母親がほとんど眠ったままなのは耐え難い状況に思える。


 そんな子供たちのためにも病を治してあげたいところだ。


 彼女の容体を見てみると、脈は正常であり、呼吸もちゃんとしている。ぱっと見は健康そのものである。


 だが、注意して見てみると、確かにあるはずのもの――魔力が他の人間に比べて少ないようにも見える。言われなければ知覚出来ない程の差ではあるが、尋常な状況ではないことが窺える。


 兎にも角にも魔法をかけてみる。



「《リムーヴ》」



 件の状態異常回復魔法を使ってみたものの、ちゃんと発動した手応えがない。


 アリスター君が固唾を呑んでこちらを見ていたので、首を振る。あまり期待するな、とは言ったものの、そう簡単に期待や希望を捨てることなど出来ない。彼の心情を慮ると申し訳ない気持ちになる。


 《聖女》というジョブは名前から受ける正統派なヒーラーのイメージとは真逆に、バフやデバフを振りまくことでパーティを支援するジョブだ。そのため、今の段階では扱える回復魔法がだいぶ少ない。


 だが万策尽きたわけではないので、どんどん試していこう。



「《プレアー》」



 数少ないちゃんとした単体対象の回復魔法。数が少ない分、効果は折り紙付きのはずだが、先と同様に手応えが全くない。


 しかし、念のために自分、アリスター君、妹さんに同じ魔法を使ってみると、ちゃんと発動した感覚が返ってくる。


 正常な人間には問題なく作用しているのに、病人には発動しない。


 この状況と似たことがあった気がする。というか回復魔法を使った場面がほとんどないので忘れるわけもないが。


 グラルカン商会の馬車を助け、ルガルドさんに魔法をかけた時と似ているのだ。


 息はしていてまだ死んではいないのに、回復魔法が発動しない。あの時と比べるとルガルドさんは直視に堪えない程の重症を負っていた、という違いはある。


 とは言え、一日に起きられる時間が数時間程度な時点で重症であることは違いないので、あの時と同じことを試してみる価値はある。ぶっちゃけそれぐらいしか策はないとも言える。



「《再帰の祈り》」



 神に祈るように魔法をかけると、それに応えるかのように正常に発動した感覚が返る。


 二回しか発動していないが、この世界では蘇生魔法ではなく、通常の回復魔法が効かない、重度の瀕死状態を治す魔法になっている、という推察はあながち間違っていないかもしれない。


 一先ず魔法が効き、安心したいところだが、この状態がずっと続くわけではないかもしれないので追加で魔法を発動する。



「《プレアー》…………《リムーヴ》」



 正常に回復魔法が発動したことを確認して、間髪を入れずに状態異常回復を使用する。俺の緊張を鑑みてくれることもなく、結果は一瞬で返ってくる。結果は正常に発動。先のように試しに自分にも《リムーヴ》を使ってみるが、ちゃんと発動した感覚はない。


 病人には正常に、健康体には不発に終わる。つまりは、彼女の何かしらの状態異常は取り除くことは出来た。そう言っていいだろう。


 緊張から解放された反動からか、途轍もない脱力感に襲われる。



「恐らくは治すことが出来たと思います」


「本当に…………ありがとうございます…………」



 アリスター君は泣きながら、懸命に感謝の気持ちを伝えてくれた。


 無償の奉仕を進んでするつもりはないが、たまにはこういうのも悪くはないかもしれない。



 *



 また明日に様子を見に来ることを伝えて、家を後にする。


 出来ることなら、母親が起きるまで付き添っていたいところだったが、そうも言ってはいられない状況に陥ってしまったのだ。


 母親を治した直後に襲ってきた脱力感。あれが一向に取れることがないのだ。若干の頭痛すら感じ始めた。


 我ヒーラーぞ? ということで自分にも色々魔法をかけてみたが、逆に症状が悪化し、言葉を話したり、歩いたり、もっと言ってしまえば起きているのが億劫に感じる。


 彼には要らぬ心配をかけたくなかったので、恰好つけたまま出てきたわけである。


 考えられる理由としては一つだけ。魔法を発動すると悪化したことに加えて、直前に治した病の症状から考えると、MPの不足が考えられる。


 ゲーム時には、非戦闘時であればモリモリとMPが回復していく仕様だったため、こっちに来てから特に何にも考えずに魔法を乱発していたが、そこら辺の仕様が変わっている可能性は否定できない。


 とりあえず宿を探すべく、冒険者組合を目指しているのだが、その途中で完全に失念していた魔法を使ってみる。



「……《アイ・ウィッシュ》」


 MP回復魔法…………というか技能(アビリティ)。詠唱要らずなので特に集中する必要はない。


 すると若干体に活力が戻ってくるのが分かる。これならそのアビリティをバンバン使えばいいだけの話かもしれないが、このアビリティはゲームのときの再使用時間がない代わりに一日に仕える回数が決められているらしい。感覚的に後何回使えるか分かってしまうのが無情だ。


 まあ回数制限はともかく再使用時間がないのは今の状況では非常に助かる。残された使用回数を全部一気に使うと、なんとか行動するのが苦じゃないぐらいには回復出来た。


 だが脱力感が抜けきったわけではないので、早く床に就きたいところだ。


 冒険者組合のお姉さんに近くの割と質のいい宿屋を聞き出し、そこへと向かう。


 出来ることなら出費を抑えたいが、今の俺は男ではなく女になってしまっている。あまり程度の低いところでは俺の貞操がデンジャラスに危険で危ない。


 宿屋に着くと番頭さんに一泊分の料金を渡し、鍵を受け取る。


 部屋に辿り着くと、鍵をかけ、風呂とか服のこととかを諦めてベッドへと飛び込む。


 何か他にも忘れているような気もしたが、そんな思考を打ち消すように眠りについた……というか気絶した。



 *



「うぉぉ…………」



 可愛さの欠片のない声をあげながら起きる。元々朝には弱いタイプの人間だが、今日は輪をかけて不調である。


 昨日の寝る前と比べると断然回復してはいるが、失った体力までは戻りきってはいなさそうだ。人を抱えながら歩いても疲れることがないこの肉体でも、MPの枯渇による疲労は耐えられるものではないらしい。


 いつもの俺ならこのまま二度寝へと突入するところだが、流石にアリスター君たちのところには早めに顔を出した方がいいだろう。


 風呂に入っていなかったが、まあそんなに汗はかいていないので多分大丈夫なはず。


 宿で提供された朝飯を手早く口にし、昨日行った住宅エリアへと向かう。



 *



 記憶を頼りにアリスター君宅へと無事辿り着き、ノックをして訪問のお伺いを立てる。


 としようしたが、家の中から声が聞こえてくる。



「お母さん!」



 覗き見するのは悪いと思いつつ、窓から中の様子を見てみると、今しがた目が覚めたのか、件の母親とアリスター君の妹が泣きながら抱き合っていた。アリスター君も涙ぐんでいる様子だ。


 病状が悪化し、一日に起きていられる時間が数時間程度になったのは割と最近な気がするが、まだ十歳ぐらいの子供が親と会話出来るのが数時間というのは、例え数日、数か月だったとしても辛い体験だろう。片親であるのなら尚更。


 こうやって一日の始めに会話を交わすのも久しいことなのかもしれない。


 そう考えるとこのまま間に割って入る様なことをするのも気が引ける。


 せっかく起きれているのなら親子水入らずの時間をたっぷり過ごして欲しい。


 様子を見に来る約束をしてはいたが、正直俺に医者の真似事なんか出来ないし、魔法をかけてあげるぐらいなものだ。見た感じ失われていた魔力も回復している様子だし、わざわざ声をかけなくても大丈夫なはず。今現在起きているだけで、完全に病が完治したかは分からない状況ではあるが、継続的に顔を出すようにしよう。


 意味があるかは分からないが、三人に回復魔法をかけて、その場を後にする。



 *



 改めて今日は何をしようかと考える。割と疲れているので冒険者的な活動をするのはやめておきたい。道具屋とか覗いてみようか。そう言えば昨日は宿屋を割と適当に決めたが、今日は――――



「あっ」



 そう言えばと思い出し、懐を探る。そこには完全に記憶から抜け落ちていたケルビムさんがしたためてくれた宿屋の紹介状があった。


 屋敷への滞在を断る代わりにケルビムさんが懇意にしている人が経営している宿屋を紹介してくれることになっていたのだが、昨日は魔力の欠乏によってそれどころではなかったので、完全に忘却の彼方に追いやられていた。


 わざわざ紹介状を書いてくれるぐらいなので、多分相手方にも連絡が行っていることだろう。


 それにも関わらず、その本人が来ないとなるとグラルカン家の人たちに迷惑をかけることになってしまわないだろうか。商人とかは信頼とか面子が大事そうなイメージもあるし、まずいかもしれない。


 もしかしたら数日中に行けば問題ないかもしれないが、そんな楽観的な想像はやめておいたほうがいいだろう。


 若干血の気が引きながら、慌てて西区へと向かうことにした。



 *



 紹介状と共に渡された西区の地図とにらめっこしながら目的の宿へと向かう。


 ここに来るまではだいぶ「やばいやばいやばい…………」と心の中で連呼していたが、目的地が近くなると何故か謎の余裕が出て来る。なるようになるだろの精神。死にはしないのでどうとでもなる。はっはっはっ!


 空元気でぶん回ってハイになっていると、問題の宿屋の前に着く。昨日俺が泊まった宿とは比べ物にならないくらい豪奢な外観である。一泊だけで数か月分の給料が吹っ飛びそうな感じだ。


 独り立ちするために屋敷を出たというのに、これでは独り立ちもクソもないような気もする。


 正直引き返したい気持ちを押さえつけて、覚悟を決めて中に入る。


 中の様子も外観の印象と違わず、高そうな装飾があったり、なんかお金持ちそうな客がいたり、俺的には落ち着けそうもない空間が広がっていた。


 受付はどこだろうか、と辺りを見回すと、どこからか視線を感じる。


 視線を感じる方向に顔を向けると、桃色の髪の美少女――アイラさんがいた。


 彼女はビックリしたような表情を浮かべ、次第に目が潤んでいくのが分かる。


 コミュニケーション弱者故に、なんて声をかけたらいいのか分からないが、彼女に心配をかけていたのは間違ってはいないと思うので取りあえず謝っておこう。



「申し訳ありません。ご心配を――」


「フェイさん!」



 感極まってしまったのか、凄い勢いで抱き着いてきた。


 たった一日程度しか言葉を交わしていないのにここまで心配してくれるのは嬉しいと同時に、とても申し訳なく思ってしまう。原因が完全に自分にしかないので申し訳なさも倍増である。


 彼女を宥めるように抱き返す。



「ごめんなさい。心配をかけましたね」


「本当に……本当に心配しました…………」



 ここに来るまでビクビクしていたのが失礼な気がしてくる。


 彼女としては命の恩人のような俺を尊重するのは当然の心理なのかもしれないが、こうやって想ってくれているのなら、その想い以上に報いたい。


 そう強く思った。

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